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第二話 宿命という名の運命 上(Ⅱ)

のんびーり書いていたら凄い時間が掛かっていました、そしてやはり文才が無いせいかどうしても長ったらしくなってしまう私、どうすればいいのか思考錯誤中です。一先ず今日から何話か続けて投稿していきます、ある程度まとまったので…。本当は2万字程度で1話終わらせれると思っていたんですけど…できないんだなぁこれが。

「ん?なんでツフギがついてきてるの?」

 流れに乗って次の街へと出発したはいいが、シンプルな疑問をピースは抱く。何故ついてきているのか、昨日の会話の感じであればツフギはあの街で頑張るのではなかったのだろうか?

「なんでって、そりゃ次の街へと向かう為ですけど?それがどうかしましたか?」

「いやツフギはあの街に残るのかなって…、昨日もここでお別れって言ってたし」

 昨日の記憶が確かであれば、ツフギは確かにお別れですねと言ったはずだ、昨日の今日で気が変わったのだろうか?それとも何か他の理由や目的ができたのか。

「あれは、今日ここでお別れですねと言う意味だったんですー、普通は一人で部屋取れると思うじゃないですかー」 

 狭い荷台でツフギがジタバタと暴れ、背中にヒシヒシと振動が伝わる。暴れるのは構わないが、それ以上にこのオンボロな荷台が壊れてしまわないかが心配にはなった。

「荷台が壊れたら困るから暴れない、それよりツフギはなんで冒険をしているの?」

「それを言うのであれば、ピースさんはどうして冒険者を?駆け出しにしてはお歳を…」

 実年齢、過去年齢を見透かされているようで何気ない問の筈なのにグサリと心に言葉が刺さった。勿論そんな意味は含んでいないという事は重々承知ではあるのだが…。

「両親が死んで食い扶持が無くなって、住んでいた村にも職がなかったから冒険者へ」

 この世界であれば良くある話だ、普通の冒険者と少し違う事があるとしたら、冒険者になる為の努力をしていない所、両親が自分を冒険者などにするつもりは無かったという事。

「そうだったんですね…、すいません」

「別に謝る事はないよ、今のご時世よくある事でしょ?モンスターに殺されたり、災害に巻き込まれたり、最初から冒険者になろうとしてなかった人間が冒険者になる理由なんて」

「そうかもしれませんが…、ウジウジいうのもダメですね、私が冒険者になった理由はこの目を見せた方がいいかもしれません」

 ツフギは瞬きするように目を一瞬閉じる、青髪碧眼の彼女が再びを目を開いた時だ、青髪碧眼のツフギから青髪赤眼のツフギへと変わる、といってもそれだけの変化なのだがこれが冒険者になった理由?変わった目は実は呪いの目だったりするのかもしれない。

「赤い目に変わったね…、呪いの目だったりする?俺を呪おうとしている?」

「赤い目?嬢ちゃんツウマの者だったのか?ツウマの者がなんであんな街に、辺境も良い所だぞ?てか兄ちゃん冒険者の癖にツウマの者を知らないのか?」

 つうまの物?何それと言う感想しか出てこないが、運搬のおっちゃんが知っているという事は有名な物なのだろうか?それにしても物と言う事はツフギの目は義眼の可能性が…。

「コホン…、私の目は義眼ではありませんよ…、何故分かったという顔をしていますね、目のお蔭ではなく顔に書いています。改めて自己紹介を、私はツウマカイホ族の一門の一人ツフギ・ニティスィーですよろしくお願いします」

「魔法使い族?まぁいいや、ただのピース・トフェイです、よろしく」

 アナグラム的には合っている気がする言葉が瞬時に思い浮かんだ。それでその魔法使い族はおっちゃんの話によると、こんな辺境の街に居るような人材ではないらしいが何故こんな所に居るのだろうか?武者修行?そんな人物には思えないが…。

「ツウマカイホ族です、我々は魔法に長けた一族として冒険者の中では一目置かれる存在ではあります、まさか冒険者で知らない人に会うとは思いませんでしたが…」

「まぁいいよ、それは村から出なかった世間知らずってだけだから、で?なんでここに?」

「それは…」

 ツフギは言葉を詰まらせ、視線を少し下へ向けた。重苦しい理由でもあるのだろうか?有名で名を馳せた一門であっても影なる部分は存在するそれが自分と公言するつもりか、もしくは恥ずかしい事だから話したくないツフギの表情はそういう雰囲気にも見える。

「わ、私は魔法学校に通っていたんですけど、恥ずかしながら課題未達成で退学処分を受けてしまったので…、だからなんとか名を上げたいなと思っていたらあそこまで…」

 魔法学校なんてあるのか初めて知った、しかしながら昨日見た魔法の腕でも足りない魔法学校少し興味が湧く、もし自分であれば何秒で退学処分を受けるか、そもそも入学すらできないかもしれない、機会があれば行ってみたい運命の人も居るかもしれない。

「なんだそんな理由か、聞いて損した。てかおっちゃんいい加減休まないと腰が痛い」

「あぁ…、わかった、いい時間だしな一休みしよう」「そんな理由って、失礼ですねー」

 二人の声が被ってよく聞き取れなかった、まぁ凡そ返答の内容は理解できる。そろそろ休むかと、そうですよね大した問題ではないですねの二言だろう。まぁ経緯は豊かな大地の上で休みながらにでも聞いといてやる事にしよう、呆れる程大した問題ではなかった。

 小川近く馬を休め、その小川からそう遠くない場所の石に囲まれた川原で3人は一旦羽を休める。おっちゃんのサービスによるドリンクを貰い、春一番の風を浴びながら時間を潰す、窮屈な荷台で動く事なく疲労を溜め続けた腰にはいい休み時間で、そして先ほどツフギが魔法のエキスパートと言う事もわかったのだ、この時間を有効に使うべきだろう。

「ツフギに聞きたいんだけどサ、結局魔法ってなんなの?」

「それを駆け出しとはいえ、冒険者である貴方がしますか…」

 ツフギは理解が追いつかないと頭を抱え、おっちゃんもコイツは何を言っているんだという様子で見ている。だがしかし知識不足なのだから仕方ないとピースは開き直る。

「おいおい兄ちゃん、それでよく今日まで生きてきたな…」

「いや、理屈は解るよ魔法も使える事は使えるし…、なんていえばいいのかな?理屈は解るんだけど仕組みが解らない?だから魔法も一個しか使えないし」

 魔法には魔力の変換、加工、そして顕現その三つのプロセスがあるのは理解している、だがどういう訳かその仕組みをピースは理解できていない、魔力放出魔法はその単純性からか、ピースでも理解できているのか、それとも向き不向きの問題なのか…。

「一つ?まぁいいでしょう、お教えします。といっても見せた方が早いですね『開花(ブルーム)』」

 ツフギは持っている杖を体の前に向けブルームという詠唱を唱えた、直後ツフギの周りに花が咲き乱れる、一本というちゃちなモノではなく石しかない川原というのにその石の隙間から植物の生命強さを感じさせるように、何十本という各種多様な花々が咲く。

「今見せたモノこそが魔法です、自身の魔力を植物に適した魔力へと変換させ、花となるように加工、そして花として顕現させる。魔法の教本にも書かれている初歩中の初歩魔法、それを制御する為、もしくはよりイメージしやすくする為に詠唱というモノを使う人が大多数ですね、流れとしては変換、加工を詠唱により最適化し、その最適化したものを顕現させる行為を魔法と呼びます」

「おぉー…何が起こっているかよくわからねぇー…、けど流石名門魔法使い」

「一度にこれだけの花が咲く所なんて滅多に見られねぇ…いいもの見せて貰った」

 魔法を大して理解していない二人が、ツフギに対し盛大な拍手を送る。工程自体は理解しているけれど、その変換や加工というのが難しい、だから手っ取り早く済ませる放出という行為に手を出したのかもしれない。

「拍手していないで、これからしっかり教えるので、私の真似をしてください。関係ないって顔してますけどおじさんもやるんですからね!」

 才能はねぇと、逃げるおっちゃんをツフギは無詠唱の魔法で縛る。極めれば簡単な行為であれば簡単にそういう事できるらしい、おっちゃんが何も言わないのが証拠だろう。

「わかりやすいように先ほどは詠唱しましたが、この程度のモノであれば詠唱は恐らく必要ないと思います。目を瞑りイメージしてください、貴方の中にある魔力、お風呂をイメージするといいかもしれません、水が張ったお風呂をイメージしてください」

 ツフギに言われた通りに目を瞑りお風呂をイメージする、こちらのお風呂よりは前世のお風呂の方が気持ち良かったので前世の実家のお風呂をイメージした、然程大きくもないが足は伸ばせて、入浴剤を入れればもう最高なお風呂を思い浮かべる。

「そのお風呂から桶でも手でも構いません、お湯をすくってください」

 お湯をすくう、どれだけの量をすくえばいいのだろうか?魔力が足りなかったら困るし、一応すくえるだけお湯をすくっておくべきか?一先ずタライで一杯ぐらいでやってみよう。

「そしてこのお湯を加工、今回は花ですね、花に形を変える事をイメージします。水のままでは花にはなりません、ですのでお湯のイメージをここで違うモノに変えます、例えば好きなモノに簡単に自分で形成できる粘土とかですね」

 このお湯を粘土に…、粘土に?土?油?紙?まぁどれでもいいか…、このお湯を粘土に、確かに粘土はイメージできたが、これを花に?この量を?どんだけ作るんだ俺は、馬鹿か!一先ず一個で済むようになんとか潰して、形を整えればなんとか一輪の花には…。

「ここで顕現です、その加工した粘土から手を放すように、ここでは再びお湯を意識するといいかもしれません、お湯を捨てるように加工した花を外へと出す感じです」

 この花を外に出す、成程これが顕現。魔力放出魔法の放出にあたる部分だろう、という事であれば慣れている、この花を放出!

「さぁ目を開いて見て見てくださいそこには貴方が作った花がある筈です」

 目を開く、そこには花びらや茎そして葉に至るまでが淡い青の花が目の前にある、無理やり形をちっちゃくする為に潰した所為で不格好ではあるが、確かに花があった。

「おぉー、本当にできてるー。おっちゃんはどんな花を…」

 ピースは最後まで言い終える前に口は閉じる事にした。おっちゃんの作り出した花はどこまで行っても花だったから、こんなあり得ない花ではなく、普通の花だった。

「嬢ちゃん!俺にも出来たぞ、はは、俺も加工の工程ができたぞ」

「そうですね、中身もちゃんと花になっています。この場所に咲いたので長くは持たないでしょうけれど、しっかりとした花ですね、ピースさんは…」

 ツフギがこちらを見て言葉を詰まらせる、どうしたらここまで汚いモノが出来るのかが理解出来ないのかもしれない。けれど間違いなく自分にとっては初めてのモノを形成する魔法だった、だがしかしおっちゃんと違って魔法の才能は無いのかもしれない。

「凄いですね、花をイメージして別なモノになるなんて、というよりどうしてこんなに一つの花に密度が籠っているんですか?使う魔力が多かったとしてもそれは分散する筈…」

「悪かったな才能が無くて、魔力放出魔法以外使った事無い身としてはこれが精一杯だ」

 ツフギにはそんな気は無いのだろうが、少し嫌味を言われている様に感じたので、こちらも少しムッとして嫌な言い方をしてしまう。器の小さい男だとでも言ってくれて構わない、やはり頭が空っぽだからこそ魔力放出しかできないのだろうと、自覚できた。

「魔力放出魔法?兄ちゃん、今魔力放出魔法って言ったか?」

「?そう言いましたけど…それが何か?」

 いきなり食い気味に食いついてくるおっちゃんにビックリしてしまった。

「なんでよりによってそれを選らんでしまったんですか…ピースさん」


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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