秋に
秋の陽のさ中に
木の葉くまなく
黄金に変えるべく
乾いた鐘の音は
響き渡る
水気を失った
一枚が舞い
風にさらわれれば
澄んだ蒼空をゆく
一羽の鳥となり
擦れた葉の
音色だけを残す
熱も和らいだ
木漏れ日は
線引きのない
季節の終わりとはじまりを
馴染ませては
点々とそこに落ち
揺らぐままの
形を成す
落ち葉を
重ねるごとに増す
もの哀しさを
踏みしめては
胸ポケットいっぱいの
感傷を携え
涙も零れぬ瞳で
見下ろしたのは
この切なささえも また
此処で
移ろいゆくものとして