第4話 魔族襲撃
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魔族の突然の襲来にみんなは動揺を隠せず、その場は混乱に陥った。
「魔族の襲撃だって!?」
「アタシ達も急いで迎撃に向かわなきゃ!」
「クソッ!ここまでどうやってたどり着いた!?」
みんなが取り乱していると、
「みんなこういう時こそ落ち着いて。私達がする事はただ一つよ」
さっきまで落ち込んでいたローズマリーが立ち上がり、みんなを落ち着かせた。
「そ、そうですね。まずは魔族達の襲撃を止めましょう」
「マリーの言う通りね。鎮圧して国を守るのが先決だわ」
「よし!行くぞみんな!それが俺達、七勇者の責務だ!!」
ブルドーは声高々に叫び、腰から下げた七つの聖なる武器を引き抜いた。
七つの聖なる武器とは、勇者に選ばれた者のみが使用する事を許された特別な武器である。
その昔、クラウディア王国初代国王が魔族の支配からの脱却を目指した戦争に勝利し、クラウディア王国を建国した時、決起から最後まで自分に付き従った7人の仲間を勇者として称え、彼らの専用武器として一流の職人によって作られた。
勇者となった彼らは生涯、国王に忠誠を誓い、子孫を残さなかったが彼らが使っていた武器は後世に遺され、勇者に選ばれた者達への贈り物となったと云われている。
聖剣アンペガサス、竜剣ワイバーン、灼書ラグナロク、
水槍アクアランス、雷弓グロムルーク、風書ゲイル、魔斧ロンペレの7つで、その強さは伝説の武器なだけあって申し分ないがある条件を満たすと真の力を発揮するという噂がある。
七つの聖なる武器を携えたローズマリー達は襲撃された場所である大広間へ向かうと凄惨な光景が広がっていた。
頭が潰れていたり、上半身と下半身が真っ二つになっている兵士や魔族の死体がそこらじゅうに転がり、床や柱には血が飛び散り、正に戦場と化していた。
「相変わらず慣れねぇな。この光景」
「そう言ってられんぞ。このままではこちらが不利になる」
苦虫を噛み潰したような顔で呟いたグリアムの言葉に、シャインが大広間の様子を見ながら反応する。
シャインの言っている事は正しかった。王国の兵士より魔族の方が多く、更に魔族は大広間の入り口から押し寄せており、突破されてしまうのは時間の問題だった。
「援護は任せて……ってマリーは?」
リネアなローズマリーが居ないことに気付いて辺りを見渡したが、まるで初めから存在しないかのように彼女の姿はどこにも居なかった。
「さっきまで居たのにどこ行ったのよ」
「1人で先に行ってしまったのかもしれません」
「本当はどう動こうか話し合いたかったが、そんな余裕もないし俺達もマリーに続くぞ!」
ブルドーの声と共に七勇者達は一斉に駆け出し、魔族達の襲撃を止める為に立ち向かった。
* * *
「クソッ!数が多すぎる!」
私は最近、王宮に配属された新人兵士だ。
いつものように訓練をしていたら突然、魔族の軍勢が押し寄せて王宮を襲撃してきたとの報せが入った為すぐに出撃、そして最前線の真っ只中にいる。
現在、王宮に在中している兵士総動員で事態の収拾に当たっているが魔族は一向に減らず、戦況はこちらの方が圧倒的に不利だった。
王国の兵士になったからには戦わなければならない時が来ると覚悟していたが、余りにも唐突すぎた。
初めての実戦で感じた事は恐怖だった。当たり前だが敵は私を殺しにかかる。私も無抵抗で殺される訳にはいかず、互いに刃を交え、どちらかが生き絶える。
死が目の前にある恐怖、命のやり取りをしているという恐怖、そしてそのやり取りがすんなりと終わってしまうという恐怖が私の中を目紛しく駆け巡った。
目の前で戦っている敵も同じ世界に生きている生き物だ。今こうして戦ってあの方の考えがよく分かった。
そんな事を考えていたのが仇となり、私の頭に強い衝撃が走った。
「うぐっ」
背後からの敵に気付かずに不意打ちを受けた私は地面に倒れ、目の前の敵が私にとどめを刺そうと棍棒を振り上げたその時、あの方が背後から敵を斬り伏せ、私を助けてくれた。
あの方は私に近づくと、
「君、動かないで」
と言い、髪が地面に着くのも気にせず私に治療魔法をかけてくれた。
「よし。これで大丈夫」
そう微笑み、長い髪を靡かせながら立ち上がり、
「クラウディア王国の兵士達よ!よくここまで持ち堪えてくれた!ここからは我ら七勇者も加勢する!」
透き通った声で叫び、周りにいた兵士達を勇気づけてくれた。
それを聞いた兵士達は歓喜し、
「勇者様が来てくれたぞ!」
「勇者様が来たくれりゃあ魔族なんか怖くねえ!」
先程までの絶望的な状況が嘘のように明るくなった。
常闇の中から一条の光が差し込み、その光が闇を祓ってくれたかのようだったあの方の神々しさに私は見惚れていた。
あと少しで地面に着きそうな程に長い金髪。
晴天の青空のように青く澄んだ瞳。
右半分を前髪で隠した神妙ながら美しい顔立ち。
その美しさを際立たせる白い鎧。
そして勇者の証である七つの聖なる武器と呼ばれる伝説の武器。
「あれが……ローズマリー様……」
私を助けてくれたのはクラウディア王国が誇る七勇者の1人で愛の勇者の称号を授かったローズマリー・ヘルゲート様だった。
ローズマリー様は私と視線が合うと少し口角を上げ、魔族の軍勢に単身で飛び込んで行ってしまった。
私は座り込んだまま呆然と見届けたが目標が出来た。
ローズマリー様のお役に立ちたい、ローズマリー様の隣で戦いたい、ローズマリー様と共にいたい、今の私には夢のまた夢ではあるがなんとしても叶えたいと思っていたが、この頃の私は知る由もなかった。
ローズマリー様がクラウディア王国の脅威となる事を。
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ローズマリーは足に力を溜めてジェット噴射の如く駆け出し、魔族の軍勢に戦いを挑んだ。
手始めに飛びかかって来たゴブリンの首を切り落とし、その頭を掴んで別のゴブリンの顔面に叩きつけ、怯んだ隙にアンペガサスで横に一刀両断。
そのまま襲いかかって来たオークの胴体を斬りつけ、横一直線にできた傷に指先から傷を負った者を追い詰めるのに適した侵食魔法を傷に目掛けて飛ばし、オークは花火のように爆散した。
爆ぜ散ったオークに目もくれず、彼女は姿勢を低くして近くにいた犬型の魔族の足を切断、声を上げる隙も許さずに魔族を股間から首元まで一直線に斬り裂いた。
犬型の魔族を屠った後、真後ろから猿型の魔族2体が鉈を振り下ろして来たが、
「薔薇の牢獄」
と呟いた途端、地面から荊が生えて2体の魔族を捕まえ、猿型の魔族は奇声を上げて苦しみだし、最後はミイラのように枯れ果てて荊の養分となってしまい、荊には2輪の赤い薔薇が咲いた。
七勇者が加勢してから戦況は一気に逆転。魔族の中には七勇者の余りの強さに戦意を喪失する者も現れた。
「大方片付いたかな」
魔族の数がまばらになっていき、そろそろこの襲撃も鎮圧するだろうとローズマリーが考えていた矢先、
「さすが、勇者に選ばれただけ強いねマリー」
背後からいきなり聞き慣れた声を耳にした。
ローズマリーは思わず声の方へ顔を向けると、首から下を覆い隠した真っ黒なローブを着たガレディアがそこに立っていた。
「ガレディア、ここにいるのは危ないから部屋に戻って」
「それはできない」
「何言ってるの。君も魔族に襲われるかもしれないのよ」
「それは絶対ない」
ガレディアはローズマリーの言葉を即座に否定した後、衝撃の言葉を口にした。
「ここにいる魔族はみんな私の手下だもの」