第3話 愛の勇者の悩み(2)
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「と言うわけなんだけど」
「なるほど。それで私達を呼んだのですね」
「マリーが珍しく相談があるって言うから来たけどそんな事の為にアタシ達を呼んだの?」
「アンタのしょうもない相談に興味無いんだけど」
ブルドーと別れた後、ローズマリーはエミリー・フィル、リネア・ケッスリー、ナディア・ハベットを王宮の庭園に設置されているテラスに呼び、ガレディアの事を話した。
彼女達も七勇者であり、エミリーは水の勇者、リネアは雷の勇者、ナディアは風の勇者を司っている。
エミリーは王国一の大貴族フィル公爵家の一人娘で水色の髪をポニーテールにして、水色と白を基調とした衣装を見に纏っている。
フィル公爵家は過去に勇者を多く輩出しており、エミリーもその例に漏れず、勇者に選ばれた。
性格は心優しく、健気で仲間思いなのだが少々おっちょこちょいで天然な所もある。
リネアは西部にある鉱山の街サンダカロの領主である貴族の娘で爵位は子爵。
オレンジのショートヘアで黄色い瞳をしており、オレンジのタンクトップに焦げ茶色のホットパンツを穿いている。
性格は貴族の令嬢とは思えない程、勝気で男勝り。彼女曰く、男達が一攫千金を夢見てサンダカロに移住するらしく家族以外で女をほとんど見ない男だらけの環境で育った為、このような性格になったという。また、彼女にとって鉱山は遊び場らしい。
ナディアは南部の城塞都市アンデルテを領地にしている伯爵家の娘。
肩にかかる長さの茶髪に緑色の瞳、服装は真っ白なブラウスと膝が隠れるくらいのシンプルなスカート、素足が見えない真っ黒なタイツを穿き、フードのついた緑色のコートを常に着ている。
驚異的な魔法の天才でかつては魔法神童と呼ばれていた。魔法の研究以外に興味が無く、勇者の仕事以外はほとんど自室に籠もって研究をしている。
「ナディアさん。せっかくマリーが私達に相談してくれたのですからそんな言い方しなくてもいいじゃないですか」
エミリーはローズマリーに悪態をつくナディアに口を尖らせ、彼女を叱責するとナディアは溜め息を吐きながら呆れたように口を開く。
「あのね。今までマリーの相談であの魔族の女以外の相談だった事ある?しかも最近様子がおかしいとか私からすれば心底どうでもいいわよ」
「じゃあなんでここに居るんだよ」
「お、お菓子が欲しかったから……」
リネアから言われた事にナディアは頬を少し赤く染めて視線を逸らし、もじもじしながら恥ずかしそうに呟いた。
ナディアは魔法の研究に勤しんでいる為か甘い物に目が無く、相談に乗ったのもその際に出されるお菓子目的である。
「随分素直ね」
「随分素直だな」
「随分素直ですね」
ナディアが来た理由に三人は言葉を揃えて綺麗にハモった。
「う、うるしゃい!」
「噛んだ」
「噛んだな」
「噛みましたね」
ナディアが思いっきり噛んだ事に三人は反応し再びハモる。
「バカにしてるのか!!」
顔を真っ赤にしながら憤慨するナディアを三人で弄っていると、
「よお。お前らこんな所で何してんだ?」
「女子会以外の何に見えるんだお前は」
後ろからグリアム・ボーガンがローズマリー達の会話に混ざるように話しかけ、隣にいたシャイン・カイナスがグリアムに呆れながら突っ込みを入れてきた。
シャインは火の勇者の称号を持ち、リネアの領地の隣に位置する工業都市ブリュデンを領地に置く貴族の嫡男であり、カイナス家の次期当主である。
幼少の頃から貴族の教育を受けて育ったが、それを鼻にかけず紳士的で女性人気が高い。
薄い茶髪で薔薇色の瞳をしており、いかにも貴族的な衣装を着ている。
リネアとは許嫁であり、互いの両親が決めたのだが本人達の仲は極めて良好で相思相愛。
グリアムは鋼の勇者であり、ローズマリーとブルドー以外では唯一の平民出身。
王都で鍛冶屋を営んでいる平凡な両親の息子であり、彼が勇者に選ばれた後、実家の鍛冶屋は大繁盛したらしい。
勇者の中で1番身長が高く、体格も大きい。短い黒髪と黒い瞳で全身を銀の鎧で身を固めている。
気さくで細かいことは余り気にしない性格で思った事が口に出てしまう事が多いのが玉に瑕。
因みに好青年なブルドー、紳士的なシャイン、親しみやすく男らしいグリアムの3派閥で国の女性達が対立しているとかいないとか。
グリアムから聞かれた事に彼の正面に座っていたエミリーが後ろを向き、ローズマリーの代わりに口を開いた。
「マリーの相談に付き合ってました」
「何の相談だよ?」
「あの女の事よ」
「あぁ。あの魔族の子か」
腕を組みながら詳細を尋ねるグリアムに今度はナディアがお菓子を頬張りながら面倒臭そうに吐き捨て、シャインがそれに反応する。
「最近、様子がおかしいんだって」
「てかさあ。アイツ連れて来てからマリーって変わったよな」
グリアムのこの一言でローズマリーを除く全員は目の前に本人が居るにも関わらず、一気に彼女の話題で盛り上がり始めた。
「それ私も思いました。それまで何というかマリーは他の人には最低限の付き合いしかしませんでしたよね」
「てかアタシ達と女王陛下以外の人と話してるの見た事なかったし」
「何なら私、マリーは本当に人間なのか一時期疑ってた」
「君達はマリーを何だと思ってたんだ……。確かに良くも悪くもマリーが彼女を連れて来てから変わったのは同意するよ」
ガレディアに関しての相談からいつの間にか自分の話題に変わった事で一人仲間はずれ状態になっているローズマリーをよそに、他の勇者は彼女の話に花を咲かせる。
「あとさぁ。マリーってしょっちゅうあの子にプレゼントするよな」
「この間もあの女用の新しい服買ってたし」
「あとガレディアさんの話をする事が増えましたよね」
「てか、アイツの話以外聞いた事ない」
「私、そんなに変わった?」
「「「「「変わ(った)(りました)」」」」」
最初の方は聞き流していたが、余りにも言いたい放題の彼らに我慢の限界に達したローズマリーはみんなに聞こえる程の声で呟く。
その場にいた全員がローズマリーの方を向きながら口を揃えて一斉に突っ込み、ローズマリーは全員に指摘された事に驚いて一瞬身体をビクッと震わせた。
「四六時中ではないが結構彼女の話はしてるぞ」
「物の例えとかで結構言ってる」
「ガレディアの髪みたいにきれいーとか、ガレディアの肌みたいに白いーとかマリーよく言ってるぞ」
似てない声真似をしながらリネアが言うとローズマリーは顎に手を当てながらしばらく黙り込み、過去の言動を一から振り返ったが全く身に覚えがない。
「……本当に?」
「まさか自覚がなかったのですか!?」
「大分重症だな……」
困惑しながらローズマリーは口を開くと、みんなは苦笑したり、溜め息を吐いたり、呆れたりと彼女の無自覚さに頭を抱えた。
「今度、音声保存魔法を使ってマリーの会話を聞かせた方がいいんじゃないか?」
「誰がその音声保存魔法を使うのよ」
「ナディア」
「なんで私がそんな事しなきゃいけないのよ!」
リネアの丸投げ発言にナディアは頭に血を上らせていると、
「みんなで集まってるなんて珍しいね」
会話が盛り上がっている間に、先程訓練場で別れたブルドーがこちらに合流してきた。
「みんなで何の話してたの?」
「実はマリーがですね……」
合流したブルドーに、みんなはローズマリーが自覚無しにガレディアの事を話している事を話すと、
「マリー……それはちょっとヤバいよ……」
彼は若干引いた感じで苦笑いしながら、ローズマリーに苦言を呈した。
「ブルドーにまで言われるなんて私、ガレディアの事ばっかり話してたんだな……」
ローズマリーは己の無自覚さを痛感し、頭を抱えて溜息を吐いていると、
「勇者の皆様!緊急事態です!」
1人の兵士が息を切らしながらローズマリー達の所へ走って来た。
「どうしたんだい?そんなに急いで」
ブルドーが兵士に何があったのかを聞いた途端、平穏は終わりを告げる。
「魔族の軍勢が王宮を襲撃しに来ました!!」