第2話 愛の勇者の悩み(1)
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「はぁ……」
ローズマリーは浮かない顔をしながら訓練場で剣を振るっていた。
ガレディアに嫌なことがあった日から彼女の様子がおかしいのだ。
どこか悲しそうな顔をするし、スキンシップがやたらと激しいし、たまに部屋にいない日もあった、まるでもうすぐ訪れる別れを惜しむかのようにローズマリーに接してくるのである。
「どうしたのマリー?」
突然、名前を呼ばれ振り向くと漆黒の髪に紫の瞳の青年がローズマリーに話しかけてきた。
「ブルドー……」
声の主は七勇者の一人で心の勇者であるブルドー・オーリックであった。
彼はローズマリーの幼馴染で彼女と同等の剣の腕を持ち、その強さはローズマリーに次ぐ実力者で彼に剣を習いたがる兵士達が後をたたない。
性格は真面目で正義感が強く、ローズマリー同様、誰であろうと隔てなく接する正に絵に描いたような勇者で国民からの人気が高い。
二人は王都から遠く離れた小さな村の出身で家が隣同士だった事もあり、家族同然で育ってきたが、十歳の時にローズマリーの両親が事故で死んでしまい、ブルドーの両親が彼女を引き取って以降は一つ屋根の下で生活するようになった。
二人が勇者に選ばれた時は大騒ぎになり、その後、彼女達の村は勇者を二人も輩出した村として一躍有名になった。
ブルドーから話しかけられたローズマリーはガレディアの事で相談するか悩んだが、長い間共に過ごした彼が1番信頼できるので思い切って相談する事にした。
「ガレディアがね」
「あぁ。ガレディアさんか。あの人がどうしたの?」
「最近、様子が変なの」
「変?」
ローズマリーは最近のガレディアの様子をブルドーに全て話すと彼は静かに頷き、助言を口にする。
「確かにそれはおかしいね。何があったのか彼女に聞いてみたの?」
「いや、聞いてない」
「なんで?」
「私、そういうの苦手で、嫌な事を無理矢理吐かせるなんて真似をあの子にしたくないの」
「マリーの気持ちも分かるけど聞かなきゃ何も分からないし、もし彼女が問題を起こしたらマリーが責任を取らなきゃいけなくなる。その時に何も聞いてませんでしたなんて言ったら女王陛下や国民への信頼に関わってしまうよ」
ブルドーの言う事は尤もだ、このまま放置してガレディアが何か問題を起こしたらローズマリーが責任問題を問われ、最悪の場合、死罪や勇者の座を追われかねない。
「マリーは昔から他人にあまり興味無かったからガレディアさんにそこまで気にかけてるのには驚いたけど、俺でよければ力になるよ」
「ありがとう。今日の夜に聞いてみる」
「その方が絶対いいと思う。どうせならエミリー達にも相談してみたら?俺よりもいい答えが返ってくるかもしれないし」
「そうね。ちょっと集めてみる。じゃあねブルドー」
「じゃなあ」
ローズマリーはブルドーに悩みを打ち明け、荷が少し軽くなった事で先程まで曇らせていた顔を少し晴れやかにしながら彼にお礼を言って訓練場を後にした。