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始まってしまった…!  作者: 本見りん


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7 カタリーナ様と私

リリアンヌの涙腺崩壊です…。

 何かに耐える様に、私を見るカタリーナ様。やはり好きな人の婚約者を見るのはお辛いのだろう。


「お二人は……、好き合っておられたのですね。いえ、今でも深くお互い思い合われておられるのですね」


 カタリーナ様のお顔を見ていると、ポロリと言葉が出てしまった。何となく、あぁ、2人は本当に両思いなのだなぁと……。マティアス様を見ていても思ったけれど、やっぱりカタリーナ様もそうなのだなぁ、と。


 カタリーナ様は驚いた顔で私を見られた。


「どうして……。涙を拭いてくださいませ。マティアス兄様の婚約者は貴女ですわ。あのお優しいお兄様に愛されて、本当に……。羨ましい位にお幸せの筈ですのに……。どうしてその様な事をおっしゃいますの?」


 ハンカチを差し出しながらカタリーナ様はおっしゃったのだけれど、驚いたのは私も一緒。

 え……? 涙を拭く……? 私、泣いてる……?

 手を顔に持っていく。…濡れてる……。え? 本当に、涙……?

 どうして――。


 さっきポロリと出た言葉と一緒に溢れ出てきていた様だった。

 …ちょっと私! 何が、前世がそこそこな恋愛遍歴だ! 全然、自分の感情が制御出来てないじゃないか!


「どうして私……。いえ、コレは泣いてないのです。…そう、花粉症ですわ! イヤですわ、目に酷いアレルギー反応が……」


 取り繕い無理矢理笑おうとするのだけれど、全く涙は止まらない。大体この世界で花粉症なんて聞いた事がない。あっても解明されているハズもない。


「カフンショ……? 荒れる……? 確かにお目が酷いことに……。我が家にてすぐにでも目を冷やしましょう。お話もそこで伺いましょう」


 元々学園の馬車乗場近くでカタリーナ様とぶつかった私を、学園に近い公爵家で手当てしましょうと向かっている途中なのだ。でも、お屋敷に着いて家人や侍女と同席する前に話しておかねばならない。


「カタリーナ様、この様な酷い顔と状況で誠に申し訳ないのですが至急お話せねばならない事がございます。…カタリーナ様は、ご婚約者様とマリー嬢の企みを……ご存知でしょうか?」


 普段冷静沈着なカタリーナ様が再度目を見開かれた。


~~~~~


「マティアス様、お招きありがとうございます」


「ようこそ、リリアンヌ。領地より高地で栽培された特産の美味しい紅茶が届いているよ。さあ、こちらに」


 ワーグナー侯爵家のいつも通される日当たりの良い応接間で挨拶をかわす。

 侍女がワーグナー家自慢の特産の香り高い紅茶を入れ下がって行く。


 そうして人払いをしてから――。

 私は自信満々に宣言する。


「マティアス様、私カタリーナ様にお会いして事の次第をお話しして参りました!」


 ミッションコンプリートです! …多少、目から汗というか花粉症というか、不測の事態はありましたけど、概ね成功でしたわ!


 あの時カタリーナ様と馬車の中で――。


~~~~~


「マリー様の企み……?」


 冷静な表情に戻ったカタリーナ様が私に問いかける。

 私は急いでマティアス様の時と同じ説明をする。とにかく期間も2ヶ月しかなければ、今この説明は公爵家までの馬車に乗っている2人きりの間にしなければならない。


 婚約破棄の企みは流石に非常に驚かれた……。「でも……、今の状況を考えたらさもありなん、ね。」と少し哀しげに納得されていた。


「これから、マリー嬢はカタリーナ様に様々な嫌がらせをされたと冤罪をしかけてきます。これらを躱し証拠を集めておいて、卒業パーティーにて婚約破棄をされた後に証拠を提示し冤罪をひっくり返すのです!」


「婚約破棄をされた後に……。婚約は破棄……されるのね?」


 私をじっと見つめるカタリーナ様。


「…そうです。この婚約は、カタリーナ様からは破棄できませんから……。向こうから破棄していただく必要があるのです。それからの、反撃です」


 何か言いたげに暫く私を見られた後、


「…分かりましたわ。貴女の案に乗らせていただきます。私は何をすればよろしいの?」


~~~~~


 そんな訳で、私はカタリーナ様のお気持ちを確かめ協力体制を取り付けたのだ。なんと言ってもご本人のお気持ちを無視しては進められないからね!!


 …完全に信用していただけたかは分からない。けれど、彼女もこの婚約に思うところは多々あるのだろう……。そりゃ、そうだろうな、あの婚約者では……。王子というだけで勉強も剣術もまともにしない、そして婚約者をキチンと扱わず他の女性を侍らせる……。

 そんな人を自分の家に婿に迎えなければならないなんて、本当に何の罰ゲームなのよ!


「カタリーナ様は、この案に乗る、と。そして公爵家からもこの証拠集めをするとお約束してくださいましたわ」


 私は(多分ドヤ顔で)マティアス様を見る。

 すると最初ほっと安心した顔をされたマティアス様は、その後少し困った顔をされた。


「…マティアス様? どうされました?」


 ヤバ。ドヤ顔がウザかったかしら?


「…すまない。実は私の方は……。昔からお付き合いのあるノーマン公爵にお会いして事の次第をお話しし、ご協力をお願いしたのだが……」


 ノーマン公爵。今の国王陛下の弟、アルフレッド ノーマン。14年前の隣国との戦争で、弱冠17歳で少数精鋭の手勢を引き連れ敵の首脳陣をほぼ壊滅させ、当初不利だった戦いを勝利へと導いた。今もこの方のお陰で周辺国は我が国に手が出せないと言われている。

 実際6年程前にも隣国にきな臭い騒ぎがあったのだが、この方にあっさり鎮圧された。…国の英雄なのだ。


 マティアス様のお父上であるワーグナー侯爵は軍務大臣をされている。その関係で幼い頃よりお付き合いがあったそうだ。

 私もマティアス様と婚約したばかりの頃、夜会で紹介されご挨拶をさせていただいたが、黒髪に金の瞳、鍛え上げられた長身の立派な体躯の美丈夫だ。


 私の印象としては、曲がった事が嫌いなある意味真っ直ぐそうな方だったのだけれど……。流石に我が国の第2王子で自分の甥っ子に、不利になる様な事へのご協力を願うのは無理だったかしら……。



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