20.クエストを受けよう!
「それでねっ!」(22)
「さっき言ってたっ!」(19)
「毒の武器っていうのはっ!」(25)
「高いのっ!?」(23)
やっぱりさっきのは見間違いだったか。
上がるダメージの数字は、振れ幅はありつつも変わってなかった。
まぁ、ちょっとづつレベルが上がってるから強くはなってるんだけどな。
「ねえっ!」(21)
「聞いてるっ!?」(24)
「あぁ、スマンスマン。
毒の武器は高いっていうか、店売りやないからな。
敵のドロップか、造ってもらうしかないな」
「それじゃあっ!」(21)
「手に入らないのっ!?」(26)
「ワイが持ってるのあるから、それ使えばええで」
「えっ!? 持ってるの!?」
「ちょっ、まーちゃん手止まっとる!!」
「あっ……」
こっちに振り向いたまーちゃんに、コボルトの攻撃がヒットした。
といっても、別に特別ダメージが増えるとかではないんだけどな。
「持ってるならっ!」(21)
「なんで先にっ!」(24)
「言ってくれないのっ!?」(26)
「いやな、装備するには条件があんねや」
「条件っ!?」(25)
「せや。条件は、クエストをクリアして『毒の知識』っていうスキルを手に入れることや」
「それって!」(24)
「難しいのっ!?」(22)
「いや、それほどでもない……。
と言いたいとこやけど、今のまーちゃんやとなぁ……」
「よしっ!」(27)
「そのクエストっ!」(25)
「受けに行くねっ!」(26)
若干まーちゃんの顔がマジすぎて怖い。
さすがにこんな長期戦をずっと続けるのは、飽き飽きしているようだ。
「まぁ、とりあえずソイツ倒してからな」
「うんっ!」(24)
「でもっ!」(22)
「この剣もっ!」(26)
「とっても!」(27)
「お気に入りなんだけどねっ!!」(103)
「ふぁっ!? なんやそれ!?」
「あ、倒せた」
「いやいやいやいや!! 待て待て!!
なんで最後だけダメージ100超えとんねん!!」
「へ? 見間違いじゃない?」
「えー、そんなことあらへんと思うけどなぁ……」
「そんなことよりも! 早くクエスト受けに行こう!」
「あー、うん。わかった。ほな、いこか」
一体どういう理屈かはわからないが、どうやら前にも出ていた異常なダメージは、見間違いではなかったようだ。
でなければ、戦闘はもう少し長引いていたはずだ。
しかし、理由を探るにも情報不足。
それになにより、まーちゃんの気持ちがクエストに向いているから、今はおいておくとしよう。
クエストを受けに、俺たちは街へと向かった。
「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょう?」
重苦しい空気の流れる、静かな部屋。
そのカウンターに立つ老人は、丁寧に話しかけてきた。
ここは街にある魔導士ギルド。クエストはここで受けるのだ。
そして、魔法関係のスキルや、上位魔法の習得にも訪れる場所。
魔法を使うために必要な消耗品なども販売している。
そしてクエストとは、その魔法を使うための消耗品、秘薬の原材料という設定の、毒草やキノコを取ってくるというものだ。
「毒物の収集したいんやが、試験頼めるか?」
「かしこまりました。
トントン様はすでに終えているようですので、マコ様が受験されるのですね?」
「せやで。ルール説明はワイがするからいらんで」
「かしこまりました。連れ添いは構いませんが、くれぐれも手伝おうなどとは考えませんように」
「どの道セーフモードや、手伝われへんわ」
「左様にございますか。では、お気を付けて」
収集物のリストを渡し、老人は静かに頭を下げる。
その姿は、何度見てもNPCとは思えぬ動きだ。
なにより選択肢ではなく、会話で物事を進められるのだから、今時のVRというのはすごいもんだと感心するばかりである。
「あの、トンちゃん。この後はどうすればいいの?」
「あぁ、毒沼に行ってな、きのこ狩りや」
「なんか、思ってたより簡単そうだね」
「まぁ、そのキノコってのは、モンスターなんやけどな」
「へっ!?」
次回更新は8/29(日)となります。
また次回より、火・木・日の7時・18時更新となります。
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