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16.初めての買い物



「それで、武器の攻撃力が100なのがいいのはわかったけど、色々あるよ?」


「まー、武器の種類はなんでもええやろ」


「適当だねぇ……」


「武器によっては色々補正あるんやけど、どれも一長一短やしな。

 あとは武器の種類によって攻撃力に補正かかるスキルあるんやけど、製造職ならそのスキルとらんやろ?」


「うーん……」


「まぁ、とりあえず使い回しやすい短剣でええかもな。

 あとは追加効果とかあるけど、店売りは大したもんないし、どれも変わらんやろ」


「そう言われると、逆に悩むんだけど……」


「ほな、見た目で選び」


「うん。見てくるね」



 まーちゃんは、所せましと並べられた剣を一本一本取り出し、じっくりと眺めている。

どれを買っても大差ないなら、気に入った見た目のものの方がいいだろう。


 このVRの世界は、見た目だけは綺麗だし、着飾ることに全力のプレイヤーも居ると聞く。

たぶんまーちゃんもそっち側の人間だと思うしな。



「トンちゃん! これにするー!」


「はいはいー、どれどれ」



 まーちゃんが選んで持ってきたのは、シンプルな波打つような金の装飾がされた短剣だった。



「えらいシンプルなのにしたんやな」


「うん。お気に入りの一本は、自分で作りたいなって」


「おー、店のモンではお眼鏡に敵わんかったか」


「そっ、そんなことないよっ!?」



 まーちゃんは、店主の方をちらちら見ながら早口の言い訳をした。

ガチ勢ってのは、NPCにまで気を使うのか……。まぁいいけど。



「まぁでも、これやったら攻撃速度ボーナスついてるし、ちょうどええかもな」


「そうなの?」


「せや。純製造ステータスやと、INTとDEX上げることになるからな。

 速度も攻撃力も基礎レベルによる補正しかあらへんし、ちょっとでも武器での補正あった方がええやろ」


「Zzz……」


「寝んの早いわっ!!」


「ひゃうっ!? あ、もういい?」


「せやな……。おっちゃん、コレくれやー」


「……まいど」



 NPCの店主は、短くそう答えるだけだった。

受け取った武器をまーちゃんに渡すと、すぐに手に持ち、軽く素振りを始める。

意外としっくりきてるその動きに、少し違和感さえあった。



「どう? サマになってる?」


「ん? せやな、ええと思うで」


「えへへ……」



 はにかむ姿は、ただの可愛い女の子なんだけどな。

まぁいい、次は防具を揃えてやらないと……。



「ほな、次は防具や。移動するで」


「はーい。もしかして、防具も色々面倒な事が……?」


「ない。防具は性能が全てや。その分装備するんに、レベル制限あるけどな」


「それじゃあ、良いの買っても装備できないの?」


「それはあれや、レベル制限あるんやったら、全部買っとけばええねん」


「えっ……。そんなにお金ないよ……?」


「そこは心配せんでええで。ワイに任せとき!」



 ドンッと胸を張れば、まーちゃんはまた抱きついてくる。

そりゃね、今の姿だと胸を張ったところで、マスコット感は拭えないからね。しかたないね。

そのまま抱きかかえられ、俺たちは武器屋を後にした。



「ええと、たしか防具屋は……。左行って、突き当たりを右やな」



 マップを見ながら説明すれば、まーちゃんはゆっくりと歩きだす。


 きょろきょろと周りを見回しながら、石造りの建物一軒一軒を眺め、楽しそうだ。

といっても、入れる建物は少なくて、大抵が他プレイヤーの家として貸し出されている物件なんだけどな。



「なんや気になるんか?」


「何があるのかなーって」


「大抵は貸家や。金貯めたら、まーちゃんも借りれるで」


「へー。お店も多いし便利そうだね!」


「ワイは人多いトコは苦手やから、街の外に家持ってるけどな」


「外に建てることもできるの?」


「せやで。街中は賃貸やから定期的に金払わんといけんけど、外なら建てたらそのまんまや」


「へー。悩むなぁ……」


「まぁ、今はまだ無理やろうけどな」


「そだね、お金貯めないとだね!

 あっ、なんか人がいっぱいいるけど、なんだろあれ?」


「ん? なんや?」



 指差す先には、言葉通り人だかりができていた。

わいわいと騒々しいが、どうやらそれらは賑やかしのNPCのようだ。

何かのイベントでも始まったのだろうか?

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