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第11話 〈報酬!!〉

 

「ったく……まだ怒ってんのかよ?」


「当たり前じゃないですか! 防御力の低い私を盾に使ったんですよ! もう……! キビギビ運んでくださいキビキビと! それで許してあげますから!」


「あぁチクショー重てぇ」



 ヘッドバットディアとの戦いで、頭突きをアンナに当たるよう誘導した事を、根に持たれていた。

 その罰として、倒したヘッドバットディアを一人で運ばされている。


 討伐クエストや狩猟クエストだと、ギルドの運搬班が近くで待機してくれているのだが、それ以外のクエストだったりクエスト外の討伐や狩猟だと、自分で運搬するか、必要な部分だけを解体して持ち帰る事になる。


 後から運搬班を手配してもいいが、運が悪いと他の魔物に喰われていたりして回収出来ないことも多い。



「やっと着いたよ。あ〜腰痛えし腕はパンパンだし」


職業(ジョブ)の中でも力が高い戦士の癖にグチグチ言わない。あ、買取お願いしまーす」


 アンナが冒険者ギルドの裏口にある()()窓口で、ヘッドバットディアの買取依頼をする。

 今回は依頼に含まれていない魔物だから、全部を売り払う事が出来る。



「アッシュさん。全部お金でいいか? ですって」


「いや、一番美味い部位をメシにして出してもらおう」


「あ、それいいですね〜」


 そうアンナが職員に頼みに行く。



 買い取ってもらう魔物は、金に変えるか、食べるか、肉にして持ち帰るかの三択だ。


 もちろん今回のように一部を食べたり、持って帰ったりと細かく要望は聞いてもらえる。

 ただ、金に変えるなら捌いてもらった後に、一頭丸々売るのが一番高く買って貰える。


 なぜ捌いた後なのかと言うと、肉は新鮮な内に部位ごとに切り分けられ、すぐに卸されるか冷凍されるかで、内蔵は魔物によって全部捨てたり、一部を食べたり薬として使ったり色々だ。


 そして何より、稀に体内に魔石を持っている個体がいる。

 この魔石が貴重で、魔導具の燃料になるので高値で買い取って貰える。

 この魔石の有無を調べる為に、すぐさま解体されるのだ。



「へっへ〜、魔石……ゲットだぜ〜」


 ニヤニヤしながらアンナが小石サイズの魔石を持ってきた。



「何だよ売らなかったのか?」


「だって正直お金より魔石のがよくないですか? 買うと高いし持っていて困る物じゃないし……それにお金は困ってないでしょ?」


 最後の方は、ゴニョゴニョと周りを気にしながら耳打ちする様に話して来た。



「それもそうだな。じゃあ完了手続きしてディア肉食おうぜ」


「そうしよ〜! イェーイ!」



 冒険者ギルドに入り、受付横の納品窓口に行く。

 魔物なんかは外の解体窓口、植物や鉱石なんかはギルド内の納品窓口に納めるのが一般的だ。


「はい、確かに薬草20株受け取りました。コチラの伝票を受付に提出してください」


 納品確認の伝票を貰い受付に、冒険者カード、受注依頼書と一緒に提出する。



「前から思ってたけど、この窓口たらい回しにされるのなんとかならないのかね」


「お役所仕事って感じですよね〜」


「納品窓口で達成手続きや報酬なんかの精算も一緒にやりゃいいのに」


「納品窓口の職員は鑑定士さんだから、鑑定がお仕事なんですよ。あの人達もギルドに雇われてるだけですから」


「へぇ……知らんかったわ。 全員ギルドの職員だと思ってた」


「まあギルドの職員だとは思いますけどね。あ、呼ばれましたよ」


 受付に行き、達成報酬の冒険者カードを貰う。



「やっす」


 あまりの報酬の安さにドン引きする。



「金額じゃないですよ〜」


「一体全体E級冒険者なんかは、こんな報酬でどうやって生計立ててんだ!?」


「私は教会がありましたから……アッシュさんはどうだったんですか?」


 冒険者を始めた頃を思い出す。



「俺? 俺は元からそこそこ強かったからな……一瞬でB級位まで上がったから、あんま駆け出しの苦労とかは無かったなぁ……」


 一般的にはC級冒険者ぐらいから、冒険者一本で食べていけると言われている。



「……さすが元天才魔導士ですね……今は見る影も無いですけど!」


 なんかトゲトゲしい物言いだが、そんな事よりも冒険者カードの確認だ。

 薬草採集とヘッドバットディアを倒した事でレベルが上がってるはずだ。



「おお!」

「やったぁ!」


 二人ともレベルが3に上がっていた。

 もちろんスキルやステータスの変化はない。

 それでもレベルが上がったという事実は、気分を高揚させるには充分だった。


 これが冒険者の悦びか。


 俺とアンナは思わず向き合い、マントの端を持ってご機嫌カーテシーをしてしまう。



「ハッ……!?」


 俺は何をやっているんだ。

 女のアンナはともかく、男の俺が満面の笑みでカーテシーをしている画はヤバすぎる。

 誰にも見られてないだろうな!?


 ほっ……その心配は杞憂に終わったようだ。

 だが気を引き締めなければ……最近何かあるとすぐカーテシーをしてしまいそうになる。

 魔導士の頃はこんな事無かったのに。



 冒険者ギルド内に併設されている食堂兼酒場で今日は昼飯だ。

 何と言っても、倒したヘッドバットディアの肉を、一部分を売らずにランチに回したから、豪勢な昼飯になるだろう。


「それで? どこの部位飯にしてもらった?」


「どこだと思いますか〜?」


「そういうのはイイから早く言えや」


 アンナはクイズを楽しみたかったのか頬を膨らませた。



「ブーブー、ノリの悪い人だな〜。正解は牛さんで言うとこのサーロインと、モモ肉とレバーで〜す」


「お、おう。だいぶランチに回したな」


「サーロインはステーキで、レバーは串焼きモモは唐揚げでお願いしました!!」


 コイツ……さては昼間から飲む気でいやがるな?



「酔い潰れても俺は面倒みんからな」


「そんな事言って〜。黙ってお水とか持ってくるタイプの癖して〜。付き合い長いんだから知ってますよ〜」


 ヨシ、酔い潰れたら置いて宿に戻ろう、そうしよう。



「来ました! 来ましたよアッシュさん!」


 子供か。



 テーブルに運ばれてきたヘッドバットディアの肉は、なんとも食欲をそそる香りを漂わせていた。


「じゃあいつものやりますね」


 アンナがいると食事の前にコレをやるのが通例だ。



「手を合わせてください」


「合わせました」


「いただきます」

「いただきます」


 この子供がやりそうな一連の流れがアンナが所属していた教会の食事前の挨拶だ。

 ちなみに食後ももちろんやる。



「おお!? ディア肉美味いじゃないか! やっぱ新鮮なのもいいのかね」


 俺がディア肉のステーキに舌鼓を打っていると、アンナはレバーの串焼きを頬張りながらビールを呷っていた。



「プッハー! クエスト後のビールはたまりませんな!」


 どこのオヤジだお前は。

 しかもクエスト後にビール飲んだの今回が初めてだろう?



「レバーは新鮮な奴に限りますな! これがまたビールに良く合う!」


 もう【聖女】と呼ばれた純真なアンナは何処にもいない……俗世に塗れて汚れちまったんや。



「そしてこのモモ肉の唐揚げ! 鶏肉とは違ってコレも美味い! 油っこい揚げ物もビールに合うわ〜」


「なぁ……ペース早くないか?」


「早くなんてないですよっと! そんな事言わずにアッシュさんも飲みなよ〜」


 俺はよほどの事が無い限り、夜しか飲まない事にしている。



「次のクエストの事も話したいしさ……飲み過ぎるなよ?」


「かぁ〜〜! クエスト終わったばっかりなのに、もう次のクエストの話ですか!? マジメか!」


 コイツこの前もそうだったけど、酔うと絡んでくるのがなぁ……面倒くせぇ。



「ほら? アッシュさんも食べて食べて。唐揚げ無くなっちゃいますよ〜?」


 レバーの串焼きはもう無いじゃねえか。

 俺一本も食べて無いぞ。



「俺が倒したのに……」


 ボソっと呟いたのをアンナは聞き逃してはくれなかった。



「誰のおかげでこの肉倒せたと思ってんれすか!? 私が誰かさんの盾になったおかげじゃないれすか!」


「……すみません」


「だいたいアッシュさんはいつもれすねぇ……」


 延々と日頃の愚痴を聞かされる。


 もうダメだ……俺も飲もう……。



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