表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/78

Ⅰ-70 緑の旅団

■第4迷宮南の湿原


いつものように日の出に朝食を取った俺達はキャンピングカー周辺のトカゲ軍団を手分けして一掃してからエアボートに乗り込んだ。今日も快晴だ、というよりこの世界は雨が降らないのか?と疑問を持つぐらいにいつも晴れている。昨日と同じように細い水路を縫って迷宮のある池を目指した。だが、今日も池の3km程手前でインカムからミーシャの声が聞こえた。


「一度、止まってくれ」

「どうした?やばいヤツがいるのか?」

「それもあるのだが、緑の旅団が昨日のラプトル?だったか、ヤツと戦っている」


昨日は夕食後にジュラシック的な映画を見せてやったのだが、言葉や文字がわからないまま見ていた二人は興奮して絶叫していた。その時に似ていた恐竜の名前だけは教えてある。ミーシャが見ている方へ俺も双眼鏡を向けたが、見つけることが出来なかったのでボートを更に1km程近づけると、ようやく見えてきた。恐竜は2匹だが、槍と剣を持つ獣人たちが30人ぐらいで取り囲んでいる。恐竜には既に槍が刺さっていて、かなり弱っているようだったが、大きな口を開けて獣人たちを威嚇している。しかし、頑張りも限界だったようだ。1頭が喉元に炎を纏った槍を突きたてられて倒されると、残りの一頭もすぐに同じ運命をたどった。倒した奴らは槍を突き上げて雄たけびあげているのが、離れた俺たちのところにも聞こえてきた。


さて、問題はこれからだ。こいつらも、俺達の動きを予想して迷宮へ来たのだろう。黙ってみていると、迷宮のお宝を奪われるかもしれないが・・・、仕方ないだろう。今から割り込めば、戦闘になるのは間違いない。攻撃されれば反撃するつもりだが、お宝を奪うためにこちらから仕掛けるつもりは今のところ無い。しばらく様子を見るしかないと言うことだ。俺はボートのエンジンを止めてから、ヘッドセットを外して後ろのサリナ達に話しかけた。


「ミーシャ、サリナ、緑の旅団がどうするかを見てから、動くつもりだけど我慢してくれるかな?俺は魔法を使ってあいつらから魔法具を取り上げるつもりは無いんだよ」


「サリナはサトルの言う通りで大丈夫!お兄ちゃんからの言いつけだもんね!」

「私もサトルの判断に従おう、あいつらが魔法具を見つければ、金で買い取れないかを交渉するつもりだ」

「じゃあ、しばらくはこの場所で様子を見るから周りにも目配りしといて。サリナの炎は使用禁止ね。火は遠くからでもみつかるからな。水と風でふっ飛ばしておけ」

「火はだめなのかぁ、じゃあ、じぇっとで頑張る!」


俺はサリナの頑張りを信じることにして、双眼鏡で獣人たちの動きを追いかけた。緑の旅団の獣人は緑や灰色の鱗に覆われた皮膚を持っている。服は上に半そでのベストで下はスカートのような物を纏っているだけだ。膝上ぐらいのスカートの裾からは後ろに尾がでているから、ズボンは履き難いのだろう。


戦っていた30人以外にも大き目のボートを運んできた奴らもいて、総勢50名ぐらいで迷宮へ遠征してきたようだ。ボートは二つ持ってきているが、既に一隻は6人を乗せて池へ漕ぎ出している。6人ともパドルを持って、両舷から必死にこぎ始めた。人力とは違う力でボートはかなりのスピードで進んでいく。だが、ボートの後ろの水面が波立ってきた。何かが追いかけている・・・、いきなり水面に大きな波が立ったと思った瞬間にボートは底から突き上げられて、6人とも池に落ちた。二人は引っ繰り返ったボートの上に戻ろうとしているが、何かの力で一人が池に引きずりこまれた。4人は岸に向かって泳ぎ始めていたが、一人、また一人と消えて行き、泳いでる人間が視界から消えた。ボートにしがみついていた最後の一人も、大きな波紋を残して消えていった。昨日の口がワニのヤツだろう、1匹だけでは無さそうだ、何匹もいるに違いない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ