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Ⅰ-30 迷宮 前編

■バーン南東の第一迷宮


早朝の虫退治が終った後にムカデで汚れまくった豪華キャンピングカーはストレージで廃棄することにした。

代わりに、形は似ているが違うドイツ製のキャンピングカーを呼び出す。

何となくもったいないような気もするが・・・関係ないね!


綺麗になったキャンビングカーで、トースト、サンドイッチ等のパン中心に朝食を用意してやった。

サリナ達が色んな飲み物を試している間に、二人の装備品も呼び出しておく。

虫相手なら俺の武器は小口径のサブマシンガン中心で良いだろうが、砂埃が酷いので、目鼻口を守るために無色のサングラスとフェイスマスク等を準備した。


朝食後にミーシャにも着替えを頼んだが、嫌がらずに俺の渡した物を装備してくれる。

むしろ、新しい服等に興味があるようだ。


目の前にはミリタリーウェアに身を包み、ケブラー素材のヘルメットの下にサングラスとフェイスマスクで顔を隠したハーフエルフが完成した。

俺の中では何ともいえない感動があったことはお伝えしておくべきだろう。


サリナにも同じ格好をさせて迷宮に向かった。

周囲を警戒するがキャンピングカーの周りには虫の残骸しかない。


迷宮の入り口周辺も悲惨な状態だ、迷宮の壁に虫の足や体液が爆風で張り付いている。

あまり見ないようにして、いよいよ迷宮の中に入っていく。


中に入るとすぐに暗くなっていき、ヘッドライトの明かりだけが頼りになった。

俺は銃のフラッシュライトを点灯して、サリナとミーシャにもベストに装着したライトを点灯させた。


「ここから先は、俺が良いって言うまで声を出さないように。俺の手合図で進めと止まれに従って」


二人は黙って頷いた、非常に素直でうれしい。


迷宮の中は全てが岩と砂の茶色い世界だ。

ライトが当たる範囲を広げながら前進していくが、入り口からの通路はもう少し先で広い空間に繋がっているようだ。


広い空間の前で立ち止まった俺は、ライトの光を空間の奥に向けた。

右、左、上、どこにも魔獣は居ないようだ。

そこは広さが直径50メートルぐらいある広場のような場所だった。

中心まで歩いて行くと、天井の高さが高くなっている。

ドームの中? そんな感じだ。


広場の開口部は入ってきた広い通路以外に5ヶ所見つかった。

通路の出入り口なのか、幅1メートルぐらいの暗い穴が不規則に開いている。


いかにも迷宮らしいつくりだ。

入ってきた通路から見て一番近い右側の開口部から攻めることにする。

ベストから緑のケミカルライトを取り出して目印においておく。

まだ迷うようなレイアウトではないが念のための措置だ。


通路は入ると右に折れ曲がっているようだ、頭だけ入れて覗くと・・・居た。

サソリちゃんだ、二匹が重なり合ってスロープのように上っている通路でウネウネしている。

何も考えずにサブマシンガンのフルオートでなぎ払う。

体液まみれになったサソリは動かなくなった。


スロープは幅1メートル程度の狭い通路が緩やかにカーブしている。

俺を先頭にサリナ、ミーシャがサソリを踏みながら、避けながら上に登っていく。

この先は構造的にさっきの広場の上階につながっているはずだ。


スロープの突き当たりで右に開口部が開いている。

頭を低くして開口部を除くと目の前にアリがいた。

大きな牙が両側から俺に向かって来る。

至近距離からサブマシンガンで弾き飛ばしておく。


このフロアは蟻のフロアようだ、目の前のヤツ以外に10匹近くが部屋の中にいる。

面倒なので手榴弾を選択することにした。

三人ともヘルメットにはあらかじめイヤーマフをつけている。


壁の陰からピンを抜いて二つ投げ込み目を瞑ってかがみこんだ。

1、2、「3」になる前に、立て続けに爆音が響き、開口部から砂埃が噴出してきた。


砂埃が落ち着いたタイミングで、中を覗くと蟻はしぶとかった。

足が千切れている3匹が触覚をビンビン回しなら走り回っている。


部屋に踏み込んで、サブマシンガンで短い連射を繰り返す。

乾いた発射音が連続し、蟻から甲殻と体液が弾き飛ばされていく。


全ての蟻が動かないことを確認してから部屋の構造を確認した。

広さは学校の教室ぐらいだろうか?

開口部は入ってきた場所を含めて3箇所ある。

右側の開口部に近寄って覗くと下に下りるスロープだった。

俺は赤いケミカルライトを出して開口部の前におき、もう一つの開口部を目指した。

そっちは上に向かうスロープだった。

覗いても何もいなかったので、緑のライトを置いて登り始める。

スロープはかなりの勾配だ、時折手をつかないとバランスを崩しそうになる。


スロープの突き当りから覗いた部屋は狭いようだが、いろんなヤツで床がうねっていた。

そいつを見た俺は思わず後ろに下がって、尻がサリナの顔とぶつかった。

不思議そうな顔で俺を見たサリナに目だけ笑って手榴弾を用意する。

二人にはイヤーマフを抑えるように合図しておく。


俺は壁を遮蔽物にした地面に手榴弾を並べてから、部屋の奥に5発を順番に投げ込んでいった。

5発目を投げると同時に部屋の中で1発目が爆発した。

目の前に開口部からの砂埃と閃光が見えたが、そのまま目を瞑った。

残り4発が狭い空間で連続して爆発していく。

爆風と爆音が体をゆさぶる。


さっきの部屋より狭いからだろうか?

吹き出してくる爆風の威力も大きくなっている。


入った部屋の壁一面には『蛇』であった物の肉片が張り付いていた。

この迷宮は最悪だ、虫の次は床一面の蛇って、趣味が悪すぎる。

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