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Ⅰ-16 武器訓練

■レイジー周辺の荒野


サリナは昨日の夜から怖かったらしい。

俺がいきなり消えて、置いていかれたのだと。

そして、朝起きると獣達がいっぱい・・・

確かに今朝から口数が少なかったような気がする。


俺としては、自分の部屋に戻っただけだがストレージの仕組みがわからなければ、確かにそうだったのかもしれない。

少しは気を使ってやるべきだった・・・のか?


いずれにせよ、俺の予定を変えるつもりは無い。

まだまだ武器を使ってみたい。


町を出た俺は四輪バギーを呼び出した、二人乗り出来て、ハンドルとアクセルが原チャリと同じタイプのものだ。

悪路走行もできそうなので、これから向かう荒野には丁度よさそうだ。

公道は走行できない・・・関係ないね!


装備を整える。

ヘルメット、ゴーグル、グローブ、フェイスマスクをサリナにも渡して装着する。

サブマシンガンとハンドガンもホルスターに入っている。


最初は10km程度でゆっくり走り出す・・・揺れるが問題ない。

サリナは俺の腰に手を回して、大きな胸が背中に密着している。

少しずつだがこの状況にも慣れてきた、周りの目が無いことも影響しているのだろう。


大きな起伏が無いところは30kmから40kmで走り続けた。

40分ほど進んだところで都合の良い岩場に出た。

大きな岩が荒れた土の上に沢山あって、草が殆ど生えて居ないから見晴らしも良い。

獣に襲われるリスクは低いだろう。

そうは言っても心配だから、まずは安全対策だ。

昨日のキャンピングカーを呼び出して中で武器のセッティングを始める。

ここでは一人で扱える重火器を試してみたい。


最初に使い方を覚えたかったのはM18クレイモア地雷だ。

この地雷は踏んだら爆発するものではなく、離れた位置からケーブルの信号で特定の方向に細かい散弾を飛ばすことができる地雷だ。

ワイヤーでトラップのように使うことも出来るらしいが、俺にはワイヤーのセット方法がわからなかった。

4つ用意して最初に発火装置が稼動するかをテスターで試す。

動画によると-カチッ-と言う音がして、テスターの覗き穴の色が変われば正常に稼動しているらしい。


発火装置は全て正常に稼動していたので、ワンセットを持ってサリナと一緒にキャンピングカーを出て行く。


弁当箱のような地雷の足を地面に刺して、発射する側を1m位ある岩に向けてセットした。

ケーブルを限界まで延ばして、離れた場所の岩陰に隠れる。

こちらには飛んでこないはずだが間違いが無いとは限らない。

ケーブルに発火装置を接続してサリナにわたす。


「俺が、『GO』って言ったら、このレバーを握ってよ。良い?」


かなり怯えているがサリナは頷いてくれた。

念のため、クレイモアの周囲を確認するが置いたままの状態で地面に刺さっている。


サリナと目を合わせた。


「GO!」


-バァァーーーン!-


爆発音が荒野に響き渡る。

震えているサリナの頭を撫でてやり、クレイモアの威力を確かめに行く。


岩の表面が広範囲に欠けていて、足元には鉄球がいくつか落ちていた。

大型の獣を殺傷することは出来ないだろうが、背後を守るには充分のはずだ。

結果に満足した俺は残りの三つをサリナにセットさせて、同じ手順で爆破させた。

サリナは不思議ちゃんだがバカではないようだ、言われたことは見よう見まねで出来た。


キャンピングカーに戻って、クレイモア地雷も10セット『武器の部屋』に追加しておく。


次は対戦車ロケット砲を練習することにした、森の中ではロシアのRPGも試してみたが、米軍でも採用されているAT4が一番使いやすかった。


この対戦車ロケット砲は使い捨てだが、操作がシンプルで重さも7kg弱と軽量だ。

使い捨て? 何の問題もない、いくつでも呼び出せるんだから。

一つだけ注意が必要なのは後方にかなりのガスが出るので、後ろに人は立たせてはいけないという事らしい。


イヤーマフとサングラスを付けて、サリナにも持たせた5本のAT4を持って岩場に向かう。

双眼鏡で距離を測ると150メートル先に丁度いい岩があった。

岩の高さは3メートルぐらいありそうだ。


安全装置と保護カバーを外し、レバーを発射状態にする。

片膝を地面について、右肩にAT4をのせて照準器を覗き込む。

岩の下に目標を定めて赤い発射ボタンを押した。


-ダァァーーーン!-  -バァァーン-


耳元での爆裂音に続いて岩が地面から吹き飛んだ!

想定したより上に行ったが目標を破壊できた。

木っ端微塵になる岩がチョー気持ちいい。


調子に乗って残り4本のAT4も他の岩に撃ち込んだ。

だが、150メートルを超えた的は上を通過してしまった。

今のところ俺のAT4の最大射程は150メートルだと思っておくことにする。

保守的に考えないと命取りだ。


その後も対戦車ライフルを試し打ちしてみたが、反動が大きすぎて5発撃ったら肩が痛くなったのでやめる。

銃を手放して手榴弾を10発ぐらい岩の向こうに投げて遊んでみたが、飽きてきたのでサリナを連れてキャンピングカーに戻った。


サリナに焼肉弁当を出してやり、俺はコンビニおにぎりのイクラと明太子をかじりながら武器の検索をし続けた。

今日のサリナは相変らず無口だったが、ぼそぼそとしゃべり出した。


「サトルさん・・」


「どうした、サリナ?」


「サトルさんの魔法・・・凄すぎて怖いです・・・」


確かにそうだろう、大きな岩が粉々になっているのだから、それに音もすさまじい。

俺も最初に森で試していたころは興奮と同時に音と破壊力に恐怖を覚えた。

だが、何事も慣れだ。

銃も怖いものだが、銃口の向きに注意すれば後ろに飛んでいくことは無いだろう。

最近の銃は落としたぐらいでは暴発しない・・・らしいし。


「そうか、やっぱり怖いのか。バーンの町には明日着くからその後は別行動にしよう。明日まで我慢してよ」


「・・・それも嫌です。怖いけど凄いからもうちょっと一緒にいたいです」


「ふーん、いずれにせよお兄さん見つけてから考えようか」


サリナはいると便利だが、今後の動きが制約されるような気がする。

気分よく武器を撃ちまくる俺の異世界にはやっぱり美少女は入らない気がしてきた。

この先、どうしたものか?


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