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Ⅰ-15 事後処理

■バーンの町へ向かう街道


草むらの中には助けた男以外に二人倒れていたが、既に息を引き取っていた。

首の骨が折れていたようだ。

正直ビビッた。

死んだ人間、いや殺された人間を見たのは初めてだ。

あんなに血がでて、真っ白な顔に・・・


イメージでは覚悟していたが、死体を見て血の匂いをかぐと覚悟が足りないことを思い知らされる。

リセットボタンは無い、更に手堅く行くことにしよう。


助けた男は名前をリッグスと言った。

馬車の護衛として3人でギルドから仕事を請け負ったらしい。

襲ってきたのはブラックティーガーと言う名前で、俺が見たところ異常に前足がデカイ虎の仲間だった。

あんな前足で襲われれば、生きているリッグスがむしろ奇跡に近いだろう。


リッグスは立てるようになっていたので、そのまま立ち去ろうとしたが・・・

案の定、馬車の男とリッグスからお呼びが掛かった。


「お前達はこの先の町へ行くのか?」


「ええ、町は通り過ぎてバーンまで行くつもりです」


「今日中にバーンまで付くのは無理だぞ」


「ああ、向こうに早馬を隠してるんですよ」


「馬に乗っても、夜になってしまうだろ?」


-馬では間に合わないことがばれたか。当然だな


「そうですね、ここで時間が掛かったから・・・」


「次ぎの町に行くのなら頼みがある。ギルドによって、この手紙を渡して助けを呼んで欲しいのだ」


馬車の男が窓から顔だけを出して俺を見ている。


-別に町へ寄るぐらい構わないが、あまり係わり合いにならない方が良い気もする。

-さて、どうしたものか・・・


「もちろん、報酬は払う。・・・金貨一枚でどうだ!」


-金はもらっても使わないんだよな・・・

-欲しいのは情報だ、サリナの情報は薄っぺらい


「足らんのか? 金貨2枚でどうだ!」


-金じゃあ、無いんだよ。

-情報をどうやって・・・


「わかった、金貨3枚だ! これで何とか頼む!」


-あれ、いつの間にか、値段を吊り上げた感じになっている。


「いえ、金貨2枚でいいですよ、その代わり今日の夜でも良いのでリッグスさんからこの辺りの情報をもらえないでしょうか?私は遠い国からきたので、この国のことを全然知らないんですよ」


「それは、もちろん構わない。お前達は命の恩人だ。情報ぐらい幾らでも教えるさ。だが、このままでは馬車が動かせない。何とか次の町まで行ってギルドから人と馬車を送ってもらって欲しいのだ。この通りだ」


「わかりました、ギルドの人に手紙を渡すだけで判るなら、渡してきますよ」


「ありがたい、この手紙を頼む。くれぐれも気をつけて行ってくれ」


馬車の男は手紙と金貨をリッグスから俺に渡してくれた。


俺とサリナは小走りに街道を走って行き、道が曲がって馬車が見えなくなるところまで行ってから三輪スクーターを取り出した。

無駄に1kmぐらい走らされたことになる。


次の町レイジーまではスクーターで20分ほどだった。

町の少し手前でスクーターを降りて歩き出し、入市税の銅貨2枚を払って町へ入る。


この町のギルドも教会の横にあった。

教会は今までの町でも町の中心に立っていた。

この国の特徴なのだろうか?


ギルドはエドウィンと同じぐらいの大きさだ、造りも同じで右側の役所みたいなカウンターが受付だった。


受付のぼっちゃりしたお姉さんに手紙を見せると、慌てて奥へ引っ込んでいった。

嫌な感じがする、絶対に何かに巻き込まれそうだ。


奥からこれまた小太りのオッサンが出てきた。

見るからにここの責任者っぽい。


「この手紙を受け取った場所ですが、ここからどのぐらいのところでしょうか?」


スクーターで20分、時速50kmとして・・・約17km? 馬車は時速5km・・・


「馬車で3時間ぐらいの距離ですね」


「ありがとうございます、すぐに救援を送ります。それで、皆様は出来ればここでお待ちいただけますか?食事や飲み物はギルドからお出ししますので」


「良いですよ、少し外に出てきますけど救援が戻ってくるころはこの中にいるようにします」


馬車で往復6時間もここで待っているのは効率悪い。

ストレージの整理をしている方がましだろう。


ギルドの責任者っぽい人は俺に礼を言うと、直ぐにカウンターの外に出てきてホールで飲み食いしてた人に声を掛け始めた。

報酬がいいのだろう、耳打ちされた奴らはすぐに武器を持って外に出て行きだした。

10人ぐらいは集まったように見える。


俺には興味ない話だ、万一リッグスが戻って来れなくても失うものも無い。

サリナをホールのテーブルに座らせて、掲示板を見に行く。


求人、仕事が前の町より更に増えている。


求人はバーンの町からのものが張り出されている。

討伐チームへの加入を求めるもののようだ。

パーティーよりも大きな規模を討伐チームと言っているのだろう。


-見習い可! 剣士、槍使い、運び屋多数募集中!


即戦力じゃなくても育てる気があるのか?

それとも雑用係として使うつもりなのか?


仕事は雑用よりも圧倒的に討伐系が多い。

そういえば、マッドボアとトリプルホーン、さっきのブラックティーガーも・・・


マッドボア     1匹/銀貨4枚

トリプルホーン   1匹/銀貨4枚

ブラックティーガー 1匹/銀貨8枚 ・・・


既にトータル金額が判らなくなっているが、銀貨が100枚以上はもらえそうだ。

倒したモンスターの分をここで換金すべきか?

何となくやめておくことにした、ここでは素性は隠したほうがいいような気がする。


倒したヤツ以外にも討伐対象に虫系のモンスターが多くなって来た。


レッドスパイダー  1匹/金貨1枚

サンドスコーピオン 1匹/銀貨7枚

森ムカデ      1匹/銀貨9枚


簡単な絵がつけてあるが見るからに気持ち悪い。

あまり撃ちたいと思うヤツでは無い。


-時間つぶしに狩りも出来そうに無いし・・・、新しい武器を試しに行こう!


俺はギルドの外へ出ようとした、ちっこい娘が走ってきた。


「置いていかないでください!」


ギルドのホール中に響く大声だ。


-勘弁してくれよ、ったく。


「ちょっと外に出るだけだって、ここにまた戻ってくるから、ここで何か食べさせてもらえば良いんじゃない?」


「そ、そんなこと言って、またいきなり消えちゃうんでしょ! 怖いんです、直ぐに消えちゃうから!」


-声がでかいっちゅうねん


周りの目が気になりだしたので、サリナも外に引っ張り出した。

仕方ない見張りとして連れて行くか。

いや、せっかくだサリナにも何かを仕込んで・・・


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