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幽影の君  作者: セレン☆
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依頼1

ギルカは無表情で無口な少年。淡々と必要最低限しか話さないため、今回は台詞がほとんどありませんが、背景をお楽しみください。

ギルカは任務遂行をする為にかしらから受け取った6つの依頼書を手にアジトを出た。向かった先はスライニング町。ギルカのアジトがある国、王都の城下町である。アジトからは五十数キロと遠いが、本気で走れば、2時間弱で着くため、問題はない。


ギルカはアジトのある森の中から麓に降りると、王都まで民間の家の上を屋根伝いに走っていく。足音はなく、風を切る音のみが暫くギルカの周りで起こった。



城下町に着くと、ギルカはまず一つ目の依頼書に目を通した。


“シェイドなる者に

よわい20代前後男性

Pの付く服装で連続強盗犯人

範囲は『銀の』から約2km

見つけ次第討伐を依頼する”


という内容だった。シェイドなる者とは裏社会の人間を指す。Pの付く服装は普通の人間の服装となんら変わりないが、1部変装しているという裏暗号文字。『銀の音』は北東支部ギルドのこと。足りない情報はより正確な情報を得るために近くの表の人間や裏の人間に情報収集することがある。


そんなわけで、ギルカは時間的に効率のいい方法を取って、『銀の音』に入り、まず受付で今回の連続強盗について聞いてみることにした。


ギルドの内はこれでもかと言うほど騒がしく、一般の人々が行き来し、いこいの場として過ごしているようだった。


「こんにちは、今回のご用件は何でしょうか?」


ギルカが受付に近づくと、決まり文句のように受付嬢が対応して来た。


「ここ最近で起こっている連続強盗について聞きたい」


「はい。少々お待ち下さいませ」


ギルドには色々な情報が集まってくる為、事件や事故の話や魔物討伐依頼の話などよく出てくる。その資料として保管されている物が幾つもあるのだ。


話を聞くと受付嬢はすぐに奥の部屋へと入り、資料を幾つか手にして戻ってきた。


「こちらが最近の連続強盗に関わる資料です。何件かあるので、見てください」


ギルカは資料を受け取り、内容を見てみると、似たような強盗のものが幾つかあったが、2つ今回の事件に一致するものがあった。しかし、その2件はどちらも男性であり、20歳前後だが、人物は一致していない。


【強盗資料No.2099】

名前:ゼルネス·スカージャック

齢:18歳 男性

備考:赤いキャップと青いパーカー姿。黒いカバンを持ち、ナイフを手にしている。

無職で銀行に繰り返し犯行。



【強盗資料No.3107】

名前:ディール·ハウストレイン

齢:21歳 男性

備考:黒いパーカーとジーンズ、サングラスの姿。灰色のリュックを背負い、二刀流の短剣で通り魔。刺殺、強盗。人のカバンを奪ったり為替銀行で強盗を繰り返す。



写真はなかったが、ご丁寧に似顔絵が描かれていたため、大体の人相は分かった。どちらも服装は似たようなものだが、とりあえずそこは保留。


ギルカは見たものを記憶し、受付嬢に資料を返した。


「情報提供感謝する」


「はい」


ギルカはその場を後にし、屋根の上から町並みを監察した。資料にある男性らしきものはない。屋根の上から一般の人は視認出来ないスピードで屋根伝いで町並みを監察しながら通り過ぎる。


動体視力がよく、現状把握と記憶力がいいので、後から通った場所で怪しい人がいなかったかを思い出す事をしたりするのである。現在の時刻、11時24分。昼前だが、1人目の怪しい人を見つけた。

資料にあった通り、赤いキャップと青いパーカーを着た人物。手に刃物はないが、とりあえず、跡を付けて見ることにした。


遠過ぎず近づき過ぎず、適度な距離間を保ちながら跡を付けると誰もが通らないような暗く細い道へと入って行った。その道のサイドは廃れた建物が建ち並び、如何にも辛気臭い場所だった。


……怪しい…殺すか。



ギルカはそう判断し、対象者の背後に一瞬で立つと、1秒も経たない一瞬で首を刈り取った。悲鳴はない。気づかれることもなく驚かれることも無く絶命し、首のない体は一時停止し、そのままうつ伏せに倒れた。その持ち主の首はそこから数m先まで飛び、重力に従って地に落ちる。


ギルカの服には返り血一つなく、その刈り取った遺体は血は一滴たりとも流れていなかった。


…1人目完了。もう1人の強盗を殺す。


ギルカは遺体処理屋に連絡をし、その場を後にした。暗殺任務は多種多様である。簡単な任務は比較的アジトから近い場所にあり、対象者を暗殺したり、毒殺させて終わるものがほとんどだ。


抽象的な任務の場合、複数の人間を殺す事がある。ギルカは民間の屋根の上で気配を消しながらもう1人の男を見つけるために監察した。


もう1人の強盗は黒っぽいやつだったな…。



ギルドで見た資料を思い出していた時、


「ギャァアアアアアアアア!!!」


「キャーーー!」


「うわっ!やめっ──!!」


穏やかに賑わっていた町に突如響く悲鳴。ギルカはハッとしてその現場を見に屋根伝いで走って行った。場所はそう遠くなく、近かった。


黒いパーカーとサングラスの男が2つの武器を両手に使い、悪魔としか言いようがない言葉を吐き捨てながら、罪のない人達を斬りつけている。一気に5~6人ほど殺したり大怪我を負わせていた。


「黙れ!!騒ぐやつは皆殺しだ!」


……不味いな。俺の対象者だが…、仕方ない。人目の付きにくい場所は…あそこか!



ギルカは現場に着いて状況を冷静判断し、人目の付きにくい場所まで連れて行く事にした。


周りが騒然とし逃げ惑う中、ギルカは屋根から飛び降り、瞬時に男の前に立ち無刀捕むとうどりをした。


男はギルカに短剣2本を取られたことに気づかず、振り切ろうとしたものの、相手が倒れないことで手元に短剣が無いことに後から気づいたのだった。


「っ!!てめっ!俺様の短剣を…!返せっ!!」


ちなみに無刀捕りとは相手の動きや武器を奪う、または制御することである。ギルカにとって男の動作は目を瞑ってでも出来るほど遅い素人しろうとの動きだった為、簡単に短剣を奪うことが出来た。


男が大声を上げることを他所に、ギルカは敢えてそのまま逃げずに誘惑をした。わざと取られそうな位置に短剣を持ち、それを利用して人目の付かない場所まで移動させるつもりだ。


男は短剣を奪い返えそうと躍起やっきになるが、なかなか取れそうで取れない。短気な性格らしく、数回空振りすると、完全にキレたらしい。走るスピードが速くなった。


「てめぇ!!許さねぇっ!返せよゴゥルア!!」


そうしているうちに人目の付かない場所まで移動出来た。まんまと罠にはまった男へ今度は逆に一瞬で近づく。男は周りが見えておらず、ギルカが瞬時に近づいたことへの驚きで一瞬動きが止まった。その一瞬の隙を逃さずギルカは首を刈り取る。


…弱い。強い奴に当たりたい



ギルカはそう思いながら、無言で一つ目の任務を完了させたのだった。

裏社会ではどんな暗殺をしているのか、実際には私はわかりません。完全なるオリジナルストーリーですが、楽しめたでしょうか?

ギルカはあまり話すことをしないので台詞の描写が少なくどうしようかと思っています笑

暫く背景の描写が続きそうですが、次回も読んでくれると嬉しいかな

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