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ぐだぐだ異世界冒険譚  作者: 大錦蔵
7/39

チート3人 普通のたくさん⑤

 最近再編集した時期は2018年3月7日。

 なんか今回、科学の専門用語たくさん書いたような・・・・・・。

 一応用語の説明させていただきますね。


 ・原子・・・全ての物質を構成するときの最小単位

 ・酸素・・・生物が呼吸する元素。物を燃やすのを手伝ったり、物を腐らせるために必要な元素 水を構成する原子の種類の一つ

 ・水素・・・物を燃やすのを手伝う元素、水を構成する原子の種類の一つ

 ・二酸化炭素・・・・・・生物が吐く分子、密室に大量にある場合とても危険。

 ・一酸化炭素・・・・・・酸素の原子が一つ足りない二酸化炭素。とっても危険。

 ・オゾン・・・・・・酸素原子が3つ組み合わされたモノ。紫外線の一部とか吸収するらしい。

 

 またフレイアですか・・・・・・。

 語り手のことです。今回もよろしくね・・・・・・。


 ・・・・・・主人公ナナちゃん、全然出てこない。


 さて気を取り直して、物語を進めていくよ?

 今回の舞台は例のゲルタベ国立図書館本館。


 「閉架書庫に行ったあいつら、何してんだ? 魔術で逐一連絡してこいって、忘れてんじゃねえのか?」


 院長がご機嫌斜めで、片方のつま先を上下に、軽くて早く パタパタ 動かし、今頃気絶していた部下の報告を待っていた。

 ふ~ん・・・・・・誰か倒したんだ?


 「院長・・・・・・一応様子を見に行っても、よろしいでしょうか? 閉架書庫に」と、院長の近距離で、本棚に収蔵してある本の背表紙を目視しているフードをかぶった賊の一人が提案する。


 院長「・・・・・・いや・・・・・・あいつら全滅したケースも考慮できる・・・・・・。後で俺が同行してやるから、今本館で探せ!」


 「はっ! 了解いたしました」



 「・・・・・・あ~っババア脇に構えたまま待つのも、面倒だな~っ、疲れた・・・・・・」と、言い放った院長は、心身が擦り切れた司書を硬く冷たい床に投げ捨て、 ドカッ と、近くに設置されたソファーに座りこみ、くつろぎ始めた。


 ん・・・・・・あの外道に、情け容赦かける気は、おきないね、フレイアは。


 司書は、疲れきった表情で、院長を睨みつける。


 「ご老人よ・・・・・・抵抗さえしなければ、楽な姿勢で、人質になってください。私めが、あなたに銃口を向けていることをお忘れなく・・・・・・」と、いきなり丁寧口調で話し始める院長。


 ・・・・・・そういえば、首都の医療棟に所属しているその院長、こんな丁寧口調で話してたよね? フレイアは、その状態の彼しか知らなかったよ? 昔直接会ったときのみね。前の文章読んだ時は、本当に信じられなかった。まるで別人。



 司書の頭に、酷い違和感を感じた。・・・・・・まあそうでしょうね。フレイアも共感。


 賊の一人「院長・・・・・いつもの素がで出ますよ・・・・・・素が」

 ・・・・・・え?


 「おおうっかりしてました!  椅子に座って、気が緩みすぎてましたね。失礼。これから悪人として活動するため、態度も横柄に演じ、口調も罵詈雑言にしようと私めなりに拘ってみました。・・・・・・しかし先程まで慣れぬ悪口で、ストレスが溜まり、戦場で無用に体力が減っていることに気づきました。いきなりですが、しばらくは自然体で休ませて頂きます・・・・・・。あっ、こんな言動で対応させていただいておりますが、私めが極悪人と変わらないので、お気をつけを・・・・・・」と、長々と語った院長は、ソファーから、そっと席を立ち、執事みたく自分の左胸に右平手を添えて、控えめにお辞儀をした。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





 あなたの本性そっちいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!???!? 

 ああっ、取り乱してしまった。すごく久しぶりに。


 司書は訳が分からず、自分の目を丸くするばかりであった。・・・・・・フレイア、すごく気持ちがわかるよ。


 一つの影が、院長に向かって、突進してきた。



 「院長!! 助け・・・・・・たすっ・・・・・・息が・・・・・・」

 院長から見て本館正門【南玄関】方向から、自分の喉を両手で掴んでいる涙目の男が死にものぐるいで駆けてきたのだ。周りからどう解釈してもその男は異様な状態で、まるで水場に溺れかかっている者そのものである。


 「ぐがっ!!」

 その男は、院長に白目を向けて、床に倒れ伏し、足をばたつかせ、苦しみ悶えている。

 その男の上着が、これまた無惨で、殆どが黒焦げで、灰となって散っていた。

 院長は眺めていた。彼が、自分の部下の一人であると。それも相当優秀名実力者で、今回の作戦の柱にもなると打算に加えた者であると。


 「・・・・・・そう簡単には休ませてくれませんか・・・・・・」と、掛けている眼鏡のフレーム真ん中部分を、指で抑えながらつぶやく院長。


 彼の視線の先には、幼女がこちらに向かって歩み寄る。怒気と殺意を含んだ麗しい目が、彼に向かって睨んでくる。・・・・・・ハァッすごく恥ずかしい・・・・・・フレイアのことでしょ? これ。

 

 彼女のオーラには、ミステリアスに満ち溢れていた。

 ・・・・・・いや、2回も語りナレーション役をやってる時点で、ミステリアスも何もないから。


 フレイア「あなた王族貴族直属の院長さんね。目障りなフードかぶりの人間達を従えさせたのは、あなた?」


 「おやおやこんな私めを詳しく存じ上げるとは、光栄の極みであり、恐縮の至りですね」と、先程司書さんにやったような礼を、フレイアに向けてする院長。



 「御託はいい。答えて」と、冷酷な声でつぶやくフレイア


 後今更だけど、大学の卒業式に、あなたが主賓者として、顔見合わせたんじゃないの? もしかしてフレイアの事忘れた?


 院長「そうですよ。その通り! 本名は ヤハチ シモグサ 今回はとある本を手に入れるために、この図書館に参りました。以後お見知りおきを」


 「とある本?」と、無表情で首を傾げはせずとも、少し・・・・・・いやかなり気になったフレイア



 「残念ですが、お答えできません。あなたの態度を見る限り、自分めの手の内をバラすことは得策ではないと思いますので」と、肩をすくめ、フレイアの答えをはぐらかすヤハチ。なんかムカつく!


 「院長ぉおおおおおっ!! 見つけたぜ!! たしかこれだよな!! 『ニュークリアボマー』とかいう戦争のやつ!!」と、白フードをかぶった、まさしく 豪傑 という二文字を絵に描いたような、服で隠してもわかるくらいの筋肉隆々の男が、本を高らかに天に向かって上げ、ヤハチに見せつけた。


 へえっ~、『ニュークリアボマー』・・・・・・。どのような本なの? と、その時思ったのね・・・・・・あったなそんなこと。


 「ああっゴリさん。何も目的の本を、敵や部外者にバラすことないでしょうに・・・・・・」と、自らの左手を、自分の額に添え首を左右に振り、呆れたヤハチ。


 でもどうやらそれが目的の本のようね・・・・・・。

 前のフレイアもそう思っていたみたい。


 ゴリさんと呼ばれた男が持ってる本が、一瞬にして炎に包まれた!

 ゴリさん「うぉおっ!!?」


 ふむふむ、・・・・・・ナナちゃんがいた国が舞台で、核爆弾とかいう放射線たっぷりの殺人兵器の恐ろしさを、刻鮮明に書き綴られた本で、 戦争は絶対ダメっ!! 平和の大切さについて熱く描写されたノンフィクションものってわけね、大体の内容は・・・・・・と、その時のフレイアは、本の内容の情報を獲得した。


 えっ? どうやってって? さっきの炎は、言わずとも察知してると思うけど、術者はフレイア

 焼きだされた本に書かれてあるインクと、紙の物質にある熱の伝導速度の差異を感知することによって、本の内容は、まるわかりってわけ。まあフレイアの炎に包まれたものは、自分フレイアの触覚の延長線と思えば、わかりやすいかな?


 

 「あっあっ・・・・・・」と、ヤハチは燃え盛る目的の本を、疲れ切ったような顔で眺めていた。大嵐の前の静けさなように軽くつぶやく。



 「彼女と同じですね・・・・・・あのお嬢さんがしでかしたことをイヤでも、私めが思い起こします。何ででしょうか、何ででしょうね? いつも野望が叶う前に、こんなにあっさり破れるなんて・・・・・・あの双杖魔道士と同じですね? あのサル目 メガネザル科 マルウエーメガネザルと同じですね? あのデスブックワームと同じですね? 彼女さえいなければ彼女さえいなければ彼女さえいn」と、視線を落とし、延々と小声でつぶやき続けるヤハチ。まるで呪詛のように。湿っぽくて陰険な声だったなあ、あの喋り方。


 「というより双杖魔道士? デスブックワーム? ナナちゃんのこと?」と、その時のフレイアは思ったの。


 「デスブックワ・・・・・・ナナちゃんのことだよね? 彼女に何か恨みでもあるの?」と、この大事に初めて、眉毛を釣り上げ、脅すように語るフレイア



 首をこちらに向け、フレイアを ギロッ と睨みつけてだまり始めたヤハチ。


 「そうですね・・・・・・お望みの冊子が手に入らなかった以上、隠すメリットも殆ど無いでしょう。全員葬るつもりですしね。まずそうですね・・・・・・私めの目的の話をしましょうか・・・・・・その時の私めは、野望がありました。この平和を過度に愛しすぎている国を乗っ取り、『ギリス』以上の軍事大国にすること」と、口を開き、語り始めたヤハチ。先程あんなに取り乱したとは、思えないような冷静さで。


 フレイア「はっ・・・・・・?」


 「疑問が浮かび上がっている声でしたね? 続けて語らせて頂きます。私めは、医療棟で一般市民の患者の管理も勤めていましたが、本業では、あなたがご存知であるように、王族貴族の医者でもありました。

 他の国ではこんな事例起こるはずもないんですけどね? 平民の方々と、貴族はては王族と同じように扱わせるよう指示された医者なんて。ちなみに関与していたジャンルは、内科外科そして・・・・・・」と、戸惑うフレイアをよそに、説明を続けるヤハチ。


 「精神科・・・・・・!  そう私めは、王のメンタルに干渉する機会と権利を与えられています。自在にっ!! ある時私めは、都市の古本屋にて、とある本を発見しました。それを見つけた私めは、天にも昇る気持ちでした。『これ』と私の『ポジション』を組み合わせれば、なんでも思い通りになる・・・・・・裏の王にも成れる!! そう考えていたのです・・・・・・その本の内容は・・・・・・!」







 「洗脳術・・・・・・?」と、ヤハチが語っている途中で、その時のフレイアが脳裏によぎった言葉を口にした。



 「おおっ!・・・・・・その通りです! 絶版された残り一つの極レア物でしたがね、私めはこの本を学んで、メンタルカウンセリングを装うように王だけを誘い、彼に洗脳術をかけるっ!! そうすれば、王は私めの傀儡となり、軍事特化した国に変えるよう操れたはず・・・・・・だったっ!!! そうなるはずでしたのに・・・・・・」と、熱く演説し、最後すぼんだように語り、口ごもるヤハチ。



 「ナナ殿がですね・・・・・・約二ヶ月前に、まだ全然読み切っていないその本を破いてしまったのです!! よりにもよって、いちばん大切なページ、文章、単語!! それさえ破らなければ今頃は・・・・・・!!!」と、完全に憤怒していた声で語っていた彼。


 「あ~・・・・・・」と、冷ややかな目線で、ヤハチを眺めるフレイア。その時のフレイアも、今も、ナナちゃんやるね、見直したよとか、考えてた。


 「そして今から二日前、憲兵団の一人が、私めの本の行く末の情報を提供してきましてね、録音魔方陣で。拝聴しながら私めは絶望しましたが、溜まりきった衝動を抑えきれず、自分の『チート』クラスの異能をフルに活用して、私怨がある彼女を葬り、ゴリ押しですが国を脅迫する手段に切り替えたのです」


 ※チート・・・・・・異世界出身者達から伝えられた言葉。『こちら』では、通常の魔術とは完全に規格外の威力又は効果・対象範囲などを持つ異能という意味。

 あと、ダークエルフの・・・・・マーマラちゃんでしたかね? 彼女はチート中のチート。だよね。



 フレイア「その異能は?」


 ヤハチは無言で、自分の周りに浮かせてある本の一つを、自分の手元に手繰り寄せ、その本の表紙のみ掴み、振り回した。

 バラッ ドサッ ガッチャッ

 その本から手榴弾、サーベル付ライフル、マシンガンなどの銃火器刃物が溢れ出現した。

 一応私フレイアは、大学で異世界文化学を学んだことあるから、それらの存在くらいは知ってた。



 「なるほどね・・・・・・本の文章から、書かれた物を、こちらに呼び寄せる能力と解釈してもいいのね?」と、その言葉とかの他に、この異能と、原爆水爆が書かれた本と組み合わせたらまさしくチート。フレイアはそうも思いました。



 「その通り・・・・・・発動条件は自分以外が、見聞きし執筆したノンフィクションの本に触れること」と、素直に受け応えたヤハチ。続けて「人質がいる限り、あなたに抗うすべがない、それとも善良な市民の命を無視して、私めを攻撃しますか?」と、脅迫する。


 「うん」


 「そうでしょう、いくら一瞬で、出現させる炎を操れろうとも、熱を感じた瞬間、引き金を引きますからね? 人質の存在が邪魔になることにより、私めの勝利は揺るぎないと・・・・・・は?」








 銃口を向けられた司書の全身は、一瞬で、炎に包まれた。

 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!?」

 老人の叫び声が、図書館一体に響き渡る。


 「これで司書さんを人質にすることはできないよ?」と、その時自分でもわかるように無垢で朗らかな笑顔で、話すフレイア




 その光景を眺めるヤハチとゴリさん、その他エキセトラ。その顔には全く信じられないようなものを眺める顔でした。


 「いや、あなた・・・・・・、司書殿たちを助け、私めの悪事を止めようと来たのでは、なかったのですか・・・・・・??」と、何故か極悪人のヤハチが、フレイアを非難するかのような顔で、疑問を語った。


 フレイアが問い返す。「何で弱くて脆くて、そのうえ短命で・・・・・・雑多にいる人間に情けをかけなければいけないの? 」


 「・・・・・・あなたも私めと、同じ穴の狢ですか・・・・・・」と、不躾な卑下た暴言をフレイアに投げつける。


 「燃えて」


 フレイアがつぶやいた瞬間。刹那すら待たずに、本館の床、天井、本棚、壁全てが、火炎に飲み込まれた。包まれてないとこといえば、ヤハチとその周りの本たちのみである。


 彼の場合は、じわじわと苦しめてあげたいから、後で。


 図書館のお客さん、ヤハチの部下たち、図書館職員さん達の叫び声が、館内に溢れかえった。




 ・・・・・・読者さん達、あんまりドン引かないでね・・・・・・。


 


 さてここで、図書館の外側、庭の敷地に、物語の舞台が変更するね。

 

 警備員達は闘っていた。現在、ヤハチ院長の格好をした者と激戦を繰り広げていたのだ。












 ・・・・・・はっ?


 え? どういうこと?


 物語が進めば、わかるって? わかった。


   


 ※十五分前


 外に取り残された警備員の皆さんの中で、大半が院長達にバレないように、硬い魔力の膜を破るため、人気のない図書館外側で、解呪魔術に取り組んでいた。魔方陣を描き、呪文を唱えていたのだ。



 「おいっ、スライムへアーの子供の様子はどうだ?」


 「ああっ。命に別状はない。この回復魔術で、あと二分程度で全快するだろう」


 「にしてもひでえなっ! 何の関係もない若人の顔を、あの賊共がこうもボコボコにするとはっ!!」


 「・・・・・・なあっ、さっき天井に光の魔術らしきもので、穴開いたけど入ったほうがいい?」


 「罠かもしれん・・・・・・やめておけ」


 「いつになったら憲兵団ハイエナ来るんだ!?」


 「うん? ・・・・・・おいあれ・・・・・・」


 実はギンにボコボコにされたカブを、二人の警備員達が手をかざし、緑色の光を包ませることによって、治癒していた所、その中の一人が薬品みたいな匂いに気づき、面を上げて驚いた。その後木々に向かって、人差し指をとある方向に向けた。


 その林の影には、院長の格好をした者が、忍び込んでいた。


 その者の特徴は、髪型はポニーテール三つ編みおさげの白髪で、角ばったメガネ【伊達】を着用しており、ローブを着こなしていた。密室になった館内にいる院長と、服装は瓜二つである。まあ『本物』と比べれば、首は細く、体つきは華奢であった。ソバカスも健在で、三白眼の院長と一番違うのは、瞳が大きいとこ。


 そう彼女の正体は、変装したナナ ななっ!!?? ナナちゃん!? え!? なにやってんの!?

このシリアス時に!? どういうこと!?


 実は、ナナちゃんが? ゲルタベ図書館に門前払いを喰らわれたあと? 変装して図書館に潜入しようとしたっ!!? 館内の騒動は全く知らずに!? 髪の色は魔術で変えたって・・・・・・ (作者に渡された書類を、食いつくように読むフレイア)



 「あの腐れ賊が、なぜここにぃ!!? 館内にいたんじゃないのか!?」と、信じられないものでも見るかのように、警備員の一人が、ナナに怒鳴り声で問いた。


 キョトンとしたナナちゃん。変装した状態で、敷地内に侵入した時には、警報もならないから、人にもバレないとふんであったのだ。

 ・・・・・・図書館敷地の林に隠れていた? え? だってナナちゃんはワームが・・・・・・。

 ああ虫除け効果を持つ煙を、魔術で出して、自身に燻しているから、木々の陰に潜めれたのね彼女。

 ガードマンが嗅いだ薬品の匂いもそれね。 


 その図書館警備システムでの、ブザー反応は、一つ発動してその後止んだのなら、図書館倉庫にある防犯システム魔方陣に魔力を加えなければ機能が停止したままである。


 「こっ攻撃!! 攻撃!! 直ちに攻撃!!」と、語りながら持っていた杖を構え、臨戦態勢を取ろうとする一人。

 

 どうやら警備員の皆さんは、変装した彼女を、本物の院長と勘違いしているらしい。

 どんだけ節穴なの・・・・・・。


 

 カブの周りを囲うように、円陣を組んだ彼らが、彼女ナナに向かって、複数の魔力なる光弾を飛ばした。


 木の幹を盾にして、最小限の動作で防御するナナちゃん。いきなりのことで驚いた彼女の口から「ちょっ何すんのよ!? ウチ・・・・・・いやワシが何したっというのじゃ!? ワシは本を丁寧に扱うことで有名なイン・チッキー博士だ!! 決してデスブックワームという通名を持つ魔術師ではなぁあいっ!!」という戯言で、自分の正体をバラさないように演技するナナ。


 どんだけ読みたのよ、図書館の本。


 どうでもいいけど、フレイアが持っていたSf小説に、出てくるキャラクターの中で、イン・チッキーと呼ばれる錬金術師が登場する。ナナちゃんはそれをパクったらしい。本当にどうでもいい。

 それとどうでもよくないのが、その本は、ナナちゃんによって、汚されまくった。


 そして十二分間、彼らと交戦した後、さっきの場面に戻るのね。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 とっとりあえず館内の方へ、舞台を戻していくね?


 「院長!! 助けてくれええええええええええええええええ!!」


 「死ぬ死なないの間にいるくらいすごく熱いわよっこれ!?」


 「いっ息がくるしい・・・・・・」


 「あっついわあああああ!!? きっとこれは私のヤハチ院長に対する恋心の熱さ!?」 


 本物のヤハチの周りで、聞き慣れた部下の苦悶の悲鳴が鳴り響く。【なんかさっき聞いたような声もあったような・・・・・・一酸化炭素中毒の術解けたんだあの毒弾の人・・・・・・】。

 そのかわり・・・・・・。

 

 「あれ? この炎全然熱くねえ!?」


 「本当だ!? それどころか息苦しくねえ!! 逆に澄んでいる!! あっやっぱちびっと煙たいかも」


 「あのおっ・・・・・・本棚とか、本とか炎に包まれてるのに、全然燃えてないんだけど!? どういうことかしら!?」


 「これはどうしたことじゃ? ワタシやさっき、炎に呑まれて、死んだとばかり・・・・・・もしや日を司る龍神様が降臨なさったのかぇっ!!?」


 燃やされているはずの図書館職員やら、お客さんたちは、全くの無事の様子で、疑問を口にして安堵していた。【そのうちの一人、司書さん】



 「・・・・・・どういうことですか?」

 怪訝な顔をして質問した院長ヤハチを、フレイアは無言で対応した。


 「不躾な反応に、私めは不快を感じました!! 失礼ですが、その炎は幻術では!?」と、ヤハチが言った後、ずっと所持していたハンドガンで、司書の頭に向かって、発砲。


 ボッ!!

 弾き出された鉛玉が、フレイアの炎で蒸発した。

 鉄砲玉に触れた『部分のみの』火炎の温度、摂氏3000度。


 「・・・・・・これは?」と、院長が目を丸くしてつぶやく。



 「フレイアも『チート』クラスの異能者。さっきの妙技は、あなたが攻撃した部分のみ、温度を上げただけ」


 「やっと、口を開きましたね?」


 「悪かったね。この技は最初らへんが集中力少し必要で、口がきけなかった。お詫びにフレイアの能力を、もう少しバラさせて頂くね。この図書館内部を包んでいる炎の熱の伝導伝達速度、温度の高さを自在に操ることが出来るの。

 物体の温度を低下させることはできないけどね」

 あえてその場では語らなかったけど、容量が同じように見える炎を纏わせても、その精度は石油を百年掛けて一度ずつ熱を与えることも、異世界にあるという消防員さんの着る防火服を、一瞬で灰にするように調節することだって、楽勝だよ?


 つまり、フードをかぶった賊たちは後遺症の残らない程度で、熱を与え。一般の人達は百年炙っても、温度が一度くらいしか温まらないよう加減したよ。


 でも市民か賊かを分ける基準が、フードをかぶっているか、いないかだから、フードをかぶっている一般の人も傷つけたかもしれない。


 「なるほど、騙されました。人間に対して、何の感情も持たない冷徹な人外だと侮っていましたこと謝罪します。ところで・・・・・・」と、ハヤチが何かを語ったあと、彼の銃を持っていない方の掌が上がり、フレイアに向けた。


 その掌から、さっきのピストルと比べても、弾速がほとんど変わらない水泡弾が飛び出し、フレイアに向かって、突進した。こんなものを喰らえば、即死は免れないだろうと思った。


 魔術が使えない人の場合ならばだけど。



 「失せて」



 その水泡弾が、フレイアがぶつかろうとする寸前で、炎に包まれ消え去った。

 まあ消え去ったという表現は、科学的には正しくないんだけどね。


 「蒸発したのですかな・・・・・・?」


 院長はさして、自分の術を防がれても驚く表情を表さず。


 フレイア「蒸発したんじゃないよ? 蒸発したのなら、蒸気が出るはず、正しくは、『分解』」



 「ぶ・・・・・・分解・・・・・・?」と、どういうことなのか、理解できないで戸惑いて呟いてる院長。



 「そっ、分解。さっきのもフレイアの異能の一つ。名前もあるのよ『アクスィヂャンイーター』といってね、水やらオゾンやらの物質から無理やり酸素の元素を引きちぎる力技。酸素やら、水素、二酸化炭素、一酸化炭素をある程度に操ることが出来るのフレイア」と、詳しく説明するフレイア


 あと酸素のみを奪われた水は、すごい軽い水素だけ残って、天井に昇ったと思う。


 物語の初めらへんに、喉を掴んだ人間がいたけど、単にフレイアが、そいつを一酸化炭素中毒にしただけ。なんか術が解けたらしい。


 そして補足として、院長が水の術を使用したときも、本は浮いたままだったけど、彼は同時並行型の魔術師じゃない。・・・・・・たぶん。物体を浮遊させる術はただ単に発動ではなく、維持しているだけ。



 「そんな・・・・・・めちゃくちゃな・・・・・・」と、半ば思考停止状態で、語るヤハチ。


 「めちゃくちゃなのは、あなたの方でしょ? 本の文字から、物を召喚する能力、すごいと思うわよ。こちらが理系の最たる能力なら、あなたは文系の最たる能力・・・・・・っということになるわね」と、どうでもいいことを口にするフレイア



 「・・・・・・分解ですねえ~」と、つぶやき、何かを思案しているヤハチ。自分の周りにある本の一つを手に取ったのである。

 彼の朗らかな顔を見て、なにかやばいと感じたその時のフレイアは、院長を、周りの本ごと火だるまにしようと思った瞬間・・・・・・。


 「死海」


 そうヤハチが呟いたあと、院長に触れてあった本から、大量の水が溢れ、召喚した。

 その海を分解しようとするのを尻目に、彼は続けて「太平洋、大西洋、ナイル川、琵琶湖、北極海、南極海、ナイアガラの滝、最上川、カスピ海・・・・・・」と、異世界に有るという川、海、滝、湖の言葉の羅列を延々と語っていた。


 言えば言うほど、水が勢いよく流れ、とんでもないような質量で溢れ出した。そこそこ濁っている。

 院長は、自分の頭上にその浮いている本を動かし、それごと自分を濡らしてる【少し間抜けスタイル】。


 「ぶっ・・・・・・分解ができない!?」と、初めて冷や汗を流し、動揺を表に出すフレイア


 院長「分解できない・・・・・・そうでしょう。さっきの純粋な水とは違い、海水やら淡水やらがいじ混じり、土砂やら塩が含まれてる。

 高度の術式をかけることは容易ではございません・・・・・・。にしても良かった、水が出しているこの本が、耐水の紙とインクでできていてほんとうに助かりましたよ。そしてあなたは、すぐにでも、私めと私めの本を燃やすべきだった・・・・・・・・・・・・!」


 そう、どんなに熱を与えようにも、どんどんどんどん呼び出される水で、熱を流され、一向に蒸発させることもできない。一酸化炭素中毒にしようとも、ヤハチが口と鼻を掌で包み込んでいた。故にダメージを与えるすべがない。・・・・・・今もフレイアにとっては、それは酷い屈辱だよ・・・・・・。


 「ふふふ・・・・・・私めは泳ぎに自信があると自負しております。今も使用しております風の属性を持つ魔術『エアポケット』で、肺に空気を供給しながら、溺れている彼らを牽制し、水が図書館全体に満ちた頃、無事天井の穴から脱出する所存であります・・・・・・」と、口には出さなかったが、そんな考えに耽っているヤハチ。


 ※エアポケット・・・・・・手から酸素を出す魔術。高山を登り渡ったり、海を潜る時にたいへん役に立つ。


 いや・・・・・・考えまで、そんな口調なの!?


 

 ヤハチ「さあっ溺れてくださいな・・・・・・!!」




 「そうは・・・・・・ならないかも・・・・・・。」

 その時のフレイアは、短時間で水深五メートルにもなった水に浮かびながら、周りを見て、呆れたように呟いた。



 ・・・・・・お恥ずかしい話、フレイア泳げないの・・・・・・。あと基本的に炎に関係する魔術しか使えない短所もある。


 院長「なんだこれは・・・・・・!!?」


 階段をつたって二階に上がったヤハチが見た光景・・・・・・それは倒れてる倒れてない関係なく、全ての人が、水に・・・・・・いや、海にプカプカ浮いていた。


 「・・・・・・いや・・・・・・なんだこれはって・・・・・・召喚したのあなたでしょ? 死海・・・・・・しかも最初に出したから召喚口から出てる殆どがそれ・・・・・・」


 そう死海は、塩分が多すぎて、体が浮くのである。


 もしかして、院長って、頭はいいけど、どこか抜けているのかな・・・・・・。


 「ぎゃああああああああ!! なんか傷に塩でも塗りつけたような痛さがああああああ!!」

 全身火傷を負った賊達が、死海の水を浴びて、苦しみ悶えていた。


 彼らがあまりにも弱ってしまったため、図書館全体を密室【正しくは天井が開いている】にしていた魔力の防御壁が、形を保てなくなり、消滅した。


 院長「そ・・・・・・そんな・・・・・・」


 死海により沈んでいる窓が、水圧に耐えきれず、ひび割れ、水を漏らしていた。


 「畜生でございます!!! 今回はこれで幕引きとさせて頂きますね」と言ったヤハチは、苦しんでいる部下を置いて、『バブルグラスズ』を発動し、ほぼ死海できている水たまりに飛び込み、魔術『ヘビーボディ』で、塩分たっぷりの水でも自分の体を浮かないようにし、一階の窓から脱出しようと試みた。

 

 ※バブルグラスズ・・・・・水属性の魔術で、両目を一つの青色泡で覆う。水中メガネみたいに網膜を、水から守る。

 ※ヘビーボディ・・・・・・からだを重くする。硬くなるわけではない。


 あと彼が二階の窓で逃げようとしなかったのは、一階の濁った海に飛び込むこんで脱出を試みたほうが、フレイアなどの追手から、自分がどこから外出したか、特定しにくくするから・・・・・・じゃないのかな? 予想。





 物語の舞台、ナナちゃん達がいる庭に戻すね。

 院長の格好をしたナナちゃんは、今日オフの日なので、自前の杖を持たず、庭に落ちていた木の枝を代用して、魔術を繰り広げている。


 まあ、ナナちゃん、杖持たないと、使える魔術の幅、とても少なくなるもんね。無いよりはまし。

 あと警備員達は、悪者ではないので、回避や防御しかしていない優しい彼女なのでした。実子ではないけど、フレイアの・・・・・・自慢の娘。


 ナナちゃんがとある図書館の窓に向かって、土魔術『マッドトランポリン』を使って、飛び跳ね突っ込もうとした。

 強行手段で、侵入しようと試みた。

 ・・・・・ほんとにどれだけ読みたいのよ・・・・・・本。


 ※マッドトランポリン・・・・・・指定した地面を、非常に弾力のあるすこぶる柔らかいものに変え、トランポリンのごとく、物体を高く跳ねさせることが出来るよう変化させる。

 高いとこからの着地でも役に立つ。ちなみに一話目に使わなかったのは、とある物語のタタと呼ばれる主人公が、使わないからウチも使わないとかいう呆れ当てる理由があった。


 ナナちゃんは、彼らを相手している時、疑問を持っていた。なんか窓の様子がおかしいと。そりゃそうでしょうね、あちら側水に浸かってる上、漏れているもの。でも彼女は ・・・・・・まあそういう柄や機能を持つ窓に変えたのね図書館 ・・・・・・と自分の都合のいいように解釈している。なんて呑気な!? そんなわけ無いでしょ!? ・・・・・・多分ナナちゃん今伊達眼鏡かけてるから、周りがろくに見えなくて、異常に気づかなかったのかも・・・・・・そうであって欲しい!



 その時だった。彼女が、大きく跳ね、いざ窓に突入する寸前で、自分が今している格好をした男が、その窓を破ったのである。




 「「・・・・・・え??」」


 自分と瓜二つの相手が、いきなり対峙したので、呆然とする院長と、院長のコスプレをした人。

 いきなりナナに、ひどい腹痛が起き、うずくまるため、とっさに頭を下げようとする。


 『ゴッ!!』               

 

 『ドササッ』

 

 その頭が、彼の額にぶつかってしまったのだ。

 そう二人は、溢れる水を浴びながら地に倒れ・・・・・・頭を打った衝撃で失神した。

 



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(絶句しているフレイア)。


 えっと・・・・・・大丈夫、うん大丈夫・・・・・・物語進めるよ?


 ヤハチが失神したことにより、本から無尽蔵に出ると思われた水の流出は止まる。術が解除されたのだ。

 あと、ナナちゃんの大きな瞳と、院長の三白眼が閉じていて、顔では見分けがつきにくくなってしまっている。

 




 「只今憲兵団ハイエナ連れてきましたっ!!!! 遅くなってすいませんでした!!」

 ナナたちがいる庭の脇で、次元の穴が生また。そこから現れたのは、ギンという人間の男で、後ろにハイエナの人たちと思わせる甲冑姿の者たちが、これでもかという数で待機していた。


 そう、ギンはゲルタベ町駐留所の憲兵団を呼ぶためにこの場から去っていたのである。途中お腹も壊したのだが。


 憲兵団と警備員達の会話

 「おい・・・・・・賊の親玉・・・・・・双子なのか?」


 「たしかに・・・・・・分身の術でも使ったんじゃねえの?」


 「分身の魔術なんて聞いたこともねえよ・・・・・・あんたら異世界の忍者ファンタジーノベル読みすぎ」


 「ところでどうすればいい?」


 「しょっぴけば? ふたりともまとめて」


 「そうだね」


 ・・・・・・・・・・・・数十分後、院長と思われる二人と、院長の部下を捕縛し、床に叩きつけられ軽傷をした司書や、食中毒になっているマーマラさんとイイキも医療棟に連れてもらえるんだとか。


 実はダークエルフのお姉さん、賊の毒の弾で倒れたのではなく、腹痛によって身を屈めただけとか・・・・・・その動作が偶然、彼女に向かってくる攻撃を回避し、尚且つ敵に標的を殺せたと勘違いさせたんだって・・・・・・

 ・・・・・・それじゃあフレイアの怒りって一体・・・・・・。


 幸いにも死者は出ていない。あと後遺症を残している者もね。


 ちなみにその時私フレイアは・・・・・・。


 「すげえよ!! あんたヒーローだよ!!」


 「炎魔術極めればこんなことも出来るとはっ!!」


 「悪党共を退かせてありがとよ!」


 「とにかく助かった!! ありがとう!! あなたは私達のヒーローだわ」


 そうフレイアは英雄扱いされた。興奮している群衆に囲まれて、身動きが取れないでいたのだ。院長の格好をしたナナちゃんと出会って、事情を説明することもできなかった。


 ・・・・・・あっ、一応炎の魔術は解いたよ?


 とりあえずこの物語はこれで終りというんだね?

 ナナちゃんは・・・・・・? 

 うん、裁判とかはまだなんだね、わかった。(作者に情報提供を受けた)

 (焦っているフレイア)













  ・・・・・・・・・・・・ちょっと留置所に行ってくる。


                    チート3人 普通のたくさん編 完


 


 


 


 

 



 

 


  


 



 


 


 

 

 


 


 


 


 



 


 


 

 


 

 


 

何回も再編集して申し訳ございません。

読んでくれてありがとうございました。


 

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