チート3人 普通のたくさん④
今までのキャラクターによる語り手は、過去形で話された形式でしたが、今回は途中まで、キャラ自身の現在進行形で、物語が進行します。
最近再編集した時期は、2018年2月28日。
今回の語り手は誰でしょう?
そう自分です。本編の物語に出てくる院長の部下です。
ちなみに自分は女性、髪型は鮮やかな赤・・・・・・このノベル、赤髪の女性多くない? (桜色も含む)
もちろんフードをかぶっていますね。名前は アカネ カラベル 種族は人間。マギク魔術専門学校の卒業生で、今はナースに就いています・・・・・・。
・・・・・・なぜか、明かりもついていないとある閉架書庫通路にいます。後ろに先輩二人、情けなくも怯えながら、私の後を付いてました・・・・・・。まあでも自分も、自分自身の震える足を、後ろの先輩に悟られないよう押さえつけました。
バカにするのは好きだけど、されるのは大っ嫌い!!
いくら院長の命令でも、休日に何やってるんだろ? 自分達。今日はオフの日、でも院長の犯罪行為命令に従わなければ、クビになるそうで・・・・・・あれ? 人殺しを強要されてる時点で、クビにされたほうが何億倍もマシではないか・・・・・・?
肝を冷やしましたよ! 医療棟で、院長の作戦聞いた時点で、彼の化けの皮剥がれていたことについて・・・・・・まさか、国家転覆とか考えていたなんて・・・・・・やめて逃げ出して、密告とかもしたかったんですけどね、しようもんなら勘付かれて、 口封じに、 (生)クビにされる雰囲気というものを、ひしひしと味合いましたよ。
院長の能力は 『チート』 の一つです。
場所の特徴描写が少ないですね、ゲルタベ国立図書館の本館とは違い、閉架書庫は天井(ホコリが大量に付着した石垣製)の高さが、190センチほどしか無く、本棚同士も密集していて、何故か魔力の明かりもついておらず、真っ暗。点々と小さな窓たちもあったけど、部屋全体を灯すには、全然足りない・・・・・・いつの間にか曇りだし。夜目と手探りで、狭苦しい本棚の樹海に沈みながら、歩み進む自分たち。
「おい、誰か明かりつけなよ!!」
自分の1.5倍の身長を持つ先輩が、魔術の灯りをつけようと、女々しく提案してました。
ちなみに天井が低すぎるせいか、完全な猫背で歩いています。
自分「つけようとしてもつかないんだよ! 誰か『浮赤錆』の粉末、天井に撒き散らしてる!! 誰だよこんなことするやつ!!?」
※浮赤錆・・・・・・空気よりも少し軽く、分散しやすい。魔鉄に塩水を浸したら、発生する錆。発火元、発光元の機能を妨害する物質で、生物がそれを大量に吸い込むと喘息発作が起こり、なかなか治らない・・・・・・値段は、百グラム銅貨10枚。
「やべえな・・・・・・おっ俺から離れんじゃね、ねっ、ねえぞ? 誰かが待ち伏せッセしてっかもよ~」と、大男先輩は、完全に暗闇に腰が引けた状態で、空威張りをしました。
「へえっ? 頼もしいですね!! よろしく頼みますよ」と、自分は、皮肉っぽい口調で、返しました。・・・・・・実際皮肉なんですが・・・・・・。
『・・・・・・いよ』
え?
『・・・・・・たいよ・・・・・・』
「ちょっさっき、なんか言った!? 変な冗談よしてよ!! やめてよ怖い声出すの!!」と、大声で叫ぶ自分。
「しっ知らねえよおっ! それに俺たちそんな声じゃっじゃっじゃっねえから!!」
「私でででもないよ!!」
と、自分の背後で、否定する先輩達。声が上ずりすぎ・・・・・・。
たしかにさっき聞いた声は、自分の向かい側、だいぶ先にある本棚の影から【どこもかしこも真っ暗闇】で、声も完全に見知らぬものでした。・・・・・・声色の印象は、道具により変質させてるのにでも解釈できるような、不気味な幼い男の子の声・・・・・・。
誰かいる!! 自分たちを待ち伏せしている何かが・・・・・・そう自分は悟りました。
速く捕縛するなり、無力化するなりでもしないと、たまったものではない!! 自分は、声の発する方向に向けて、駆けます!
駆ける途中、大きな地響きがありました!! 地震!? それとも土魔術? 混乱で埋めつかされている自分の頭・・・・・・されども体は止まらず走り続けます!!
「ひっひい!! 体勢立て直すぞ!! まずは外に出よう!!」と、大男先輩。
自分は、その言葉を無視して、声が発せられたと思われる位置・・・・・・死角となっていた本棚の影に、視線をぶつけます。
・・・・・・無人でした・・・・・・。
逃げた? まだ闇に乗じて、近くに潜んでいる? 自分と先輩達以外は、この書庫に何人待ち伏せしている? ・・・・・・わからないことだらけです。やはり今、まずは退くほうが得策ではないかと、先輩の意見に賛同して、元いた道に戻る自分・・・・・・。
・・・・・・倒れていました。
誰がって? 先輩たちです。全員仰向けで倒れていました。
それだけです。
どうやら彼らが踵を返し、出入口に向かって走ったときに倒れたとか。
失神しているのか、死んでいるのかわかりません・・・・・・。
自分は、何が何やらわがらず、走り続けました。
涙目で、奇声を発しながら、ひたすら全速力で走ろうとしました。多分自分の今の顔は、人様や人外様にお見せできないくらい口角も、眉毛も引きつりまくっていると感じます。
『たいよ・・・・・・』
『・・・・・・痛いよ・・・・・・』
『・・・・・・痛いよ・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・』
『どこにいるの? 赤髪のお姉ちゃん・・・・・・なんで助けてくれないの・・・・・・?』
もうさっきの見知らぬ不気味な声が、自分の四方八方あらゆる方向から、聞こえていますが、知ったことじゃございません。明かりが灯る夢の出入り口に向かって、死にものぐるいで走りまくります。
途中で転びました。仰向けではなく、うつ伏せで。気絶はしていません。自分の周りには、油まみれな小さなガラス玉が、ばらまかれていました。
自分は急いで、起き上がろうとすると・・・・・・。
『ゴトッ!!』
自分の真横にある本棚の方から、本が倒れ落ちている音がしたのです。しかも極至近距離・・・・・・。
そ~っと、自分の首を、音がした方向に向けます。
「やっと見つけた!! 赤髪のお姉ちゃん!!」
その本棚の二段目に、挟まっていました。不可解な音の正体や、声の主が・・・・・・
ニット帽子をかぶって変な軍手を着用した、醜くて小汚くて小さく、そして恐ろしい化物が、夜中の外にガキンチョがやるようなイタズラのごとく、そいつ自身の顔に、何故かついている光魔術『ライト』を下から照らして、自分に向かってにやけてました。まったくもって、顔の影が濃すぎて、不気味感が倍増されています。まあ・・・・・・・・・・・・。
「助けてええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!! マーマラちゃん」
自分はその瞬間から、自信の意識が遠のくのを感じたのです。
※ここから先は、第三者目線で、物語が進行します。
「わりいことしたかね? マーマラの名を、出したってことは、ヤツの友人かい?」
イイキは、自分のボサボサ髪を掻きむしりながら、失神しているアカネを眺めていた。
イイキが閉架書庫に入る前に、本館の異常を察知して、作戦を企てたのである。
「にしてもうまくいったな、ドッキリ作戦!! 敵どもは再起不能!! 起きねえうちに、口と手足を、ベタねばトリモチで、押さえつけて、憲兵団共にあとで引き渡す! さっきのやつの絶叫により、不審に思った賊共が、ここに来てどんどん引っかかる!! さて次はどんな小細工小道具で、翻弄してやろうか・・・・・・」と、いやらしくにやけつけるイイキなのでした。
「にしてもさっきの地震のおかげで、いいタイミングで、殆どのアホどもが、もと来た道戻ろうとした。・・・・・・密かに転がしたビー玉に転んで、頭打ちやがってやがんの!!」と、イイキは本館でマーマラが出した光魔法の反動で、生まれた地響きに感謝していた。しかし彼は地響きの正体を知る由もない。
※ちなみに彼が使っていた道具・・・・・・
①遮粉手袋・・・・・・光や空気を通すが、粉末や、毒ガス、PM2.5を防ぐ布から作られた手袋。浮赤錆は、発光元を妨害するだけで、発せられた光そのものは、干渉しない。
②ボイスエコーチェンジャー・・・・・・異世界のマイクを象った小型の魔杖。先端に声をかけるだけで、その声色を好きなように変化させ、山彦のごとく音をソナーのように拡散できる。
③ベタねばトリモチ・・・・・・拘束のための餅や糊みたいなもの、付着させた相手は、魔力と電気信号エネルギーが吸い取られ、無力化させることが出来る。乾燥により、効力が落ちる。薄力粉で溶ける。
さっそく次の作戦を企てたイイキは、本棚から這い出た瞬間、自分の腹に酷い苦痛を感じ、うずくまった。
「まっまさか・・・・・・毒!? いつの間に・・・・・・」
その瞬間イイキは、拘束した相手の隣接に倒れ伏したのである。
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