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ぐだぐだ異世界冒険譚  作者: 大錦蔵
16/39

空調機完備のダンジョン①

 投稿時期本当に遅くなって申し訳ございません。

 最近再編集した時期は、2017年10月12日

 昼の空を一度ひとたび仰げば、宇宙から延々降り注ぐ紫のオーロラと空気中に漂う赤の光が組み合わさって、見事なグラデーションが作り出されるのを感じることができ、更にそこに太陽から発される漆黒の灯りがぶつかれば、強烈なアクセントが生み出される。

 地に見下ろせば、花崗岩から発された緑色のガンマ線が、俺の小腹を満たしてくれる。


 そう、人間やら人外やらが誕生する前に、愕然とそこにあった『それら』は、あらゆる万物に潜み常に放たれているもの・・・・・・異世界の者達には、医療やら測定やらで活用されながらも、害がある面も確かに存在するため忌み嫌われた。


 ただ『それら』は、俺にとっては・・・・・・『俺たち』にとっては、食料であり、光であり、心の拠り所であった・・・・・・。




 場面は『炎精霊サラマンダー巣窟ハウス』になるぜ。

 時間系列は朝の十一時。


 「ただ今戻りました~」


 マーマラとかいう女が、汗を流し息を乱しながら、そのギルドに帰ってくる。

 建物内部玄関の壁に、立て掛けている大鎌を横切る彼女。

 彼女の首元に小タオルを掛け、服装もいつもの長スカートタイプではなく、身軽に動けるようパンツスタイルの軽装であったのさ。

 汗を流している理由も、蒸気が吹き出し溜まってい熱気に当てられただけではなく、早朝からそう・・・・・・武者修行してきたからなのである。


 他にも描写しなきゃいけないとこあるぜ? 装飾についてさ。垂れて尖っとる褐色の左耳たぶには、ちび鈴のイヤリングを装着だ。


 ふと彼女の視界に、椅子に座って読書をしている女の娘が入ったのだ。

 その女の娘は、ずんだれた丸メガネを着用していて、囚人が身につけさせられるような黒白の縞々な服と長ズボンを身に着けている。肩には黒を基調としたケープも羽織ってある。


 ただその女の娘は、マーマラにとっての知り合いではなかったらしい・・・・・・ナナ姐と姿は酷似していても、髪の色が違うのだ・・・・・・日本人の標準スタンダード的な黒色で。髪型は同じだがね。

 おまけにその娘は、普段は活発的なナナ姐からは感じられないような、冷ややかな目線を発している。


 「おはようございます・・・・・・。貴方はこのギルドに何の御用でお越しになられたでしょうか?」

 そうマーマラは彼女に近づき、笑顔でその娘に挨拶をした。機嫌よく耳を上下に揺らし、シャリンシャリンっ・・・・・・と、微音だが鮮やかな音を奏でさせてやがる。


 「・・・・・・」

 女の娘は彼女を一瞥した後、読んでいた本で自分の顔をうずめ、何やらか細い声でボソボソ話している。


 マーマラは、一瞬ものすごく ムカッ とした。

 伏せた耳を高らかに上げ、シャラン! と大きな金属音が響き渡る。

 高校時代で彼女は、同じクラスメイトに話しかけた時、よく似たような対応をとられたのだ、何度も。

 体中に、怒りという苦味が生まれた。孤立は彼女にとっての耐え難いトラウマになってしまっている。


 「そっその・・・・・・すみませんですけど、先程の声、よく聞き取れませんでした。もう一度仰ってくれませんでしょうか?」


 本を読んだ女は、先程と変わらないような態度と声の大きさで、モソモソ内容を伝えようとした。


 「あのっ・・・・・・! 失礼ではないでしょうかその態度は!? 初対面の人に対しての挨拶の仕方がなっていません!!」


 彼女の怒号に、驚いて顔を上げた眼鏡の娘は、一瞬瞳孔に唖然の色を醸し、軽く口を開けるも、前と同じようにページに頭を隠す。・・・・・・数秒後ゴショゴショ声を出す。


 その対応をきっかけに、完全頭の中オーバーヒートしてしまったマーマラは、「何ですかっ・・・・・・!!? 何か文句があればおっしゃればいいじゃあないですか! はっきりと! 礼儀のれの字もご存じないような根暗さん!! そもそもナナお姉さまに似たようなメガネを召しておいでですけど、お姉さまの素晴らしさには微塵も敵わないくだらない存在である貴方が、お猿さんみたいなパクリしてるんじゃないですよ!! マルウェーメガネザルさんとでも呼ばれておいででしょうか貴方? もう失礼ですけど目障りですからこのギルドから出てって下さいっ!!!」と、瞼をつぶり、怒鳴り散らした。 


 そんな尊敬語豊富な暴言を受けた丸メガネの彼女は、寂しげな顔を表し、肩を落とす。


 そんな光景をにやにやニヤついて眺めるゴブリンがいた。

 イイキだ。このギルドのメンバー。

 「まあっマーマラ・・・・・・そう怒るなや・・・・・・実はそのマルウェーメガネザルさんこそが・・・・・・」と、奴がネタバレしようとした瞬間・・・・・・。


  眼鏡の女の娘が、冷ややかな目線で左手を使い手招きしている。相変わらず右手には読んでいる本を離さない。イイキは何事かと口を閉じる。


 彼女がゴブリンを連れて、外に出る。まだはらわたの熱が収まらないマーマラ。


 マーマラの視界に入らない岩陰に、イイキをひきいったメガネっ娘は、自分の三つ編みを握る。

 その瞬間から、どんどん彼女の髪の色が、いつもの姿である赤茶へと変貌した。


 イイキ「・・・・・・で? なぜ場所を変えた? なんか話あんのかナナ?」


 「あるわよ!? さっきイイキさんがもしネタバレしたら、ものすごく気まずい空気になるじゃない!!」


 「ばらしたほうが面白そうだぞ?」


 「だからそれがダメなんでしょって! ただでさえ何故かウチのこと尊敬しているマーマラさんが、この世界に来る前のウチのコスプレ・・・・・・コスプレじゃないわね、モノマネ・・・・・・モトマネの悪ふざけについての文句言った後、ウチの正体ばれたら彼女がどんなことしでかすのか・・・・・・あっいや罪悪感で悲しむことか・・・・・・」


 モトマネ・・・・・・俺が今読んでる書類には、昔の自分の性格・喋り方・服装等をモノマネするという意味の造語だそうだ。


 「髪の色変えただけで、大層な物言いだな。一つ訂正するとこあるぞ」


 「『元マネ』とかいうウチの造語?」


 「違う・・・・・・尊敬しているってとこ、マーマラのは尊敬どころか崇拝の域に達している気がする。あんたのこと・・・・・・なんか最近魔術のコツが掴んだきっかけをくれたのはナナってことで、ますますヤツの神聖視気味が加速しているよ、潜在的に」


 「・・・・・・ウチも密かに感じていたの・・・・・・認めたくないけど。というか、ウチなんかした!? 教祖様とかになったつもりとか全然ないのに!?」と、呟いたあと身を屈め、頭を抱え怯えるナナ姐。


 「・・・・・・あんなにさっき悪口言われたのに、ケロッとしてんなお前?」


 「昔言われ慣れしてるのばっかりだから特には・・・・・・ウチが根暗だの佐世保メガネザルとか、低学年のはなたれ小僧から呼ばれてたの思い出すな~、あの時泣いたっけ・・・・・・にしてもマーマラさんすごく怒らせちゃったよ~、どうしよう・・・・・・」


 そんな会話の数秒後・・・・・・。


 「うぁあああああああああああああああぁああああああああぁああああああああ!!!!!」

 マーマラが悲しみで頬を吊り上げまくりながら、猛スピードでギルド内から飛び出す。


 「・・・・・・なんか発狂してるみたいだぞ?」と、艶やかな髪の毛をかきむしって叫びまくり走るマーマラを、岩に身を潜めた状態で、眺めて語るイイキ。


 「ウチ達の会話が原因じゃないのかな・・・・・・?」


 「小声で話したから大丈夫じゃないのか? ここは室内からは結構遠いし」


 「知ってるイイキさん? マルウェー出身のエルフは、耳がすごくいいんだって・・・・・・思い出したんだ」


 「「・・・・・・・・・・・・」」



 「・・・・・・マーマラさんを止めなきゃぁあ!」何しでかすかわからねえもんな。


 十数分後・・・・・・。


 三つ編みが解けかかり、膝下が土埃で汚れ、クタクタになっているナナ姐が、自らの顔を両手で塞いでいるマーマラを、羽交い締めする。


 マーマラが逃げまくり、ナナ姐が追いかけたのだった。


 「うあわああああわあああ・・・・・・! 私はなんと無礼なことを酷いことを・・・・・・昔のお姉さまについてあんな罵詈雑言を・・・・・・っ!! 私はなんて詫びれば・・・・・・」と、自身を掴んでいるナナ姐の腕を外すようもがき、涙をぼろぼろこぼすマーマラ。


 「ちょっ・・・・・・気にしてないからマーマラさん。ウチも悪ふざけが過ぎたのよ。おあいこねおあいこ」


 ナナ姐の言葉を言い終わったら、マーマラは落ち着いて

 「・・・・・・いいえお言葉ですが、おあいこなんかではありませんお姉さま!! まず今すぐ私の全財産をお姉さまに譲渡して、自身はお姉様の奴隷として一生非難されながらこき使わせてもらいますね・・・・・・それでも全然足りませんね。私が死んだあとは首から上部分を体から外して町内に晒し、臓器などは売り飛ばして下さ・・・・・・いやそれよりも今!! 売・・・・・・」と、真摯な顔で説明する。実は彼女のその説明続きが有るのだが、語ったらこのノホホン小説、レーティング15どころか18になってしまうからそこ省くぞ!

 言い終わった後、彼女はまた暴れ始める。


 「猟奇!? 残酷!! 物騒っ。奴隷制度なんてマルウェー国に存在しないよ!? いやもうウチからのお願い、自身を許してマーマラさん!」

 それでも彼女のもがきは止まらない。


 「も・・・・・・わかった、わかったから罰はウチが決める! だから今は落ち着こ? ね?」

 マーマラはそれを聞いた途端、動きを止めてうなだれた。

 諭したナナちゃんはというと、自分のケープ胸ポケットから、ハンカチを取り出し、半泣きのマーマラに渡したのさ。


 顔を上げたマーマラは、

 「なんて寛大なお姉さま、・・・・・・いや存じ上げていましたけどね。嗚呼この人に付くなんてなんと光栄なことでしょう・・・・・・」と、自身のこぼした涙を借りた布で拭い、目を輝かせている。


 そうして表面上は穏やかになったのだが、ナナ姐の腹ん中は「どうしよう・・・・・・罰とかそんな決められないよ? ごまかせきれるかな・・・・・・ふざけなきゃよかった」と悩み悔やんでいた。


 「では・・・・・・」と、マーマラはナナ姐に向かって頭を下げ、片膝付いたかと思えば、「罰はお姉様が決まり次第受け入れます。あと・・・・・・忠誠を・・・・・・尽くさせて下さい・・・・・・せめてものお詫びです」と呟く。


 これは何の冗談だい? と一瞬だけその言葉を思考に乗っ取られ、呆けたナナ姐。イイキとかいうゴブリンは、近場に有る岩の上乗っていて、彼女らの会話にゲラゲラ笑う。


 「マイロードとお呼びしてもよろし・・・・・・」

 

 「お姉さまでいいから!!」と、マーマラの言葉を遮るナナ姐。

 実は恥ずかしいやら申し訳ないやらむず痒いとかの理由で、お姉さまとでも呼ばれたくないらしいのだが。


 「おう! 良かったじゃねえか、ナナ。子分が一人出来たぜ。忠実なな」と、面白そうにイイキは茶化している。


 その後、マーマラはナナ姐にしつこく謝った後、ギルド内に戻り、自前の水筒に蛇口の水を汲み、紙に包まれてるベトベトの塩飴何粒かといっしょに持っていた後、再び外出した。

 イイキはとかいうと、『マルウェー電子カラクリクラブ』とかいう工学ヲタクの集まりに今から出かけるのだそうだ。



 「・・・・・・疲れた、これから依頼者の家に訪ねなきゃいけないのに・・・・・・」と、くたびれた表情で、空を仰ぎながら、ギルドに入ったナナ姐。

 さあ彼女が近くにあるイスに腰を下ろそうとしたら、思いの他、人と物との距離があり、臀部が椅子の縁にぶつかった。

 ナナ姐がイスを背で押しのけてしまい、彼女が尻餅をついている時にそれが立て掛けてあった大鎌にぶつかった。


 「チ~スッ・・・・・・」


 バランスを崩した鎌は、猛烈な位置エネルギーにより、玄関の床に激しく突き刺さる。

 そのタイミングに、白服纏ったうさんくせえ男が、建物内に有る洞窟出入り口からヌッと出てくる。


 「あっ? んだこれ?」

 とある一人が、自分の至近距離で、フローリングを串刺ししている大刃を、外から蹴り飛ばした。荒くな。

 地面にぶつかり ガシャン と盛大な音が鳴り響く。


 「ああっ!! ワテの大鎌が!?」


 アサシと言うやつは、自分の得物が傷つけられたとこを見た瞬間、ブクブク泡を吹いて倒れて気絶する。ナナ姐も唖然となる。


 「アサシさん大丈夫ですか!?」

 ナナ姐はというと慌てて、情けなく失神している奴を膝枕し、何を思ってか、『攻撃用』の電気魔術を自分の小杖で、彼の頬に流した。

 バチッバチッバチッ! と微小だが激しい稲妻が、彼女の杖付近で暴れている。

 その時のアサシは、何度も何度も体が ビクンッビクンッとシャレにならないくらい震えていた。彼女が魔力を与えるたびに、アサシは顔色を悪くしている。


 「あなたは・・・・・・」

 ナナ姐はそのまま、透き通るような白い肌を持つ人外を見上げる。彼に電流を流しながら。


 ナナ姐の瞳に映ったのは、十代後半の女。

 ついでに言うならそいつは今回の語りナレーター・・・・・・つまり俺。

 特徴は、髪の毛は灰色のオールバック風だが、額右ら辺にはほんの少しのくせ毛が前に垂れている。

 瞳の色は世間ではおとなしめを連想させるような緑色だが、俺のそれを一瞬一瞥しただけじゃあ吊り目や三白眼と見違うくらい目つきが悪い。本当に悪い。吊り目や三白眼ではないのだが。

 上の服は黒のジャケットで、ファスナーは、実用目的なのが真ん中に縦断したのがそれだけで、他は装飾系、胸ポケット中部やら腕やら左右の横っ腹やら背中とかにあちらこちらに、横線・縦線・螺旋状にこれでもかとたくさん取り付けられており、下に履いている黒の裾長ジーンズも、膝上膝下お構いなしにチャックまみれ。おまけにそうそう、俺の右耳には、ファスナーをぶら下げた自慢のピアスがついてるぜ。

 人外についての特徴だがよ、まず人間の耳をまんま想像したらわかりやすいが、それの上部分三分の一が、下に折り曲がって垂れている。

 他に俺の鼻から左頬中部まで、『一』のかたちをした黒の入れ墨みたいな紋様が浮き出ているのも一つ。

 見た目の人間との違いはそんくらいか。胃腸やら肺やら、舌に瞳こそが、他の生物と比べ物にならないくらい様式がぜんぜん違うのだけれどもさ。それと物語を進めるぞ。


 「俺か? 俺は依頼者の リウム シーベルト 種族はウ゛ァンパイヤ・・・・・・」と、ナナ姐の質問を返した後、鎌の刃を踏みしめ進む俺。

 ナナは俺がウ゛ァンパイヤと説明しても、別にさして驚いていなかった。さすが全ての知的人外にも人権が与えられるマルウェーだ。


 「依頼者? え? ゲルタベ町の外れにあるダンジョンの護衛を申請してきたリウムさん!? わざわざこちらにお越しにならなくても、ウチからあなたの家とかに訪ねますのに」と、気絶していたアサシを椅子に座らせ、甲高い声で説明するナナ姐。


 「そうなのか? いや魔術師ギルドを活用すんの初めてだから、間違えてしまった。こんな硫黄臭いところに来ちまったぜ畜生!」


 「・・・・・・すみませんね、その硫黄のせいで、キマイラやら馬やらも寄り付かなく、そのせいでバスの停留所も手配できない不便な悪場で・・・・・・え~え~」

 俺の言葉に、気を悪くするナナ姐。その時、自身の三つ編みを整えてる。


 流石にさっき失礼なことくっちゃべったなと気づいたその時の俺は

 「・・・・・・いや、でもここのガンマ線はうまいぞ? それに外から見えるリザードマウンテンの中腹に温泉あったろう?」と、フォローする。


 「ああ知っているのですか温泉があること。・・・・・・ん? ガンマ線??」

 ギルドの何かを褒められて軽く機嫌を治すナナ姐。ただしすぐ軽めの怪訝な顔を表す。


 「あんな線の配分、ラドンしか知らねえよ。全くよだれが止まらないくらいうまそうだった。きっとすごくスパイシーなんだろうな・・・・・・」


 俺の話を聞くたびに、ちんぷんかんぷんなナナ姐。

 「ラドン・・・・・・まあ温泉を健康のため飲む風習有りますもんねマルウェー」


 「にしてもほんとアチィな~ここ。一旦外出ていいか? マジ噂通り蒸気まみれのギルドじゃねえか。もうすぐ冬だってのに」


 それから一旦ではなく、ナナ姐がクエストのための支度を整え、俺たちは外出し、ゲルタベ町にある喫茶店内へととりあえず着いた。物語の視点をそこに動かすぞ。

 その喫茶店の名『カール髭』・・・・・・名前とかよどうでもいいか、建物の特徴は、丸太を組み合わせて建てられたもので、広さはまあ小さめかな。外の庭には、赤黄に染まられてあるカエデの木が、芝生の坂からポツポツと生えていて、丸太の杭で出来ている花壇内で咲いていたコリアンダーの花々があるんだ。桜色やら白色やらなんだよその花。水苔で濁った小池もあるぞ。


 建物内部、陽光がよくあたる席に向かい合うよう座った俺たちは、店員がこちらの注文をとった後、さっそくビジネストークを始めることにした。


 ちなみにナナ姐の大杖は、近くの壁に立てかけてある。


 ナナ「それで例のダンジョンについての情報、何かご存知ですか?」


 「ああっ、場所は知っている。まあ初めてその遺跡に出会った時は、驚いたもんだ。一見だけでも分かる。とても様子がおかしかったんだ」

 ダンジョンとかいう言葉の意味は、マルウェー国などのこの世界ではもっぱら、国が管理していない遺跡やら、正式に調査されてない洞窟などのことを指すんだとよ。


 「どのようにおかしかったですか? 何か人の気配など感じたとか」

 かなりの高確率で、ダンジョンとかいうやつは、害獣魔獣やら賊やらの住処になってることが有る。


 「いや、線の配分が異常なんだ。その上そこは花崗岩いっぱい組み込まれた建築物ってとこを考慮しても、量が多すぎる。こんなことは初めてだね俺」


 ナナ姐は眉毛を八の字にし、口の形を角ばらせた。

 「線?? ところで話は変わりますけど、ここ日の光が激しくないですか? あなたの種族がウ゛ァンパイヤでしたよね、かなりしんどいと思いますけど・・・・・・」


 俺は、光? と心ん中に疑問が生まれるも ハッ と気づいた表情をしてすぐ

 「ああいやいやワリィワリィ。俺血ィ吸う吸血鬼(ブラッドウ゛ァンパイヤ)じゃねえんだよ。は~・・・・・・まあ俺たちの種族は吸血鬼共よりかマイナーだからな~。言葉足らずですまん!」と謝る。


 「・・・・・・ブラッド? 吸血鬼にもいろいろあるんですか?」

 漢字表記である『吸血鬼』は少し間違い。正しくは・・・・・・。


 「吸線鬼(ラジエーシャンウ゛ァンパイヤ)」

 そうばらした俺は妖しく笑み、自分の手の甲を舐め、続けて語る。


 「放射線を貪り食う種族さ・・・・・・」










 その頃 『炎精霊サラマンダー巣窟ハウス


 「アサシ殿・・・・・・医療棟の人員が足りないですので、徴医ちょうい命令が貴殿に、王から下っております。同行お願えますか?」

 ギルド入り口に、次元の穴が生まれ、西洋の甲冑を着た憲兵ハイエナが、そこから現れた。


 アサシとかはいうと・・・・・・。

 「・・・・・・」


 「アサシ殿!?」


 イスからこぼれるように倒れたアサシが、兵の視界に写る。

 彼の顔は、土地特有の蒸気によって茹でダコみたいに赤くなり、口周りが泡だらけだった。


 

 

 



 

 


 


 


 

 

 

 


 


 


 

 


 


 


 

 

 読んでくださりありがとうございます。


 ※補足です。

 ガンマ線・・・・・・放射線の一種。

  ラドン・・・・・・放射性物質の一つ。温泉の種類によって、含まれていることが有る。

  花崗岩・・・・・・放射線レベルが高い、重い石。

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