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ぐだぐだ異世界冒険譚  作者: 大錦蔵
10/39

いよいよ魔王戦①

 感想くださった方ありがとうございます。

 大変投稿のペースが遅れて申し訳ございませんでした。

 最近再編集した時期は7月30日

 ただの高校生徒である俺ギンは、一人でとある人外と対峙していた。

 ごく近距離である。

 自分の背には戸や窓などの逃げ道など存在しなかった。

 周りに武具とか、そんな気の利いた物など置いていない・・・・・・。


 ゴルゴンである。異界のとある国の神話にも伝承される怪物で、髪の毛が大量の蛇でできており、目を合わせただけで、相手を石化させる能力を持つ女性・・・・・・。


 しかもあの人はただのゴルゴンではない・・・・・・。今俺と顔を見合わせる彼女はその種族の中でも、突然変異で生まれた。ただ一人の異端なのである。

 通常のゴルゴンとの違いは、対象物を石化させる発動条件トリガーであった。目ではない。


 それは・・・・・・。


 

 

 いきなりだが舞台が変わるぞ。

 目も鼻もつまみたくなる硫黄が満ち、花崗岩に軽石が点在する山岳地帯に、一つの魔術師ギルドがあった。

 俺が何日か前、お世話になった会社である。建物名は『炎精霊サラマンダー巣窟ハウス

 ひどい環境の職場であるはずなのに、なんか愛着湧いちゃった。


 ああっあと、今回の語りナレーターはオレギンである。

 名字は、今も伏せておくことにする。

 

 

 「お金少なくなっちゃったよ~。誤認で逮捕されて仕事行けなかったから。アサシっさん、何か仕事の依頼クエストとかないの?」と、大広間、顎にテーブルをのせ、手足ブラブラ、椅子に浅く腰掛け、なんとも無気力に上目遣いで、彼に質問するナナちゃん。

 掛けている眼鏡のずんだれ度も、拍車がかかっていてもう、彼女の耳の肉が、重力のせいで掛け部分に深く食い込んでいる。


 怠けてるな~。


 「そや言うてますけど、最近不景気ですやろ?

 なかなかナナちゃんのうた依頼来てくれへんのや・・・・・・その上最近テロリストの嫌疑かかった奴ら、過疎地で集会してんの目撃されてるやさかい 。

 故に血の気の多いあんさんが得意そうな、フィールドワークタイプの依頼やな、国民の安全性を確立したい国からの規制受けて少なくなってきとるの・・・・・・」と、

 彼女に一瞥くれないで、テーブルに置いた大量の書類をペラペラ目視し、長々と返答するアサシさん。

 ちなみにその大量の紙は、蒸気に晒され、フニャフニャに萎れていた。


 「ちょっ・・・・・・今、どさくさ紛れに血の気多いって言った? 花も恥じらう女の子に向かって!?」と、背筋を正し、椅子を蹴っ立てたナナちゃん。ちょいと不機嫌な顔で。


 「ひどい言い草ですよ! 失礼です!」と、ナナの勢いに付いて、彼にくって掛かるマーマラちゃん。

 マーマラちゃんの鉄製水筒が、彼女の手前机上に置いてあり、この熱い湯気漂う仕事場で、彼女の喉を助けている。短時間の頻度で飲んでいるのだ。

 それは、錬金術師が防熱加工しているちょっと高価な代物で、蒸されたくらいで、ちょっとやそっとでは熱くならない。

 

 アサシさんが無視してとある紙切れを読んだ瞬間、わざとらしいような高速度で、それを書類の束底に隠そうとした。


 「ん? ・・・・・・アサシさん・・・・・・今何隠したの? ちょっと見せなさい!」と、彼の側に向かって飛びかかり、隠匿しようとしたブツをむしり取ろうとするナナちゃん。


 彼女たちの怒号、体当たりの衝撃で生まれた喧騒が、腐食した柱や土壁に響き傷つける。


 「あ~あ~あ~! うるせえなっ! 今魔道具の最終調整やってんだよ! 気が散る!!」

 一つのテーブル上に敷いてる渋いこげ茶色の布に、腰を下ろしたイイキさんは、手元に持ってたメガフォン型の機器類を彼女らに見せつけながら、キレた。

 ・・・・・・メガフォンって何?


 あと、彼が扱ってる魔道具は、どう感じても、鉄器類とか木製とかではなく、西洋中世風ファンタジー要素丸無視な、プラスチックなどで構成された機器で造られてあった。

 その魔道具には、発声スピーカー部分は、咆哮を放っているよう大口開けた威厳溢れるライオンの顔を象っていて、その部分のみ、黄金色【正しくは樹脂を纏わせてる】を輝かせていた。


 「つっかまえた!」


 ナナちゃんがアサシさんから、プリントを奪い取り、高らかと天に向けて、掴んだ手を挙げた。


 苦笑【?】しているアサシさんを尻目に、書類を読んでるナナちゃんは、内容の一部を声にした。


 「魔王・・・・・・?」


 ・・・・・・・・・・・・。

 魔王・・・・・・この国では、一つ以上の魔術流派を極めた悪党魔術師を指す言葉。強さは異世界の創作物に登場する魔王との次元が変わらないとされてる。


 アサシ「そや・・・・・・。そいつの根城が、テロリスト被疑者の集会場所から結構離れとるやさかい。その依頼内容が、別に国の規制内容に当てはまらないからあるのでっか」


 「いやそうじゃなくて・・・・・・。魔王? すごい! 魔王討伐のクエスト来たわよ! 初見! 報酬額がそこそこだけど、やっつけたらいい体験できるわ! どういうやつか気になる」と、心の中が、好奇心で満たされ、頭の中を、まだ見ぬ大物と闘うための知略を張り巡らせ、神経に興奮の電撃を感じでいたナナちゃん。


 マーマラ「すごいです! ナナお姉さまなら成就できますよ」


 「ん~・・・・・・。ナナちゃんには危険な仕事はさせるなと、ワテらのボスからきつく言われてるのやわけど。」と、アサシさんは顔を仰ぎ、額と両目に片手を添えて語り、その後にため息を漏らした。


 「え~・・・・・・。何のためバトルの特訓したかわからなくなるじゃない! ウチ強くなったのよ?」と、語ったナナちゃんは、ジャブやらシャドーボクシングを、アサシさんに見せつける。


 アサシさん「特訓促したんわ、あんさんが正当防衛の手段得るためやろって、ボスが言うてましたやろ? 

 本来前やった山賊討伐の仕事さえアウトです!・・・・・・けどな」

 アサシさんが、ナナから一枚の紙きれを取り上げ、話の続きを語る「これに書かれている『召畜魔王』ちゅうやつは、種族が人間で、魔王の中ではとても温厚の部類に入るのや」


 召畜魔王・・・・・・。あっいやなんでもない。


 アサシさんが、自分の口角を上げ「承諾しました。比較的安全な仕事やさかい。一度魔王にこてんぱんにされ、自分のレベルっちゅうもん感じるのも勉強なるなる。ボスには内緒でっせ?」


 ナナちゃんが飛び跳ね「さっすがアサシさん! 話がわかるぅう~」と、歌うように返答し、小躍りした。


  「・・・・・・でも魔王相手には、大多数のほうが良いわよね? マーマラさんやアサシさんとか一緒に戦ってくれないかな?」と、足を止め、不安げな顔で尋ねるナナちゃん。


 マーマラ「・・・・・・応援したいのはやまやまなのですが・・・・・・私が来ても足手まといのような気がしますので・・・・・・」


 アサシ「ワテは、人員足りへん医療棟の派遣仕事、役人に頼まれてやすからな~。長旅では無理でまんねん」

 院長が逮捕された後、医療棟では制御塔を失う。

 それの半混乱状態中、ギルドの治療魔術師達を派遣という形で召集するという医者の数押し作戦でなんとか強引に機能させている。

 そう彼が語った後に、タイミングよくギルド入り口に次元の穴が生まれ、甲冑姿の人が現れた。


 「アサシ殿・・・・・・お迎えに参りました。医療棟までご同行お願い致します」


 アサシ「・・・・・・と、行ってくるわ」


 行ってらっしゃいと、ナナ達の言葉を受け取ったアサシは、甲冑姿の役人と、次元の穴に消えていった。


 

 「・・・・・・さて、どうしよっか・・・・・・っ」と、マーマラたち方面に向きを変え、腰に手を添え、呟くナナ。


 イイキ「別のギルド、要請ヘルプ頼めばいいやねえのか? 」


 ナナ「ああっその手があったね・・・・・・」


 「ギルドの仕事、別の方に属している方に、助っ人として手伝ってもらえることが出来るのですか?」と、マーマラちゃん。


 ナナ「そっ。依頼達成時の分前の時、助っ人の人に要請料【相手方の交通費まとめて】の分含めて分配しないといけないとか、書物の手続きが面倒なのとかのデメリットが有るけど、こう周りに頼める人がいない場合に、申請する時があるの」


 「へえ~・・・・・・」


 「そいじゃ・・・・・・」と、カウンターに置いてある書類置き場の箱に向かって、歩み寄ったナナちゃんは「善は急げ・・・・・・。要請申請書類どこだったかしら? あっ、あった」と書類の束から一切れ摘んで、つぶやいた。

 お求めの一枚の紙を卓上に置き、ケープの右ポケットに差し込んであった細小杖を、ペンを持つように構えた。

 その瞬間にその杖の下先端から、インクが垂れた。生活用魔術。

 スタンプも押した。

 マーマラさんたちは、彼女の様子を、さして意味もなく眺めている。


 「たし・・・・・・か、これでよかったのよね。イイキさん、これでよかったかしら?」と語ったナナちゃんは、彼の視界につまんでいる書類を入れた。


 「いいかって・・・・・・。オイラ事務的なこと苦手って知ってるだろ?」と、バツが悪そうな顔をして返答するイイキさん。


 ナナ「まあ間違ってる様子は無い・・・・・・わよね? よしじゃあっこの書類を、別のギルドに渡さなきゃ」


 「そいじゃあ、行ってきま~す」と、自分の財布を持ち出し、丸めた書類を、女の娘が持つには少し大きいサイズなリュックサックに入れて担いだナナちゃんは、外に歩みだそうとしていた。


 「・・・・・・お姉さま?」


 「ん? どうしたのマーマラさん」と、足を止めて振り返り言うナナちゃん。


 「直接別のギルドの方へ行かれるのですか・・・・・・? 文通にしたほうが、楽だど思うのですが・・・・・・?」 

 

 「いやいや郵便でしたら、速達でもかなり待たなきゃいけないわよ? 今結構金欠だから、少しでも急がないと・・・・・・」


 「それでしたら、私が参り致しましょうか? ナナお姉さまは、留置所に釈放されたばかりで、お疲れだと思うのですが・・・・・・」


 マーマラちゃんの提案を聞いたナナちゃんは、「あらそう・・・・・・? ではよろしく頼みますね・・・・・・」といった後、申請書を彼女に渡した。



 それから一日後の朝頃。


 「マーマラさ~ん・・・・・・。ウチ例のクエスト行かなきゃいけないから、借りている本、代わりにゲルタベ図書館に返してくれないかな~・・・・・・エヘヘ」と、肩に大きなリュックサックを背負ったナナちゃんは、両手にずっしり重量を感じざるを得ないブックタワーを、マーマラちゃんに渡そうした。その笑顔は、ごまかしとやり過ごしを含んでいる。


 「はい! お姉さ――――」


 彼女が快諾しきる前に、アサシさんが自分の得物で、ナナちゃんの頭を打ち付けた・・・・・・ええっ!!?


 「ちょっ・・・・・・何すんのよ!? アサシさん!?」と、大鎌の柄を小突かれたナナちゃんが、彼にクレームをぶつける。 

 ・・・・・・あ~良かった、柄だったんだ。てっきり鎌の刃で打ち付けられたと勘違いしちゃった・・・・・・。一瞬彼女の頭が血溜まりで塗られていて、その状態で非難の声を出したかと想像しちまった。


 「がさ入れでっせ、イイさん・・・・・・。容疑者のブツを調べてくだせえますか・・・・・・」・・・・・・口調が変わっているよアサシさん。彼は、ナナちゃんの抗議を無視して、テーブルに座っていたイイキさんの前に、彼女が持っていた本を置いた。


 彼らが、そのブツを広げる・・・・・・。


 イイキ「間違いないようだな・・・・・・(重い声のトーン)」


 開けられた本の中身には、酷いシミやらメモ書きやらが、本来ある余白を塗りつぶしていた。

 

 アサシさんが、自分の視線を本から、ナナちゃんに向けて「自分を慕うマーマラちゃんの心を利用したなあんた。

 あんさんの汚した手が原因なのに、図書館職員から自身が叱られないよう本を返却するため、代理を頼もうとしたあんたの作戦・・・・・・ここまでだな・・・・・・」と、変わった口調のまま語る。


 「い・・・・・・いやいやいやや・・・・・・か・・・・・・借りる前からこンナでしたよ??」と、自分の視線を振り子のように泳がせて、冷や汗を垂れ流すナナちゃん。うん、その言い訳は果たして通るかな? 


 「まだしらばっくれるのかい!? これらが何より動かぬ証拠じゃろうがよい!!」と、怒鳴り声を散らすイイキさん。


 「待ってください! イイキさん、アサシさん・・・・・・ナナお姉さまを責めるのをやめてください!」と、マーマラちゃん。


 「マーマラさん・・・・・・」と、一粒の雫を、目尻に溜めたナナちゃん。


 「魔術もろくに使えないこんな役立たずな私でも、お姉様に認めて貰える数少ない貴重な仕事を頼まれたんです! お姉さまのためならば、図書館職員の叱責なんて、なんでもありません。

 ぜひ私にやらせてください!!」と、ジョーク色皆無な声のトーンで、鬼気迫るよう語ったマーマラちゃん。彼女は基本的にギャグは言わない真面目タイプだ。


 あまりに本気な彼女の言葉に、イイキさんとアサシさんは、お互いの顔を合わせ苦笑を浮かべ、かばわれたナナちゃんは、罪悪感と脂汗に苛まれながら、どう自分の頼みごとをキャンセルしようかと考えていた。


 「マ・・・・・・マーマラさん・・・・・・。ウチが悪かった。図書館職員に説教を受けるのが怖かったから、あなたについ甘えてしまった・・・・・・。本当にこの本らを返さないといけないのは、ウチなのに・・・・・・」と、マーマラちゃんに向かって、頭を垂れ、謝るナナちゃん。


 「そんな・・・・・・頼って欲しいんですよ? 私は。頭を上げてくださいませんか?」と、汗を飛ばして、困惑しながら語ったマーマラちゃん。


 「そう・・・・・・そこまでいうなら・・・・・・」


 「メモしておくから、ウチの代わりに指定した本借りてくれませんか? ウチ限度まで本借りてるから、マーマラさんが借りるってことで・・・・・・」と言ったナナちゃん。


 その瞬間に、大鎌の峰にしがみついたイイキの踵が、アサシが繰り出した空振り横閃撃を推進力を利用し、芸術とまで謳われ・・・・・・ないコンビネーションで、ナナちゃんの頭を足蹴にした・・・・・・・・・・・・。


 そんなやり取りの後。


 ナナちゃんとイイキさんは、コウヤ山ふもとにある農村地に設置され、彼女らの待ち合わせ場所でもあるバス停で、一人の助っヘルプを見下ろしていた。 ・・・・・・あっオレが山賊共に絡まれる前に、降りたバス停だ。

 話脱線するが、ゲルタベ町にあるバス停の経由では全種、彼女らの目的地に近づかない。


 そこにアザラシのオス・・・・・・男性がいた。頭にシルクハットを被り、胸元に黒リボンくらいと、服装は超シンプル。彼の毛皮は、黒い斑点が転々ある灰色で、もっぱら外見は異世界で生息されると云われるゴマアザラシそのものである。

 そいつの種族名が、 スマートスィール で、基本的に陸上で生息し、知能は人間以上と言われる。そして平均な体長だが、ドブネズミくらいしかなく、彼もその例外ではない。そりゃ、背の低いイイキさんが、見下せるわけだ。彼の提げている上質ポーチは、人間の大人が使用する一般的サイズなため、大きさが不釣り合い過ぎている。無理やりずり下げて運んでいるようだ。

 後どうでもいいけど、絶滅危惧種。


 ・・・・・・とかどうやって、来たんだ? その大きさで? スマスィ【スマートスィールの略称】は、体力はあまり無いはずだぞ? まあモンスターアザラシだから、肺活量は非常に高めだけどな。


 「はじめまして・・・・・・。僕の名は ヘリック と申します・・・・・・。あなた達が、ウチのギルドに要請申請を発足した、炎精霊の(サラマンダー)ハウスに所属している、ナナさんとイイキさんで間違いないですね?」と、スマスィのヘリックは、丁寧な口調で、彼女らに訪ねた。ただし、ぶっきらぼうな刺々しい声で、相手と目を合わせずだが。


 対して彼を目撃したナナちゃんは・・・・・・。


 「きゃあああああああああああっ!!!!??? かぁわぁイィいいいいいいッ!!!」

 手を合わせ、瞳にたくさんの光を宿し、両頬が紅潮・・・・・・。動悸も早くなり、興奮した。・・・・・・やっぱり女の子は、かわいい物好きだね。・・・・・・今度キュートな動物召喚して、ナンパの飛び道具にできないかな?


 すかさず彼女が、ヘリックに握手しようと手を伸ばそうとする。・・・・・・と言うかほぼほぼ抱きつく勢いで。


 しかしナナちゃんの好意的な手を、冷徹に前足ヒレで弾くヘリック。


 軽く頭が白に染まり、「え? ・・・・・・あ?」と声を漏らすナナちゃん。

 ヤレヤレと眺めていたイイキさんも少し唖然とした。


 「やめてくれませんか? いきなり直接接触するの・・・・・・。あなたの仕事伺っていた所、山々やら、洞窟やらで動きまくるアウトドアタイプだとか。

 ・・・・・・仮にそんなとこで活動して、得体の知れない寄生虫やら疫病やらが、寄生だの感染だのに受けてるかもしれませんよあなた? 

 そんな安全性の確立されてない状態で、初対面の人、しかも要請を頼んだ人を安易に触れようとするなんて・・・・・・あなた一般常識備えてますか? 失礼ですが、あなたの最終学歴は?」と、愛くるしい無表情の顔で、淡々と告げるヘリック・・・・・・何コイツ!?


 精神が一時完全氷結し、無色の表情に変化するナナちゃんと、なんと返答していいのかわからないイイキさん。


 「もしも~し? 人外ひとが訪ねていますのに、返事しないなんて不躾では? 最終学歴は?」


 「・・・・・・真鳳まほう中学校中退」と、まだ凍りついた心で、半ば自動的に答えるナナちゃん。


 「勝った・・・・・・っ!!!!!」と、前足ヒレを高らかに挙げ、彼女らと会っての初めて笑みをこぼすヘリック。ただし悪人がやるような。


 「あっ・・・・・・いや失礼・・・・・・。決して僕は優越感を感じたいわけではなく、”マルウェー商業大学”出身のエリートである自分が、どの程度かわからない相手の会話のレベルに合わせれるために、あなた達の学歴を問おうとしただけです」と、語るヘリック。

 ちなみに””の中にある単語を、相手の耳に確実に残るように強調させている。


 そして彼は続けて、「それにしてもあなた達、『土精霊ノーム職場オフィス』のエリートである僕を選ぶ、そのお目だけは高いですね?」と口に出した。


 ・・・・・・。


 ナナちゃんは、とある単語を聞いて、自分の精神が解凍するのを感じた。

 到底自分では、看過できない言葉が、自分の鼓膜と脳裏を震えさせた。そのまま彼女は、おどおどした声で彼ヘリックに問いかける。

 

 「え・・・・・・? あなた『土精霊ノーム職場オフィス??」


 「は・・・・・・? 自分のとこが、要請した助っ人の所属を尋ねるのですか、あなた? そうですよ」


 その返答を受け止めたナナちゃんは、ヘリックでもイイキでもない、この場に居合わせていない人に向けて、心の中のみで呟く・・・・・・。その呟き方は、とっても優しく問いかけるように。


 「マーマラさん・・・・・・。『土精霊ノーム会社オフィス』はね・・・・・・魔術師ギルドではなくて・・・・・・コホンッ・・・・・・・・・・・・執務師ギルドなんですよ?」


 ※執務師ギルド・・・・・・税理士や弁護士、フリーのイラストレーターにライターなどの、デスクワークに特化した者達を、仲介・斡旋してくれるギルド。


 


 


 


  







 

 読んでくれてありがとうございます。

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