だが、断る! ってすぐに言えたら苦労はしない。
第5話です。
いや、俺達のお頭の所に挨拶に来いやぁ!(意訳) と言われてもなぁ~。
嫌ッス、めんどくさいから。帰って下さい。
心の底からそう思っていても、言葉に出せないニッポン人の己が憎い…!!
それに結局自分達の事は説明しないままなんですけど、コイツら。
もうコイツらでいいよ、めんどくさい。
あーめんどくさい、あーお腹空いた。なんかもういい。
どうせ寿命が尽きるまで一人でのんびり暮らす予定で、たまに遊びに来てくれるメーさん以外とは付き合わないはずだったんだ。
此所はご近所付き合いを大事にしなくちゃいけない地元じゃないし、そもそも付き合わない予定だし。
予定は未定とはよく言うけど、こんなめんどくさそうな連中と知り合いになるのは御免でございます!
という訳で、断ろう。
その結論に達した私は、こっちをニコニコしながら見ている輩と、眉間に皺寄せて見ている輩に向かって、何も応えず再びジャパニーズスマイルを浮かべ、作業用に穿いているジャージのポケットから、笛を出して 吹いた。
なんか出してくわえた私を、今度は二人揃って不審げに見ているね!
若造に至っては<ナニシテンノコイツ?>という感じ。
ええいそんな目で見るな!用心棒の呼び出し音発生中なだけだよ!あんたらには聞こえないはずだから、五月蝿くないだろーが!
そう、この笛は所謂犬笛の様なもので、ある特定の生き物にしか聞こえないという、メーさん謹製の一品なのだ~!
……だから吹いてる間、ちょっと間抜けな感じになるけど、仕方ないんや……!!
なんかくわえてじっとしている人になるけど、仕方ないんや……!!くそう、ギャラリーさえいなければ恥ずかしく無いのに!コイツらがいるせいで、コイツらがいるせいで~!!
私の逆恨みメーターがグングン上がって行くなか、なんかくわえてじっとしている私(泣) に苛ついたのか、若造が近付こうと一歩踏み出した。
「おいお前、さっさと返事を…」
しないか、とか続くはずだったかも知れないその言葉は、私の背後に現れた生き物によって遮られた。
最後まで言わせねぇよ!?なんちゃって。
有り難うございました。