最初に至るまでのお話。
第3話です。
メーさんめぇ~。 ここに来るのは森に住んでる動物達ぐらいだよ~とか言ってたのに、明らかに森の外から来たらしき、服を着た二足歩行の生き物が現れたよ!?
結界はどうした結界はぁ!
と…取り敢えず落ち着こう。そんで笑顔を浮かべよう。多少ひきつっていたって構うものか、ジャパニーズスマイルの力、今こそ発揮すべき時なんじゃー!!
この時私は玄関を出てすぐにある、畑の隅にいた。だから、本気でビビっていたのだから家の中に逃げ込めば良かったんだけど、なんせ逆第1異世界人、発見!状態で思考パニックしてたもので……。
いきなり襲われちゃ叶わん、という事で友好的スマイル作戦にでた訳です。
それが好を奏したか、あちらから話し掛けて来てくれました~。つってもなんか高圧的で偉そうな話し掛けでしたけどね。特に二人いる内の若い方が。
お前は何者だ、とか何故この場所にいるのだ、とかどうやって入り込んだ、とか。…………ウゼエ。私が侵入者前提の詰問だよね、これって。
コラ若造よ、目上の女性に対してそんな態度とってたら、嫌われるよぉ~?嫌われるだけならまだしも、地味に効く嫌がらせを意識してヤられちゃうよぉ~?誰がとはいわんがな!
気分がささくれ立ったその時、みかんの花の柔らかな良い香りが。
オゥ…。安らぐわ~…。
安らぎついでに連想ゲーム的に5月の旬の食材を思い出し、小腹を空かせてしまいました。
結構余裕あるな、私。
若造の詰問によって、私の纏う空気がギスギスしだした事を察した二人組の年長者の方が、空気を和ませる為か、良い香りがするが、何の花かと尋ねてきたので、やっぱりこちらには無いんだな~なんて思いつつ、みかんの花だと。一年中花が咲いてて実が成るんだぞ凄いだろうとつい自慢してしまった。
変な事を聞いた、みたいな顔してこっちを見てくるから、大丈夫、あなた達間違ってナイヨ~と返事をしたらば。…そしたらなんか怒られた?もっと疑問を持てって。自慢する前になんか変だと思わないのかって。
…そんなこと言われてもなぁ…。
いや、私だってこんなことフツーじゃ無いとは分かっていますよ、だけどね。
此所は日本ではなくて異世界で、この家を贈ってくれたのは女神様で。
フツーじゃ無いのがフツーっていうかね。
この若造と話するのはなんかムカつくので、比較的穏やかに見える年長者の方とお話する。
犯神を知っているから驚かないと正直に伝えると、その犯神…じゃない、神様の御名前はとか聞いてくるんで、思い出してみる。
……うん、覚えてないな!メーさんの名前は教えてもらったんだけど、長い上に良く聞き取れなかったです…。私の耳が悪くなったのかと思ったが、メーさんによると妨害電波的なものが発生しているとのこと。神様の名前には力が宿るから、それを受け止める器がないとすんなり入っていかないということらしい。
へーそうなんだ、じゃあ聞き取れないなら今まで通りメーさんでいい?と言ったら抱き着いて喜んでたなぁ…。
かわいいやつめ。
…あ、やべ。色々思い出してたら返事遅れた。あ~もうメーさんでいいや、だってそう呼んでるし!
やはり通じず。ちぇ!
え~と、なんか他にも言ってたのになぁ~。ゴメンよメーさん、忘れっぽい脳みそしか持たない私で…。
あ!そうだ深緑の女神様だー!!やったー思い出したー!!ヒャッハ―!!
思い出せてテンション高いついでに、他の質問にも答えておこうかな!自己紹介と、なんでここにいるのかを。