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Crossing,  作者: TOKIA
8/15

とある大学生のキャンパスライフと日常。

1.――構内にて――


「あ、榎本君。こんにちは」

「おっす、半沢。珍しい所で会ったな。いつもは大体東棟で会うのに」

「だねー」

「二限はこっちで講義?」

「そうだよ。現代文」

「あー、あれかー。山科教授の?」

「うん。あの先生、話が面白くて好きなんだ」

「あのおっさん、妙なウンチクに詳しいよな。講義に関係ないことまで」

「そうそう」

「あと女子生徒相手だと扱いがあからさまに違う」

「そうなの?」

「女の子にはめちゃくちゃ優しいくせに男相手だと超鬼畜」

「んー、そんな感じしないけどなぁ?」

「いや、全然違うな。半沢みたいに可愛い子には特に猫被ってやがるんだ、いい年こいてあのエロオヤジ」

「えーと、それは色々反応に困っちゃうコメントだね……」

「は? 何が?」

「あーうん、何でもないよ、何でも」

「?? おう……?」

「それで続きは?」

「それでな、俺なんかこの前、膨大な量の資料をデータ化するのを手伝わされたし。昼から夜の十一時くらいまで、ぶっ通しで」

「わー………」

「その前は、機材を運ぶのに研究棟から教室まで四往復させられたな。コピー機とか旧型だから重さハンパねーの」

「た、大変だったんだね」

「大変なんてもんじゃないぞ、あれは。まあ、その後、飯オゴってもらったからいいけどさ」

「あ、そうなんだ」

「おう」

「何食べたの? ラーメンとか?」

「いや、寿司」

「お、お寿司? お寿司オゴってもらったの?」

「うん」

「………ちなみに、それはもちろん回る方のお店だよね?」

「いや、回らない方。生まれて初めて入ったぜ。生け簀とかあるのな。めっちゃ旨かった」

「………………」

「ん、どしたー?」

「あの………それって逆に気に入られてるんじゃないかな」

「え? ハハハ、そんなバカな」




2.――友人宅にて――


「―――あ゛あ゛あぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「(ビクッ!)な、なんだよ、どうした?」

「………レポートが間に合わねえ」

「は?」

「レポートが提出期限に間に合わねえんだよおおおおおっ!!?」

「なんだ。何かと思ったら、そんな事か」

「そんな事……? そんな事って言った、今!?」

「言ったよ。いや、確かに言ったけど詰め寄って来んじゃねえよ、気持ち悪りぃっ」

「お、おまえってやつぁ………! 俺はなあ!! 俺は、このレポート落としたら留年しちまうんだよおおおおおおおっ!!?」

「それこそ、そんな事だよ? 勝手にダブれば?」

「おまっ! おまえっ、親友の危機にそれは薄情じゃあるまいか!?」

「知らん。自業自得だろう」

「またダブる訳にはいかねんだよ! 大学辞めさせられちまうよ! 助けてくれよ、榎本ぉ!!」

「あ~? うざいなぁ。面倒だなぁ。……………………………って、“また”?」

「あ、うん。俺二回ダブってるから」

「え? 浦安、おまえ年上だったの!?」

「そーだよ? 知らなかった?」

「しかも二回ダブり!?」

「いえすあいどぅ」

「おお………おまえ、俺の想像を凌駕するバカだったんだな」

「いや、ちょっ。バカだから留年したとは限らんでしょっ?」

「違うのか?」

「うん、違わないけどね!!」

「チィース。浦安先輩、チィース」

「あっ、やめて! 心が痛いから、そういうのホントやめて!」

「あー面白い」

「でも榎本に先輩って呼ばれるのちょっと嬉しい! もっかい呼んでみて!」

「わーうぜえ」




3.――自宅にて――


「ゆ~ゆ~ゆゆ~」

「………………」

「ゆゆゆ~ゆゆ~ゆ~」

「……おい、咲」

「ゆ~。あ、駿介君。おかえりなさい」

「おう、ただいま。で、なんだ、その変な鼻唄」

「え? 鼻唄?」

「歌ってただろ、今」

「歌ってないッスよ?」

「何か、ゆ~ゆ~言ってたじゃん」

「言ってないッスよ?」

「……………」

「ッスよ?」

「(イラッ)いや、まあ別にどうでもいいんだけどな。ちょっと頭がおかしくなったのかと思っただけで」

「どうでもいいとか言わないでっ。誰もいないから油断してオリジナル鼻唄作ってただけだからっ。無関心は破局への第一歩っ。あと頭はおかしくなってません。だから、どうでもいいとか言わないでっ」

「寂しいヤツだな……じゃあ俺はどうすればいいんだよ」

「もっと構ってください」

「面倒くさいな、おまえ………つか最近よく来るな」

「ふふり。合鍵もらっちゃったから。もう、いっそここに住んじゃう勢いですよ」

「それはやめろ」

「えー……なんで?」

「狭い」

「一言!?」

「つーか一緒に住むならちゃんとそれ相応の部屋に引っ越すし」

「おお……それは夢が膨らむね」

「金がないからすぐには無理だけど」

「世知辛い!!」

「世の中そんなもんだろ」

「いやいや、なんのなんの愛があればその程度の障害―――」

「なんともならねえよ?」

「ですよねー」

「まあ実現するのは卒業してからかなー」

「わー、とっても現実的ー」

「そのへんが妥当な線だろ。愛は金で買えないとよく言うが、金もまた愛では手に入らない」

「駿介君かっけえ!!」

「……いや、特にかっけえ事言ったつもりはない」

「私にとっては365日かっけえの」

「あーはいはい」

「流された!? 無関心は破局への―――」

「それは、もういいから。それより俺、腹減ったんだけど」

「あ、はーい。すぐ準備しまーす」




4.――実家にて――


「うぃーす、ただいまー」

「お兄ちゃーん、おかえりなさーい」

「よう、涼子、久しぶりだな。ちょっと背伸びたか?」

「うん! 前に会った時から三センチ伸びたよ!」

「そうかそうか。成長期だもんなあ」

「えへへー」

「親父とおふくろは?」

「二人で映画観に行ったよ。ご飯食べて来るから帰りは夜だってー」

「あー、そうなんか。子供ほったらかしでデートね……相変わらずだな、あの人達は。翔はどうしたんだ?」

「翔ちゃんはねー、保育園のお友達と動物園に行ったよ。お友達のお父さんが連れてってくれるんだってー」

「へー。まあ、皆元気そうで何よりだ。そういや涼子は遊びに行かなかったのか? せっかくの休みなのに」

「うん。でも、早くお兄ちゃんに会いたかったから涼子はお留守番してたんだぁ」

「………おまえは良い子だなあ。お兄ちゃんは嬉しいぞ」

「嬉しい? お兄ちゃん、嬉しいの?」

「おう。よし、頭を撫でてやろう」

「わーい」

「おかげで久々の里帰りを一人寂しく過ごさずに済んだぜ」

「だいじょうぶ。涼子がいっしょにいてあげるからね。ごはんも作ってあげるー。あのね、涼子ね、カレー作れるんだよ」

「お、マジで?」

「すごいでしょー」

「おお、すげーなー」

「えへー、がんばって作るから楽しみにしててね」

「ありがとな。よし、じゃあ、飯の時間までゲームでもするか」

「うん! するー!」

「じゃあ部屋まで競争だ!」

「だー!」

「よーい、」

「どーん!」






SS四連発。

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