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これを励みにもっと頑張りたいと思います。
仲間を増やしたああああは今、平原へとやって来ていた。
それはなぜかとても簡単なことだ。
スラがどれだけ戦えるのか、アイを守れるのかを確かめるためだ。
アイが魔法を使えると言っていたがそれを確認するのもある。
「早速だがアイとスラの強さを確認しておきたい。それで魔物を狩ろうと思う」
そう言ったああああにアイとスラは、快く返事をする。
「うむ。儂はええぞい」
「私も」
その言葉を聞いたああああはうなずきそして遠くにうつる一匹の魔物を指さす。
それが合図となりアイがどこからともなく樫の杖を取り出し構え、スラが己の体を誇示するかのように筋肉を見せつける。
「じゃあまず、あそこのナイトスライムを倒したいと思います。スライムの派生でスラと同じくらいのランクです。気を付けてください」
ああああがそう言い包丁を構える。
「スラはアイを守りつつ相手を遠くに投げ飛ばして。アイは魔法で遠距離から。俺は押し通る」
その言葉を言った瞬間、ああああは走りナイトスライムへと襲い掛かる。
ナイトスライムはスライムが鎧の中に入り込んだかのような魔物だ。
だいたいは魔物に負けて死んだ人の鎧に寄生する。そしてその周りに落ちている武器を拾い武装する。
硬い鎧は簡単に核を傷つけさせず、なおかつ核の場所を視認することが難しい。
そしてその軟体による柔軟な動きで武器をふるいスライムの時とは違う圧倒的な強さを見せつける。
だが弱点はある。鎧を取られるとスライムに戻ってしまう点だ。だがとれる魔石はナイトスライムのものとなっているためセオリーではまず武装を解除させる。
だからああああは包丁をすくい上げるようにナイトスライムの兜に打ち付ける。
だが首の部分のスライムが伸びるだけで兜は飛んではいかない。だがああああはそこを逃さない。伸びたスライムの首の部分。その守るものがないところを反した包丁でぶった切る。
そして兜を蹴り飛ばした。兜の部分が飛んでいく。
「お兄ちゃん。じゃま!」
その言葉にああああはその場を飛びのける。
ああああがいた場所をアイが放ったであろう拳大の火球が通過し、首から上のなくなったナイトスライムの鎧にぶつかり弾ける。
その衝撃にぐらついたナイトスライムの目の前に影ができる。
正面に現れたのはスラだ。アイは今は守らなくても大丈夫と判断したのだろう。スラは両腕を広げそのまま一気にナイトスライムへと抱きついた。
「おい。スラやりすぎだ。お前だけで十分だったじゃねえか」
「すまんすまん」
ナイトスライムがどうなったか。とても簡単だ。スラに抱きつかれたナイトスライムの鎧は砕け、そのまま砕けた破片が刃となり抱きしめた勢いで核へと突き刺さったのだった。
その一撃であえなく死亡。
ナイトスライムが落としたのは魔石と鋼の剣だけだった。
「魔石はアイ。吸収しとけ」
「いいの?」
「儂はいいぞ」
ああああとスラが辞退し遠慮をするアイに魔石を吸収させる。
「この剣は俺もらうな。異論はあるか」
ああああがアイの魔石の吸収を見届けた後、剣を拾いそう言う。それに一つ反論の声が上がる。
「はいはーい。私は売ったほうがいいと思いまーす。お兄ちゃん私にかわいい防具買ってよ」
それにああああはうなずく。
「そうだな。アイがけがしても困るし防具代にするか。スラは異論あるか」
簡単に丸め込まれるああああ。それにあきれた顔をしたスラが返事をする。
「いいんじゃないか。儂はこの筋肉があれば問題ない」
こうして鋼の剣は売られることとなった。
ああああはこの調子ならもうちょっと強い相手でも倒せると確信する。予想以上にスラが強かったためだ。
スライム種からべつの種にかえてもいいはず。
そう考えたああああの目に映ったのは融合生命体のキメラだった。
キメラは二つ以上の生命体が融合しているとそう呼ばれる。ドラゴンとスライムでもキメラだしゴーレムとゴーストでもキメラだ。
ああああが見つけたのは鳥種の何かと虫種のなにかが融合したタイプだ。
羽の生えた芋虫というのが形状を説明するのに適切だろうか。
ずんぐりとした外見をしているが意外と素早く動き回っている。
「おい。次はあいつを狩るぞ。アイを任せたスラ」
そう言いああああはキメラに向かって突き進んでいく。
がある程度近づいたところでキメラが気づき口から火の息を吐く。
そこに背後から氷の柱が飛んできて目の前に壁を作った。アイが放ったのだろう。いい仕事をする。
氷とは濡れているときは滑る。つまり濡れていないならあまり滑ることはない。
なのでああああは目の前の氷の柱に飛び乗る。そしてそこからキメラに向かって包丁を突き出す。
それを飛び上がってかわすキメラ。だがそこに拳大の火球が飛んでいき羽を燃やし墜落させる。
「いいぞアイ。さすが俺の妹だ!」
興奮するああああはそのまま落ちていくキメラに包丁を突き立てようと近づく。
それが失敗だった。近づいたああああを待ち受けていたのはキメラの吐く火炎の息だった。
後ろに飛び退くああああ。だが間に合わない。そこに飛び出す青い影。スラだ。
筋肉を見せつけるポーズをとりその格好でああああへの炎を遮る。炎が止んだ時そこには無傷のスラがいた。
「天誅」
スラの一撃。頭の上で両腕を組みハンマーのように振り下ろす。それによってキメラは死に絶えたのだった。
「俺いらないじゃん。もうスラが勇者になればいいんじゃないかな」
いじけるああああ。それを慰めるアイ。
「筋肉の勇者か。それもいいわい」
そう言ってからかうスラ。
この場が収まるのに少しの時間が必要だったのは言うまでもない。