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 酒場。そこは料理に舌鼓をうち、仲間とともに酒を飲み楽しいひと時を過ごすそんな場所。時には一人でヤケ酒を飲みに来たりする人もいるが周りの雰囲気にあてられ少しは元気になって帰っていく。だがそんな酒場にはもう一つの顔がある。

 それはいわゆる職業斡旋だ。

 遠征の時、魔物がいるので護衛を頼みたい商隊には力強く戦いなれた戦士や格闘家を、遺跡の探索をする学者には罠の取り扱いなどにたけた盗賊などをその職業に合った仕事を紹介してくれる。

 時には知性を持った魔物なども職を求めてやってきたりもするすごい場所なのだ。

 ああああはここで仲間を手に入れようとしていた。

 そうすることでアイに危険が迫る確率が減るからだ。

 だが危険な魔物をアイは仲間にしたいと言っておりそこは困ったところだ。

 酒場に入ったああああとアイはさっそく職業斡旋のカウンターへとむかう。

 酒場というとゴロツキがいるイメージが多いがそんなことはない。なぜならそんなものがいたら仕事を探している戦士や格闘家にぶちのめされるからだ。

 仕事を獲たい人たちが強さを見せるために行動する。そんなアピールのための格好の的になるのはだれでもごめんだ。

 そんなわけで誰にも邪魔されずああああとアイはカウンターにたどり着く。


「すいません。なんかこうマッチョな人いませんか。雇いたいです」


 ああああがそういった瞬間アイがひじ打ちを繰り出す。それをもろに脇腹に喰らったああああは少し興奮したような顔をしてアイを見つめる。

 それを受け流しアイが口を開く。


「さっきのはやめるね。それでかわいい魔物はいない? 雇いたいです」


 カウンターの人はそれにうーんと首をひねりぽつぽつと今いる魔物のことを話していく。


「今いるのはなあ。女性に人気なのは小さい犬みたいなパンサーとか小鳥みたいなポーかな」


「ちょっとまてゴーレムとかいないのか。せめて壁になれるやつだ」


 ああああが焦って口をはさむ。愛玩系の魔物など雇う意味がない。


「ゴーレムは今いないなあ。壁になるのか。ふむ、そうだ面白いのならいるよ」


 その言葉にアイが反応する。


「面白いの。見てみたい」


 ああああも異論はないのかアイの言葉にうなずく。


「じゃあついておいで。言うより見たほうが早いからね」


 そうしてカウンターの奥に連れて行かれた二人が見たものは魔物がいる広場らしき場所だった。そこには多種多様の魔物がいる。ここにいるということは知性があるのだから驚きだ。だが面白そうな奴は発見できない。


「ここにはいないか。やっぱりあっちだろうな」

「あっちって?」

「鍛錬室だ」


 案内してくれている人のつぶやきにアイが疑問をぶつける。そうして返答と同時に広場の隅の扉をくぐる。ああああとアイもそれに続く。


「あれがおもしろいの? きもい」

「まあ、壁にはいいんでしょうか?」


 そこにいたのはスライムだ。ただ一つおかしなのは人の体をかたどっておりその姿がスキンヘッドのおっさんで筋肉隆々なところだ。


「あいつはな筋肉スライムっていってな。魔石の吸収よりも鍛錬が多いと進化するらしいんだ。液体筋肉でできていてその体は粘り強くてものすごい力をもっているぞ」


 案内人の言葉に黙るああああとアイ。

 そして少しの静寂のあとああああが口を開く。

 

「あいつを雇おう。いくらだ」


 その言葉にアイが鬼のような形相をする。だが魔物という条件はクリアしていて壁にもなる。お互いの条件が一致しているのは事実なのだ。

 

「雇用条件はあいつと決めてくれ」


 案内人の言葉にうなずくああああ。


「お兄ちゃん正気?」


 正気を疑われたああああは筋肉スライムに近づいていく。

 こいつはしゃべれるんだよな? と疑問に思いながらもどうか無茶な注文が来ませんようにと祈る。


「君を雇いたいんですが。雇用条件を決めたいのです。望みはなんですか」


 その言葉にスクワットをしていた筋肉スライムはサムズアップを繰り出す。

 意味が分からない。だがああああはどうにかコミュニケーションをはかる。


「それは雇われていいということですか? でしたら給料はどうしたらいいのでしょう?」


 その言葉に筋肉スライムは腕を左右に振る。

 いらないということなのだろうか。本当に意味が分からない。

 頭痛がしてきたああああはやっぱり違うのにしようかと考え始めた。


「雇われてもいいぞい。ただし、鍛錬の時間と肉をよこせばな」


 その考えを打ち破ったのは目の前の筋肉スライムだった。


「しゃべれるのなら最初からしゃべってほしかったです」

「知性があるからこの場所におるんだ。意思疎通の手段はもっとるよ」


 すこしおっさん臭い受け答えをする。しかも声もおっさんのように低い渋い声だ。

 

「量はどれくらいでしょう」


 一応意思疎通ができるのでああああはそう尋ねる。


「うむ。この筋肉が衰えないぐらいだな。十日に一回牛を一匹くらいが妥当だな」

「わかりました」


 牛はだいたい6000Gだ。最初の一回は払える。そう考えたああああは筋肉スライムと契約を結ぶ。


「決まったようですね。あとは魔物に名前を付けて完了です」


 案内の人のその言葉に今まで黙っていたアイが口を開く。


「わたしピエールって名前がいいな。かわいいでしょ」


 それにああああが反論する。


「キングスだろう強そうじゃないか」


 こうして兄妹の口論は激しくなっていく。

 名前を付けられる筋肉スライムはその横で腕立て伏せをしている。

 アイが徐々にああああの足を踏んだりと攻撃に出たところで見かねた筋肉スライムが口をはさむ。


「儂はスラリンがいいんだが」


 その言葉にアイは目を丸くする。


「それはいいわね。ならスラでけっていよ」

「リンはどこ行った」


 アイの一声で筋肉スライムの名前はスラに決定したのだった。

 

「うまくまとまったようですね。では職業斡旋料100Gお願いします」

 

 カウンターに戻ったああああは100Gを払いスラという仲間を増やして酒場を出ていくのだった。


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