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楠葵先輩は頼られたい  作者: 黒姫 百合


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18/38

……別に迷惑ではないです

 その後朝食を食べ終えた優たちは食器を片付け、今日学校に持っていく昼食のことを忘れていたことを思い出し、急いでお弁当を作る。


「それじゃー今日も学校に行くわよ」

「はい」

「戸締りは大丈夫ね。何回も確認したもの」

「そうですね。戸締りは大丈夫だと思います」


 二人で何度も戸締りを確認してから、部屋の外へと出る。

 優は心配性なので、部屋を出る前何度も戸締りを確認してしまう。


 葵と一緒に部屋を出て学校へ向かう。


 カップルを通り超してもはや夫婦ではないだろうか。


 そう思っているのはやはり優だけで、葵は優と一緒に部屋を出てもいつも通りの顔をしている。


「おはよう中村さ……ん……と楠先輩っ」

「おはよう倉木さん」


 部屋を出るとお隣さんの実乃里を鉢合わせをする。

 実乃里は優にあいさつをしている途中で一緒に出てきた葵に気づき、驚きの声を上げる。


「おはよう実乃里ちゃん。それに瞳も」

「おはよう葵……ってなんで葵が中村さんの部屋から出て来てるのっ」

「だって一晩中中村さんのお世話をしていたからよ。中村さん、右手の人差し指突き指して介助が必要だったから」


 瞳も実乃里の部屋にお泊りしていたらしく、優の部屋から葵が出てきたことに心底驚いている。


 葵はなぜ瞳が驚いているのか分かっておらず、優の部屋に泊まっていた理由を話す。


「いや、そういう問題ではなくてだな。葵と中村さんは異性だろ。どうして異性の部屋に泊まってるんだ」

「瞳だって実乃里ちゃんと一緒に泊まってるじゃない」

「それはあたしと実乃里が恋人同士だからであって、葵と中村さんは先輩後輩の関係だろ。おかしいだろ」

「別に瞳と違って中村さんに変なことはしてないから問題ないわよ。それに私も中村さんもそんなことしないし」

「いや、だからそういうことじゃなくて、そもそも一つ屋根の下で男子と女子が寝るのが問題なわけでな……」


 瞳の言うとおり、倫理的に恋人でない男女が一つ屋根の下で寝るのはおかしい。


 だが葵はあまり納得していないのか、瞳と実乃里のことに言及する。


 瞳と実乃里はあくまでも恋人同士なので一緒にお泊りしても問題ない。


 いや、未成年だから全く問題がないわけではないが、優たちよりかは健全である。


 優も葵もみんなが想像するようなエッチなことは絶対にしないがそういう問題ではない。


 瞳も頭を抱えていた。


「中村さん、中村さん」

「ん、どうしたの倉木さん」

「本当に楠先輩となにもなかったの」


 小声で呼ばれた優は実乃里に顔を近づける。


 実乃里も男の娘だ。


 男女で一晩泊まったらいろいろと気になるのだろう。


「……なにもなかったよ」

「えっ、なにその反応。少し怪しいんだけど」

「ほ、本当になにもなかったよ。ですよね楠先輩」

「中村さんの言うとおりよ。私と中村さんは昨日お泊りをしただけよ」


 優は突然昨日の夜、布団の中で葵に抱きしめられたことを思い出し、言い淀む。

 それを敏感に感じ取った実乃里は優に言及をし、優は葵に助け舟を求めた。


「……でも恋人でもない男女が一緒にお泊りは変な勘ぐりをされるから気を付けろよ」

「分かったわ。中村さんの怪我が治ったらお泊りも終わりにするわ」

「だーかーらー、そういうことじゃなくて今すぐ止めろ。中村さんにも迷惑だろ」

「そんなことないわ。中村さんは迷惑じゃなかったよね」


 葵が否定をしてくれたことによって、これ以上実乃里に言及をされることはなかった。


 だが瞳と葵の言い争いはまだ終わっていない。

 迷惑か、迷惑ではないか。


 急に先輩たちに話を振られた優は思考を巡らせる。


 これは難題だ。


 どっちを選んだとしても必ず角が立つ。


 迷いに迷った結果、優は口を開く。


「……別に迷惑ではないです。むしろ、お泊り会みたいで楽しかったです。それに一晩泊まって楠先輩は変なことをする先輩ではないので安心です」

「ほらね、瞳。中村さんは迷惑じゃないと言ってくれたわ。それに私と中村さんが変なことするわけないじゃない」

「……まっ、中村さんが良いならあたしはもうなにも言わないが、もし葵がなにか変なことをしたらすぐにあたしに言うんだぞ。葵、力マジで凄いから」

「そんな力ずくで犯すようなことはしないわよー」


 優は葵につくことを決めた。

 瞳の方についたら葵が悲しむと思ったからだ。


 瞳ももうこれ以上なにを言っても無駄だと悟ったのか、優に葵がなにかしたら自分に報告するように伝える。


 葵が叫んでいるが一切無視である。


 瞳は葵の扱いに慣れている。


「大丈夫ですよ。楠先輩は人を傷つけるようなことはしませんから」

「さすが中村さんね。分かってるわ」


 優に庇われたことが嬉しかった葵は優の肩を抱き寄せる。

 硬い制服越しからも分かるぐらい、葵の胸の弾力が頭に当たっている。


 何度経験してもこの感覚は慣れる気がしない。


 その後、優たちは四人で学校へと向かった。

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