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楠葵先輩は頼られたい  作者: 黒姫 百合


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私が気にするので、少し待っていてください

「怪我しているしすぐに食べられるものでも買っていきましょうか」

「そうですね。怪我をしているのでそっちの方が楽ですね。レトルトとかお惣菜とか」


 お菓子作りだけではなく料理作りも好きな優だったが、さすがに怪我をしている今は、料理する気力はなかった。


 その後、優と葵は制服姿で最寄りのスーパーへと寄っていく。


 葵がカートを押しながらカートに乗せているかごの中にどんどんレトルト商品やお惣菜を入れていく。


 年上の女の子と一緒に夕飯の買い出ししているこの状況。

 傍から見ればカップル通り越して夫婦みたいではないか。


 優は変なことに気づいてしまい、余計に意識してしまう。


 葵はなにも意識していないのか真剣な表情で買うものを決めている。


「やっぱり、野菜も食べないとね」


 葵はそう言いながらカットサラダもかごの中に入れる。


「中村さんはなにか食べたいものとかない」

「……」

「大丈夫中村さん。もしかして痛みだした」


 優に声をかけても返事がなかった葵は優の怪我の心配をする。


「怪我は湿布を貼っているので痛くはないです」

「それは良かった~。それで食べたいものとかある」

「食べたいものですか……それなら唐揚げが食べたいです。好きなので」

「了解。唐揚げも買いましょう。私も好きなんだよね~唐揚げ~」


 突き指した瞬間は痛かったものの、すぐに流水で冷やし湿布を貼ったおかげでこれ以上悪化することはなかった。


 食べたいものを聞かれた優は素直に答える。

 葵も唐揚げが好きらしく、声が弾んでいる。


 優は葵も唐揚げが好きということが知れて、少しだけ親近感を抱いた。


 その後唐揚げもかごの中に入れ、お会計をする。


「カードでお願いします」

「カ、カード」

「うん。お父さんからお誕生日にもらったんだ~」


 カード支払いする葵に、優は心底驚いた。


 葵はまだ高校生だ。


 そもそもお誕生日にクレジットカードをプレゼントされることの方が少数だろう。


 もしかしたら葵の実家はお金持ちなのかもしれない。


 その後、袋に買ったものをしまいスーパーを出る。


 もちろん、荷物は全部葵が持っている。


「一つぐらい持ちます」

「大丈夫よ。私、力持ちだから」


 優が一袋ぐらい持とうと提案するものの、葵にやんわりと断られる。

 自分と優のカバンを持ち、さらにスーパーで買った商品を持っているのにも関わらず、体が全然ふらついていない。


 体幹が凄い。


「あとレシート見せてください。半分出しますから」

「そんなのいらないわ。私、お金には全然困っていないもの」

「お金に困っている、困っていないという問題ではありません。お金はキッチリしてないと遺恨を残しますから」


 葵はお金に困っていないから優からお金を受け取ることを拒否しているが、そういう問題ではない。


 例え、どんなに親友でもお金の貸し借りで険悪になったり疎遠になることだってある。


 押しに弱い優も、これだけは譲れなかった。


「う~ん……ならこれからも私のためにお菓子を作って来てほしいな。私中村さんが作るお菓子が好きだから」

「……そんなことで良いんですか」

「うんうん。それだけで私は大満足よ。だって中村さんが作るお菓子、大好きだから」


 葵は本当にお金はいらないらしく、優に違う条件を出してきた。


 あまりにも簡単な要求に、優の方が面を食らう。


 これからも葵にお菓子を作ってあげるなんて、息をするぐらい簡単なことだ。


 ……これからも?


 優は葵のセリフに引っかかりを覚える。


 『これからも』がどこまで差すのかは分からない。


 でもこれがもし、学校を卒業した先もさしているんだとしたら……。


 間接的に告白をしていることになるのではないだろう。


「怪我が治ったら中村さんになにを作ってもらおうかしら」


 いや、それはなかった。


 もし、間接的だとしても告白をしたらこんなに能天気に次作って来てもらうお菓子のことなんて考えていないだろう。


 優の取り越し苦労だったようだ。




 その後、優の部屋に着き、一旦優だけ中に入る。


「散らかってるので少し片づけてきますね」

「私は全然気にしないわよ」

「私が気にするので、少し待っていてください」

「……はい」


 まさか今日誰かを呼ぶことを想定してなかった優の部屋はかなり散らかっている。

葵は散らかっていても気にしないというが、優が気にするのだ。

 特に洗濯物を干しているため、このまま葵を入れてしまうと葵に下着を見られてしまう。


 それはさすがに恥ずかしい。


 デリカシーのない葵にきつめに言うと葵も自分がデリカシーのないことを言ったことを自覚したのか、反省する。


 その後、優は見られたくないものは急いで衣装ケースにしまい、軽く片づけをした。


「もう大丈夫ですので入ってください」

「お邪魔しまーす」


 葵は遠慮がちに優の部屋に入る。

 学生寮は八畳のワンルームである。


 部屋に入って右側にトイレとバスルームがある。


 もちろん、別々である。


 部屋には衣装ケースと、布団と、食事する用のミニテーブル、漫画やラノベが入った本棚がある。


「たくさん漫画やライトノベルがあるのね」


 本棚の中を見ながら葵が話す。


「好きですから」

「良いわね、コレクション」


 葵は優の趣味を否定しない。


 それも葵と一緒にいて居心地の良い理由の一つだった。


 その後、買ってきたお惣菜を冷蔵庫にいれ、レトルト食品を棚に入れる。

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