05 私、同行。押し、困惑
さて、おいかけっこはじまるよー。
レッドジャスティスさんとかいう、特別な組織がいるんで、そいつらとかけっこしなくちゃなんですよね。
ゲームでも、手に汗握る緊張感だったなー。
「犯罪者が逃げたぞ!」
「追いかけろ!」
うっひゃああああ、きたきた!
というわけで、私たちは馬車を奪って、逃走中。
哀れ、巻き込まれた牛さんに頑張ってもらいながら、ぜっさんおいかけっこイベント!
「あっ、ウォルド様、次右ですー。そしてその後左。さらに右、と見せかけてそっちは実は工事中なので、左が正解ですよ!」
「助かるが、なんでそんな詳しいんだ。あんた地元の人間じゃないんだろ!」
「いったじゃないですか。異世界の乙女だってー」
「へいへい」
ウォルド様に道案内してさしげるのに、忙しい!
だけど、信じてもらえないのは悲しい!
ま、それで地の底につくような好感度の高さじゃないので、ゼンゼン大丈夫ですけどもっ!
なんて、やりとりしてたら、途中藁が詰んである牧場ゾーンに突入。
敷地内を爆走!
ウォルド様が、私を藁の中に突き落とそうとするけど、お見通しですからね!
あ、ひょいっと。
はい、避けた!
「おい、お前いつまで俺についてくるんだ?」
押しが顔をしかめながら話しかけてくる。
なんで俺の行動が分かったんだって顔。
そんな様子も絵になってる。
マジイケメン。
いつまでついて行くって、さあいつまでかな?
押しキャラから愛してると言われるその日まで。
好感度をあげて将来を誓い合うまでに決まってるじゃないですか。
赤い屋根の大きなお家で~、子供は最低でも三人は欲しいっすね~っ。
「うふ、んふふふ、ぐふふふふっ!!」
うへへへへ。
「おーい、女がしちゃいけない顔になってるぞ」
「はっ、いけないいけない。わたしとした事がっ」
押しの前で、見苦しい真似をするなんて。
「今すました顔したって、もう手遅れな気もするけどな」
押しは呆れた顔をしながらも、「ともかく」と続ける。
「何が目的か知らねーが。ついてくるんなら、俺の足手まといになるなよ。こっちはお嬢ちゃんの世話してるほど暇じゃないんでね」
はーい。
目的なんてないんですけども、今はまだ信頼値ゼロなので、信じてもらえないよね。
この何だかよく分からん、かつよく知った世界にせっかく来たんなら、後悔ないように生きないとだめじゃないですか。
新しい世界、新天地、むしろここはザ・エデンなんだから!
第一目標は、とりあえず押しについていって、告白されるまで生きのびようと思います。