第四章:猟犬と異端者 p3
渓谷は静まり返り、短くも残忍な戦闘の反響は、風のため息に飲み込まれていった。聞こえるのは、コーヴァン卿の苦痛に満ちた荒い呼吸と、彼の瀕死の馬が立てる最後の湿った喘ぎだけだった。ライリスは、自らが殺した衛兵の亡骸の上に凍りついて立ち尽くし、手の中の剣が信じられないほど重く感じられた。それは彼女を、新しく、より暗い自己のバージョンへと引きずり下ろす、鉛のような重りだった。心の中の壁は持ちこたえていたが、その向こう側にある恐怖の圧力を感じていた。それは、彼女が慎重に築き上げた土台をひび割れさせようと脅かす、深く、地を揺るがすような震動だった。
いつものように現実主義者であるグレイルは、勝利に浸ることはなかった。彼女はコーヴァンの落ちた剣を蹴り飛ばした。その聖別された光は今や完全に消え、彼女自身の刃の先端を彼の喉に押し当てた。「見事な戦士だ」彼女は、低い、危険な喉声でつぶやいた。「型と信仰だけでできている。だが、お前は本当の戦いの最も重要なルールを忘れていたな、小僧。ルールなどないということを」
コーヴァン卿は彼女を凝視した。その顔は、痛みと憤怒、そして深く、打ち砕くような混乱が入り混じった青白い仮面だった。彼の全世界、彼の全アイデンティティは、ルール、名誉、そして明確で正義に満ちた道という枠組みの上に築かれていた。彼は教団の衛兵だった。彼は怪物を討伐した。彼は無辜の民を守った。しかし、彼の目の前の光景は、その現実に対する冒涜的な反証だった。彼の相棒は、「無辜の」犠牲者によって殺害された。完璧な騎士である彼は、魔女の策略によって打ち負かされた。境界線はもはや明確ではなかった。世界はもはや、黒と白ではなかった。
彼の視線は、グレイルからライリスへと移った。彼は初めて、彼女を、真に、彼女を見ていた。彼は、取り憑かれた、泣きじゃくる獲物を見てはいなかった。彼が見たのは、彼自身の恐怖を映し出すかのように、恐怖に目を見開き、青ざめて震える一人の少女だった。彼女は殺戮に歓喜する怪物ではなかった。それによって動揺している人間だった。その矛盾は、彼の単純で、まっすぐな信仰にとって毒だった。
「彼をどうするの?」ライリスはついに、か細く、張り詰めた声で尋ねた。彼女はなんとか、死んだ衛兵から刃を引き抜いた。その音は、気分の悪くなるような、湿った摩擦音だった。彼女は、その男の顔を見ることができなかった。
「殺す」グレイルは、まるで天気の話でもするかのように、単刀直入に言った。「奴は目撃者だ。ほつれた糸だ。我々は、ほつれた糸を残しておくような商売はしていない」
その冷たく、残忍な論理は否定できなかった。無力化された脅威は、排除された脅威とは違う。
しかし、彼女自身の人間性の残骸に未だにしがみついている彼女の一部が、抗議の悲鳴を上げた。彼女はたった今、必要に迫られて一人の男を殺した。もう一人、武装を解除された無力な捕虜を殺すことは、全く別の行為のように感じられた。それは生存ではなかった。殺人だった。
「いやよ」ライリスは言った。その言葉は、反抗の味がした。
グレイルは首を巡らせ、面白そうに眉を上げた。「いや、だと? それで、慈悲の聖女様、お前の輝かしく、慈悲深い計画とやらは何だ? 奴を解放するか? 奴が我々の顔を、お前が奴の相棒の首に一フィートの鋼を突き通したという事実を、都合よく忘れて、カブ農家になるためにどこかへ去っていくとでも信じるのか?」
「彼を縛り上げる」ライリスは、殺戮以外の代替案、どんな代替案でもいいからと、必死に頭を働かせて反論した。「ここに置いていくの。彼が自由になる頃には、私たちはとっくにいなくなっているわ」
グレイルは、短く、厳しい笑い声を上げた。「甘いな。奴は浄罪の衛兵だ。生き残り、追跡する訓練を受けている。一時間もすれば自由になり、二時間もすれば我々の跡を追ってくるだろう。奴の生存は、我々のいずれ来る死を保証する。それが、この状況の冷たく、厳しい計算だ。感傷の入る余地はない」
彼女はコーヴァンの喉に刃をさらに強く押し付け、細い血の線が滲み出た。「これが今日の最後の授業だ、ライリス。時として、最も慈悲深い行為とは、最も迅速な行為のことだ。自らの生存を確実にする行為であり、それによって、一人の男の命よりも偉大な大義のために戦い、生き延びることができるのだ」
コーヴァンは目を閉じ、顎の筋肉が引き締まった。彼は最期を覚悟していた。最後の息まで、騎士として。
ライリスは彼の顔、その確信の線と、新たに刻まれた恐ろしい疑念の亀裂を見た。彼女は自分自身の手についた血を見た。木彫りの鳥を、灰と化していく素朴な生活を思った。彼女はその理想を守るために殺した。しかし、もしこれを許し、無力な捕虜の処刑を是認する人間になってしまったら、彼女は一体何のために戦っているのだろう? 彼女は、邪魔する者を誰であろうと粛清する、教団と何ら変わらなくなってしまう。
「もし私たちが彼をこんな風に殺したら」ライリスの声は、怒りからではなく、確信から生まれた、新しく、揺るぎない力を得ていた。「その時点で、奴らの勝ちよ。奴らは、私たちがそうだと言い張る怪物に、私たちを仕立て上げることに成功したことになる」
彼女は一歩前に出て、自らの刃を低く構え、グレイルの隣に立った。彼女は魔女に戦いを挑んでいるのではなかった。一線を画していたのだ。「私は夜明けを選んだのよ、グレイル。闇の生き物になるためじゃない。私たちは彼を殺さない」
グレイルは彼女を見つめた。その黒い瞳は読み取れなかった。彼女は、ライリスの顔にある揺るぎない決意を見た。彼女が、彼らのためだけでなく、自分自身のために、砂の上に引いた線を見た。彼女は、自分自身の怪物性の条件を定義していたのだ。
そしてグレイル、とうの昔にそのような線を全て捨て去った〈灰の魔女〉は、一世紀もの間感じたことのなかった、ある感情の閃きを感じた。彼女自身の、とうの昔に死んだ理想主義の亡霊を。
低い舌打ちと共に、彼女はコーヴァンの喉から刃を引き離した。「わかった」彼女は、敗北のように感じられる譲歩の言葉を、うなるように言った。「好きにしろ、聖女様。だが、奴が十数人の同胞を引き連れて我々の頭上に襲いかかってきた時、この瞬間を思い出すがいい。お前の貴重な慈悲の代価をな」
彼女は二人に背を向け、物資を漁るという厳しい、実用的な作業を始めるために、死んだ衛兵の方へと大股で歩いていった。議論は終わった。
ライリスは、自分が止めていることに気づかなかった息を吐き出した。彼女はやり遂げたのだ。彼を救った。しかし、そうすることで、彼女は彼らの運命を縛り付けた。彼の命に対する責任を負ったのだ。
彼女は、呆然とし、血を流すコーヴァン卿に、自らの刃をまだ手に持ったまま近づいた。彼女が近づくと、彼は警戒の目で身をすくませた。
「あなたの友人のこと」ライリスは、低く、痛々しい囁き声で言った。「ごめんな…さい」その言葉は不適切で、馬鹿げていたが、彼女が持っている唯一の言葉だった。
コーヴァンはただ、混乱の嵐のような表情で彼女を見つめていた。この少女、この殺し屋、悪魔と共に戦うこの生き物が、謝罪している。その矛盾は、彼の単純で、秩序立った信仰が内包するには、あまりにも大きくなりすぎていた。
ライリスは、ますますぼろぼろになっていく自分のシャツから布切れを引き裂いた。彼女は跪き、不器用で、ぎこちなく、彼の手の傷の手当てを始めた。その動きは、先ほどのグレイルの効率性とは正反対だった。
「なぜだ?」コーヴァンはついに、しゃがれたかすれ声で尋ねることができた。「なぜ、私を助けた?」
ライリスは、彼の血を流す手から顔を上げ、その目は彼の目と合った。その瞬間、彼女は異端者でも聖女でもなかった。彼女はただ、故郷から信じられないほど遠く離れた、別の世界から来た少女であり、自分自身の最後の、ぼろぼろになった破片に必死にしがみつこうとしていた。
「もし彼女にあなたを殺させていたら」彼女は、深く、疲れた悲しみに満ちた声で言った。「私の中に救う価値のあるものが、もう何も残らなかったと思うから」
彼女の答えの正直さは、グレイルのどの攻撃よりも、破壊的な一撃だった。それは戦略的な動きではなかった。告白だった。そしてそれは、コーヴァン卿の全世界の土台における、最初の亀裂だった。彼は教団の衛兵であり、そして彼はたった今、自らが滅ぼすと誓ったまさにその異端者によって、その体も、その命も、救われたのだ。彼女の慈悲の代価は、彼女ではなく、自分が支払うことになるのだと、彼は悟り始めていた。そしてそれは、彼の魂を代償とするだろう。