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第四章:猟犬と異端者 p1

洞窟の相対的な安全性は、一時的な幻想であり、速度を落とすことを拒む物語における、束の間の休息に過ぎなかった。二日間、彼らは岩がちな小山に身を潜め、荒涼とした海の真ん中に浮かぶ、厳しい生存のための小さな孤島で過ごした。その時間は安らかなものではなかった。それは緊張に満ちた、用心深い待機と、過酷で、必要な回復の期間だった。


ライリスの足首は、グレイルの驚くほど知識に基づいた手当ての下、治癒し始めていた。〈灰の魔女〉は、関節を固定するためのきつく巻かれた包帯と、ひどい腫れを引かせるための、潰された悪臭を放つ苔から作られた湿布を組み合わせて用いた。痛みは依然として絶え間なかったが、燃え盛る炎から、鈍く、管理可能な痛みへと和らいだ。彼女は、自らの体をようやく維持することを学んだ、脆い楽器であるかのように、新しく、慎重な注意を払って動くことを学んだ。


しかし、彼女の真の回復は、内面的なものだった。彼女はグレイルに教わった精神的な訓練、壁を築くことを実践した。彼女は〈枯れた者〉との遭遇の、生々しく、トラウマ的な記憶を取り出し、それらを細心に記録保管した。それは、精神的な簿記作業の中でも、厳しく、血なまぐさいものだった。彼女はカチカチという音、腐敗の悪臭、彼女の刃がアンブラル・コアを打つ気分の悪い感触を分類した。彼女はそれら全てを、「生存、その代価」という見出しの下に整理した。それが彼女が機能し続ける唯一の方法であり、その恐怖が彼女の図書館で唯一の物語になるのを防ぐ唯一の方法だった。


グレイルは、鷹のような鋭さで彼女を観察していた。〈灰の魔女〉はもはや、ただの戦闘における師ではなかった。魂という血まみれの風景への、厳しく、現実的な案内人となっていた。彼女は刃ではなく、鋭く、切り込むような質問でライリスを追い詰めた。


「風が金切り声のように聞こえると、お前はびくつく」ある午後、彼らが冷たい石に身を寄せ合って座っていると、彼女は指摘した。「お前は追体験している。それは贅沢だ。記憶は道具だ。データだ。そこから何を学んだ?」


「奴らが予測可能だということ」ライリスは、グレイルの臨床的な冷静さを無理やり自分に課しながら、静かな声で答えた。「奴らの飢えは、他の全ての本能を上回る。それを利用して、罠に誘い込むことができる」


「いいだろう」グレイルはうなった。「他には?」


「私自身の恐怖が、触媒になり得るということ」ライリスは、それを口にすることで、その気づきが確かなものになりながら続けた。「死ぬと思った時、その時が一番、頭が冴えていた。最も集中していた」


「素晴らしい」グレイルは言い、その黒い瞳に珍しく是認の光がまたたいた。「恐怖は火だ。大抵の者はそれに呑まれる。戦士はそれを使って、より鋭い刃を鍛え上げることを学ぶ。お前は学んでいる。ゆっくりとだがな」


彼らの奇妙で、過酷な師弟関係は、三日目の朝に中断された。見張りを務めていたフェンデルが、新たな、より馴染み深い恐怖に顔を青ざめさせながら、洞窟へと駆け込んできた。


「騎馬が」彼は喘いだ。「二騎です。古い東の道に。白い鎧を着ています」


浄罪の衛兵(スカージ・ウォーデン)


グレイルは即座に立ち上がった。静かで、死をもたらす捕食者だった。彼女とライリスは小山の縁まで這っていき、棘だらけの茂みの間から、眼下の風景を覗き込んだ。


フェンデルが言った通り、二騎の騎馬が、一マイルほど離れた、かろうじて見える土の道を一定のペースで進んでいた。この距離からでも、その骨のように白い鎧は見間違いようがなく、灰色と茶色の風景への、際立って傲慢な侵入者だった。彼らは巡回部隊ではなかった。狩猟隊であり、その動きは慎重で、頭は絶えず地形を詮索していた。


「我々を追っているな」グレイルは、低い唸り声で断言した。「あの農夫の小僧、ローカン。奴は話さなかっただろうが、奴の足跡か、あばら家からの我々の足跡で十分だった。奴らは優秀だ」


「どうするの?」ライリスは、心臓がゆっくりと、重い鼓動を始めるのを感じながら尋ねた。


グレイルの目が細められた。自らの勝算を計算する狼の目だった。「奴らは我々を見ていない。風はこちらに有利だ。西へ、より深い辺境へと姿をくらますこともできるだろう。あるいは…」危険な、捕食者の光が彼女の目に宿った。「…ここでこれを終わらせることもできる。奴らは二人。我々も二人。フェンデルと彼の妻は陽動に使える。不可能な確率ではない」


ライリスの心の中の何かが、即座にその論理を理解した。逃げることは、自分たちの存在を認め、追跡を長期戦に変えることだ。戦い、狩人を排除することは、彼らの痕跡を消し、貴重な時間を稼ぐことだ。


しかし、記録官、フェンデルとエララの怯えた顔を覚えている彼女の一部は、彼らを囮に使うという考えに反発した。


ライリスが抗議の声を上げる前に、選択肢は彼らから奪われた。騎馬の一人が馬を止め、手を上げた。彼は、彼らの小山ではなく、遠くにある何かを指さした。もう一人の騎馬も、彼の視線を追った。彼らは何かを見つけたのだ。


グレイルとライリスも視線を移した。彼らが来た方向、数マイル東で、細く黒い煙の筋が、青白い朝の空へと立ち上っていた。


「あばら家が」ライリスは、吐き気を催すような恐怖が腹の中でとぐろを巻くのを感じながら、息を飲んだ。


「違う」グレイルの声は厳しかった。「あれは、ただの暖炉の火にしては煙が多すぎる。処刑の薪だ。奴らは、農夫の足跡が空き家へと続いているのを見つけた。おそらく、どこかの溝で意味不明なことをわめいているローカンを見つけたのだろう。そして、奴らは審判を下したのだ」


彼らはただ、自分たちを狩っているのではなかった。自分たちの通った跡の土地を浄化しているのだ。感染を殺菌している。異端者と接触した可能性のある者、彼らに避難所を提供した可能性のある者は、誰であろうと粛清されている。その煙は、メッセージだった。教団の絶対的で、無慈悲な権威の宣言だった。


ライリスは、今まで知らなかったような、冷たく、純粋な憤怒の波を感じた。彼女は、自分が守ろうとした素朴な生活の象徴である、あの小さな木彫りの鳥を思い浮かべ、それが教団の傲慢な敬虔さの炎に飲み込まれるのを想像した。


「奴らはただの狩人じゃない」彼女の声は、静かで、危険な怒りに震えていた。「屠殺人よ」


下の二人の衛兵も、同じ結論に達したようだった。彼らは馬に拍車をかけ、道から外れて開けた低木地帯を横切り始め、その進路は今や、彼らが隠れている岩がちな小山をまっすぐに目指していた。


奴らは彼らを見てはいなかった。しかし、とにかくこちらに向かってきていた。奴らの論理は単純だ。異端者は煙を見るだろう、そしてこの一帯で最も論理的な観測地点は、この岩の露頭だ。


「逃げる時間はない」グレイルの声は、低く、切迫した命令だった。「準備しろ、ライリス。授業は終わりだ。これは試験だ」


彼女はライリスを見た。その黒い瞳が探るように。「〈枯れた者〉を相手にした時に感じた恐怖。それがお前にもたらした集中力。それを見つけろ。今お前が感じている怒り。それを使え。それでお前の刃を揺るぎないものにしろ。私のやり方でやる。速く。無慈悲に。躊躇うな」


グレイルは、迅速で、 deadly な精度で計画を立てた。彼らが小山を登るのに使った渓谷が、馬にとって唯一の実行可能な道だった。そこは自然の隘路。完璧な殺し場だった。


彼らは頂上から急いで下り、その動きは今や、必死の、アドレナリンに煽られた目的に突き動かされていた。フェンデルとエララは、恐怖に青ざめた顔で、高い岩棚に隠された。彼らの役割は、ただ沈黙を守ることだった。


ライリスとグレイルは、巨大な丸い岩の塊に隠れ、渓谷の両側に陣取った。ライリスの心臓は、恐怖と怒りの乱暴な鼓動で、肋骨を叩いていた。足首は、鈍く、遠い痛みとなっていた。世界は、この一つの岩だらけの回廊と、前進してくる二つの白い鎧の死の点へと狭まっていた。


今や、彼らの馬の音、鎧の触れ合う音、石の上で蹄が立てる音が聞こえた。彼らは近かった。


これは、理性のない怪物との戦いではない。訓練され、知的で、そして完全に献身的な殺し屋との戦いだ。自分たちが神の正義の手であると信じている男たちとの。


ライリスは剣の柄を、指の関節が白くなるほど握りしめた。彼女は煙のことを、木彫りの鳥のことを、灰と化した素朴な生活のことを思った。恐怖は彼女の中で燃え盛る炎だった。怒りは、その中で鍛えられる鋼だった。


彼女の準備はできていた。

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