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一誠に説得されて、どうにか肩の荷を下ろしたのか、凪は床に胡坐をかいて、ぼんやりと天井を見上げてた。


「ふぅ……ありがと、一誠。私、ちょっと安心した」


「当然だろ。で、さ」


一誠は腕を組んで、じっと凪の顔を見つめる。


「姿とか、見た目は変わってねぇみたいだけど……他に、何か変わったとこあんのか?」


凪は首を傾げて、少し考え込む。


「うん……姿形は、私も変わってないよ」


見慣れた整った顔立ち。短めの黒髪。スーツ姿のままだった頃と変わらず、今もラフな格好に身を包んでるけど、外見は相変わらず。


ただ、ふわりと浮かべる笑みや、間延びした声のトーンだけが明らかに違った。


「変わったのは、そうだな……魔法の速度と、練度。それと、脳内領域」


「脳内領域?」


「うん」


凪は指を立てて、ゆっくりと説明し始める。


「まず、魔法……前より、撃つ速度が、かなり上がった。精度も良くなったから、戦闘中のミス、減ると思う」


「はー、そりゃ便利だな」


「うん。……脳内領域は、約二倍になった」


「二倍って、そんな簡単に広がるもんなのかよ」


「普通は、無理だよ。たぶん、統合した“あれ”が持ってた情報処理機能とか、思考領域をそのまま私にくっつけたんだと思う」


さらりと恐ろしいことを言う凪。

だが、その顔に焦りや不安はなく、むしろ穏やかだ。


「今まで、一つのこと考えたら他が疎かになったりしたけど……今は、二つ、三つ、同時に考えてても余裕ある」


「マジかよ」


「うん……たぶん、これ、軍でも便利だったんだけどね」


凪は小さく笑った。


「でも、もう軍に居座る理由、ないし」


「……お前な」


一誠は溜め息混じりに頭をかく。


「結局、便利になった分、リスクもあるってことか?」


「そうだね。何が私の中に入り込んだのか、まだ全部は把握してないし……でも」


そこで、凪の目が細められる。

ふわりとした表情のまま、妙に鋭さを含んだその視線。


「それを言い訳に、何もしないわけにも、いかないでしょ」


「……お前らしいな」


一誠は苦笑して、肩をすくめた。


「まあ、分かったよ。じゃあさ、その二倍になった脳内領域とやらで、今後どうすんのか、考えてくれよ」


「ん、考えとく」


再び、凪はふわりと微笑んだ。


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