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召喚獣戦士 ヴィオ  作者: 朧月 氷雨


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第40話 ウェアウルフとの死闘

「しっかりと運びな」

 モグリーナに叱咤しったされながら、数人の男の人たちはぐったりとして動かなくなった元冒険者を手分けして抱えて運んでいた。

 野次馬として集まってきた男の人たちを捕まえて、モグリーナはギルドまで遺体を運ばせたのだった。

 孤児院の近くからこの冒険者ギルドまでは、そこそこの距離はあった。

 男の人たちは口々に小声で文句を言いながらも、運ぶことに協力してくれた。

 まあ、強制的に運ばせられたともいうけれど……。

 ギルドの戸を開けて中に運び込むと、ギルド職員の人たちは何事といった様子で集まって来た。

「こいつらのことわかるかい?魔物に襲われた」

 モグリーナが端的に伝えた。

「この人たち……まさか、人狼ウェアウルフに?」

 冒険者ギルドに運び込んだ三人の遺体。

 床の上に寝かされた遺体を前にひざまずき、各々の顔を覗き込んで確認を行うギルドマスター補佐のエリエリス。

 彼女の顔は悲しみにくれ、瞳からは涙が溢れていた。

「うん、そうだよ」

 僕が答える。

「あの、ロロドって爺のせいで取り逃がしちまったけれどね」

 口惜しそうに、モグリーナが歯ぎしりしていた。

「ロロド導師が?何があったんですか?」

 人狼ウェアウルフと戦っている最中に現れたローブの男……ロロド導師が邪魔をしたせいで取り逃がしてしまったことをモグリーナが話していた。

「えっ?人狼ウェアウルフとは、メルティナさんが戦ったんじゃないんですか?」

 不審げな視線をモグリーナに向けながらエリエリスが言った。

 あっ?やばいかも。

 ごまかさないと。

「メルティナが出るまでもなかったから、モグリーナが戦ったんだよ」

 苦し紛れの言い訳。

「んっ?あなたは、冒険者ですか?」

 エリエリスは、モグリーナに向かって尋ねていた。

「いいや。あたいは戦闘狂だよ」

 胸を張ってそんなことを口走っているモグリーナの姿をエリエリスは、どのように見たのだろうか?

 しばらく、モグリーナを見つめていたエリエリスは、「え~と……ああ、はい……そうですか……」と答えていた。

 モグリーナの珍妙な答えに思考が追い付かず、考えるのを放棄したようだ。

 自分で、自分のことを戦闘狂だとか言う人が、まともな人だとは誰も思わないだろう。

 エリエリスも、そう感じたに違いない。

 さらっと流して、それ以上は何も聞いてこなかった。

「ねえ、ギルドの権限で街の人を家の外に出さないようにするってことはできる?」

 突然の僕の提案に「はあ?」と間の抜けた声をエリエリスは上げていた。

「街の人間が邪魔で人狼ウェアウルフと戦えないんだよ。できれば、街の外にでも出ていてもらえれば、その間に見つけて駆除できるとは思うけどねぇ~」

「無茶言わないでください。いくら何でも、ギルドにそんな権限はありませんし、街の人たちがそれに従ってくれるとも思えません」

 それは、そうだよね。

 この街を牛耳るくらいの力を持っていないと、そんなことできはしないよね。

 さすがに街の人の監視の目がある中でモグリーナが人狼ウェアウルフを退治したのに、メルティナが見事に退治しましたって言っても嘘がバレバレで信用されない。

 何かいい方法がないかと思考を巡らせるけれど、何も思い浮かばない。

 メルティナに戦わせる方法もあるけれど、さすがに人狼ウェアウルフ相手では瞬殺されるのは目に見えている。

 本当に、どうしよう。

 考えあぐねていると。

「ぎゃあああああ」

 大きな悲鳴が張りあがった。

「何?今の声は?」

 僕は、きょろきょろと辺りを見渡した。

「外からだ。また人狼ウェアウルフかい?」

 モグリーナは、ハンマーを担ぎ上げると一目散にギルドの出入り口へと駆けて行った。

 その後を僕もメルティナも追いかける。

 少し遅れて、エリエリス達ギルド職員も走り出した。

 荒々しく戸を蹴り開けるモグリーナは、勢いをそのままに外へと飛び出した。

「なっ?何?」

 驚きの声が上がった。

「ええっ?どういうこと?」

人狼ウェアウルフが、たくさんいる?」

 メルティナも僕も困惑した。

 冒険者ギルド前の広場には、人狼ウェアウルフと戦う冒険者たちの姿があった。

 冒険者たちは、十人程度。

 人狼ウェアウルフは、その倍の二十匹はいた。

 すでに数人の冒険者が、そこここに倒れ伏している。

 人狼ウェアウルフの鋭い爪で身体を刺し貫かれたり、胸元などをズタズタに切り裂かれている。

 石畳の上に出来上がった真っ赤な水溜まりの上に横たわり、ビクビクと身体を痙攣させている冒険者の姿もあった。

「そんな……なぜ?人狼ウェアウルフがこんなにいるの?」

 エリエリスは、目の前の出来事に呆然となりながら呟いた。

 冒険者と戦っている人狼ウェアウルフの体型は様々だった。

 全身が薄紫色の毛皮で覆われているのはどの個体も同じだけれど、細身の個体がいたり、かなりでっぷりとした体形の個体もいた。

 身長差もまちまちで、小さいものは小柄な女性くらいの大きさかな。

 大きな奴でも大柄な体格の男の人くらいの大きさだった。

 でも、どの人狼ウェアウルフも左右の指先から三十センチほどの鋭い爪が延び生えているのは同じだ。

 十本もある長い爪は、見た目だけでも恐ろしさを感じる。

 いったい、どこにこんなにも隠れていたんだろうか。

人狼ウェアウルフって、一体だけじゃなかったのかい?」

「我々、ギルドは一匹だけと認識していました。まさか……こうも体格差がある人狼ウェアウルフが何匹もいるなんて……」

 エリエリス達ギルド側は、街中に現れる人狼ウェアウルフは同じ個体の一匹だけだと思っていたみたいだ。

 間近でこんなにも体格差がある人狼ウェアウルフを見て、驚き戸惑っている。

 一匹の人狼ウェアウルフがギルドの入り口付近にいた僕たちの存在に気が付いたみたいだ。

 広場の中央で戦っている冒険者には目もくれず、方向転換してこちらに迫って来た。

「ギルドの中に逃げ込め」

 モグリーナが叫ぶ。

 けれど、エリエリス達は目の当たりにした人狼ウェアウルフおぞましい姿に恐れ戦き、動けなかったみたいだ。

 長い舌をべろりと出して、「ウォ~ン」と獣の咆哮を張り上げる。

 戦いに慣れていない人たちを怯ませるには十分すぎる行為だ。

 迫りくる人狼ウェアウルフを迎え撃つモグリーナ。

 僕たちの前に立ち、ハンマーを構えた。

「おらああああ」

 鋭い爪を突き出してきた人狼ウェアウルフに対して真っ向からハンマーを振り回した。

 ハンマーが爪に接触すると、パキンと薄っぺらい音を立てて長い爪がへし折れた。

 驚き戸惑う人狼ウェアウルフに間髪入れず、回し蹴りを顔面にぶち込んだ。

 そのまま地面に突っ伏した人狼ウェアウルフの頭部に向かってハンマーを容赦なく叩きつける。

 グシャリと嫌な音を立てて、頭の中身がぶちまけられ、赤黒い体液が広場の石畳の上に広がった。

 それを見た瞬間、戦慄が走る。

「きゃあああああ」

 エリエリス達ギルド職員たちは、パニックに陥り、ギルドの建物内へと逃げ込んでいく。

 魔物の頭が潰されるような情景を普段から目の当たりにしていない人からしたら、グロいと感じるはずだ。

「扉を閉めな」

 モグリーナの一喝で、メルティナが慌てた様子でギルドの扉を閉めた。

 エリエリス達の悲鳴で、数匹の人狼ウェアウルフがこちらへと方向転換して襲い掛かってくる。

「メルティナ、斧槍ハルバードを振り回してヴィオを守りな」

「ええ?でも……私なんかじゃ……」

「振り回していればいい。あたいが全てぶちのめしてやる」

 モグリーナに言われ、メルティナは背負っていた斧槍ハルバードを手にして、僕の前に立つと滅茶苦茶に振り回し始める。

 こんなんで人狼ウェアウルフを倒せる訳がないのは、僕にもわかる。

 でも、不用意には近付いては来ないはずだ。

 メルティナは滅茶苦茶に振り回しているので、斧槍ハルバードは予想もできない軌道を描いている。

「おらぁぁぁぁぁぁ」

 襲い来る人狼ウェアウルフに向かって行くモグリーナ。

 ヒョロヒョロに細い体格の人狼ウェアウルフは、やや動きが遅かった。

 脚力が弱そうな感じにも見えた。

 一気に加速して近づいたモグリーナは、力いっぱいハンマーを叩きつけた。

 グシャリと顔面が陥没し、後頭部が背中にくっつくほどに首が折れた。

 身体が宙に浮き、半回転して陥没した顔面から石畳に突っ込んだ。

 たったの一撃で勝負は決まった。

 ビクビクと身体を痙攣させて、人狼ウェアウルフは動かなくなった。

 驚きの表情を見せる人狼ウェアウルフたち。

 モグリーナへと迫っていたけれど、そのうちの三匹が慌てて距離を取ろうとバックステップを踏んでいた。

「逃がさないよ」

 モグリーナは、そのうちの一匹の動きについて行く。

 ハンマーの有効範囲内だ。

 真横にハンマーを振り抜いた。

 躱すこともできず、人狼ウェアウルフのわき腹にハンマーが突き刺さる。

 ボキボキと子気味良い音を立てて、わき腹の骨が砕けていく。

 そのまま振り抜く。

 内臓を破壊し、腹部が千切れかかる。

 人狼ウェアウルフは、最後まで抵抗しようとしていた。

 モグリーナの脳天目掛けて爪を振り下ろす。

 それを予期していたのか、モグリーナは身体をひねってかわすと、遠心力を利用してハンマーに引っかかったままの人狼ウェアウルフを投げ飛ばした。

 手近にいた別の人狼ウェアウルフに激突し、互いの鋭利な爪がお互いの身体を傷つけ合っていた。

 胴体が半ば千切れかけた人狼ウェアウルフの爪は、ぶつかった人狼ウェアウルフの頭部……目や鼻などを刺し貫いていた。

 ぶつけられた人狼ウェアウルフの爪は、千切れかけた人狼ウェアウルフの太ももや脹脛ふくらはぎに突き刺さり、ぶつかった勢いで皮一枚でかろうじて繋がっていた胴体を引き千切っていた。

「こっちに来ないで」

 モグリーナから距離を取った一匹は、僕とメルティナの方へと駆け寄って来た。

 メルティナは必死になって斧槍ハルバードを振り回しているけれど、牽制にもなっていない。

 恐れる様子もなく、人狼ウェアウルフが迫る。

 鋭い爪をギラリと輝かせ、僕とメルティナの命を奪うことに楽し気な笑みを浮かべていた。

 その人狼ウェアウルフの身体が突然、吹き飛んだ。

 見れば、モグリーナが手にしていた白銀のハンマーを投げつけたようだった。

 右上半身身にクリーンヒットしたハンマーは、その重量もあって人狼ウェアウルフを石畳に叩きつけて上半身をペシャンコに圧し潰していた。

 見るも無残に押しつぶされ、下半身だけがビクンビクンと蠢いていた。

 うげっ……気持ち悪い。

「大丈夫かい?」

 モグリーナが駆け戻って来た。

 人狼ウェアウルフを押し潰した愛用のハンマーを回収している。

 白銀の美しいハンマーは、今や人狼ウェアウルフの返り血で赤黒く染まりつつある。

「ああっ!?冒険者の人たちが……」

 僕の視界に人狼ウェアウルフ三匹の爪で身体を串刺しにされた冒険者の姿が映った。

「くそう……」

 悔し気な呟きを漏らし、最後まで果敢に戦っていたであろう冒険者は倒れた。

 十数人の冒険者は石畳の上に倒れ伏し、誰一人として動かない。

 人狼ウェアウルフに、やられてしまったようだ。

 逆に人狼ウェアウルフたちは、モグリーナに倒されたものを除くと十数匹ほどいた。

 冒険者たちは、誰一人として人狼ウェアウルフを倒せなかったようだ。

 けれど、何もできなかったわけではなさそうだった。

 数匹の人狼ウェアウルフの薄紫色の体毛から赤黒い鮮血がドクドクと流れ出ている。

 手傷を負わせることはできたが、致命傷までは与えられなかったようだ。

「まだ、あんなにいるのかい?」

 辟易へきえきとした様子で吐き捨てるように呟くモグリーナの声に人狼ウェアウルフたちが反応し、こちらを睨みつけてきた。

「かかって来な」

 左の人差し指を突き付けて、こっちに来いとばかりにモグリーナは指を動かす。

 でっぷりとした体格の人狼ウェアウルフが石畳を踏み割りながら、モグリーナに向かって走り込んでくる。

 暴飲暴食をして肥え太った人みたいな体型の人狼ウェアウルフの動きは鈍重だった。

 モグリーナは、屈み込んで力を蓄え、一気に解き放つ。

 バネが伸びるかのようにはじけ、一気に距離を詰めた。

 腹部へとハンマーを突き上げる。

 深く減り込んだハンマーは、あばらをあっさりと砕き、内臓を圧し潰す。

 そのまま人狼ウェアウルフの巨体を持ち上げて振り回した。

  太っちょの人狼ウェアウルフの背後に隠れながら接近していた数匹の人狼ウェアウルフは巻き添え喰らって倒れ伏す。

 そこへ持ちあげていた人狼ウェアウルフを叩きつけるように振り落とした。

 巻き添えを喰らった人狼ウェアウルフ数匹の腕や足があっさりと粉砕された嫌な音が木霊した。

 人狼ウェアウルフたちが、悲鳴にも似た雄たけびを上げた。

 間髪入れずに頭を次々にハンマーで叩き潰していく。

 そんなモグリーナに様々な体格の人狼ウェアウルフが一斉に飛び掛かっていく。

 一番バランスの取れた体型……大人の男の人と同じような体型をした人狼ウェアウルフは、動きも早く好戦的なようだ。

 右手の指先から延びる長く鋭い爪をぎらつかせて、突き出してくる。

 モグリーナも赤黒くけがれたハンマーを突き上げる。

 人狼ウェアウルフたちの爪は、ハンマーに接触するとまるでガラスのように砕けていく。

 モグリーナのハンマーの強度の高さなのか、はたまた人狼ウェアウルフたちの爪が脆いのかはわからない。

 破壊した爪を周囲に振りまきながらハンマーが人狼ウェアウルフを襲う。

 顔面に当たり、顔を圧し潰していく。

 そのハンマーを右へと振り回す。

 横手から襲い掛かって来た人狼ウェアウルフの右肩に当たり、粉砕していく。

 その衝撃で肺は潰れ、右頬辺りにもハンマーが減り込むと顎を粉々に砕く。

 そのまま地面に叩きつけられ、首がへし折れた。

 勢いそのままにグルリと一回転して、次の目標へとハンマーを振り下ろす。

 避けきれなかった人狼ウェアウルフは、頭頂部からハンマーに圧し潰されて、グシャリとひしゃげた。

 石畳にハンマーはぶつかり、粉々に砕いていく。

 砕かれた石畳の破片が周囲に飛び散り、向かってきていた人狼ウェアウルフを怯ませ、動きを一瞬だけれど止めさせた。

 それを見逃すモグリーナではない。

 一瞬にして間合いを詰めて、ハンマーを力いっぱい振り回す。

 頭部を粉砕し、胸部を圧し潰し、腰を叩き折り、足を砕きながら吹き飛ばす。

 まさに鬼神のごとき強さを見せた。

 二十匹ほどいた人狼ウェアウルフを瞬く間にモグリーナはたった一人で制圧した。

「ふぅ~……これで全て片付いたかい?」

 一息ついて、周囲を見渡すモグリーナ。

 ギルド前の広場には、凄惨な状態が広がっていた。

 倒れ伏す動かぬ冒険者たち。

 そして、身体中を潰され、砕かれ、哀れな姿になり果てた人狼ウェアウルフだったものが転がり落ちている。

 まさに地獄絵図だ。

「なっ?何と言うことだ?そんな馬鹿な?こんなことが……何故だ?」

 不意に、しわがれた声が響き渡った。

 それは、そんなにも大きな声ではなかったけれど、確かにはっきりと聞こえた。

「ありえない。冒険者に負けるなど、ありえない」

 声の主は、あの灰色のローブの男だった。

 いつから、そこにいたんだろう?

 立ちすくみ、広場の状況を見て嘆いていた。

「何しに来たんだい?魔物退治なら終わったよ」

 モグリーナは、ローブの男……ロロド導師に向かって言った。

「冒険者の方が強いなんて……ありえんのじゃ」

 何か不可思議なことを呟いている。

「お主は、一体何者じゃ?」

 モグリーナの方に向かい合い、フードの奥から怪しげな相貌が見ている。

「ああん?あたいかい?あたいは、ただの戦闘狂だよ。強い奴と戦いたいだけさ」

 ハンマーを振り回して、赤黒く染まった人狼ウェアウルフの体液を振り落とす。

 ビチャリと、音を立てて石畳の上に赤黒い染みが広がった。

「そうかい。なら、こいつと戦ってみるがよい。虎頭人ウェアタイガーよ」

 ローブ男が指をパチンと掻き鳴らすと、どこからともなく大きな影が現れた。

 ズシンと音を立てて着地し、石畳を踏み割った。

「ええっ?虎頭人ウェアタイガーを呼んだの?」

 メルティナは、驚きの声を漏らしていた。

 姿を現したのは、頭部が虎の化け物だった。

 人狼ウェアウルフと同じように全身を体毛で覆われた姿をしている。

 違いがあるとすれば、黄色い体毛であることくらいかな。

 黒が混じっていて虎柄をしている。

 熊のように大きな体格で、とても強そうだった。

 モグリーナと比べると二回りくらい大きいかもしれない。

 それくらい体格に差があった。

「おいおい、これは一体どういうことだい?あんた、今、その魔物を呼んだよな?あたいの見間違いかい?」

 見間違いじゃないと思う。

 僕も呼びつけたような感じに見えた。

 偶然、現れたとは思えない。

「そうじゃ、儂が呼び寄せた」

 ロロド導師は、呼び出したと認めた。

「召喚獣?」

 僕は、ポロリと言葉を漏らした。

「いいや、召喚獣などではない。儂が作った魔物じゃ」

 は?何言っているの?

 このおじいさんは……。

 訳が分からない。

 魔物を作った?

 そんなことできるわけないじゃん?

 人間が魔物を作り出すなんてこと……。

「作ったってどういう意味だい?」

「そのままの意味じゃよ。やれ、虎頭人ウェアタイガーよ。お主の強さを見せてみよ」

 ロロド導師は、虎頭の化け物に命令を下した。

 その命令を聞き、理解したように虎頭人ウェアタイガーは吠え、モグリーナへと向かって駆け出した。


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