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死にたがりの異世界放浪記  作者: オタクな塩/水無月白斗
第一章 死にたがり開幕記
1/12

死にたがり、異世界で目を覚ます。

気ままに新連載になります。なお、こちらも当然のようにノープラン。作者の気の向くままに書いていこう思います。不定期投稿です。

もう二度と。自分の意識が明瞭になることなんてないはずだった。だって俺は…自殺を…したのだから。だけど現実はそう甘くないみたいだ。俺の目の前にはどう見ても知り合いではない髭もじゃのお爺ちゃんがいて、そして周囲の景色はどこまでもどこまでも白が続く殺風景な空間に立っている。


オーケー分かった。なんとなく状況は分かった。…転生だな?俺とてラノベやらアニメを嗜んでいた人間だ。驚きはしn…いやするけどそこまででもない。でもさぁ…転生なんて幸運、もっと別の人間に与えるべきだと思うけどなぁ…


「異世界人、霧崎海斗よ。汝は徳が足らぬ。よりにもよって自ら命を絶つなど言語道断である。よって汝は我の管理する世界で善行を行い、徳を積むことを命ず。それまでは当然死すことなぞ許さぬ。よいな?」


は?なんだ急に?というか説明は?なしなの?ねぇ。説明はいいけどなんか特典とかは?

「次こそは汝の命の輝きを見られることを願っておるぞ。では行くがよい。」

いやだからもうちょい説明はッ…⁉


俺の意識はここで途絶えた。いや、強制シャットアウトされた。許すまじ。

***

……目を覚ますとそこは森だった。至って平凡なラノベにありがちな木々がそう鬱蒼としているわけでもない森に。近くには湖があり、そして鳥のさえずりが聞こえる平和な森。


はぁ。夢ではないらしい。だって体の感覚がちゃんとあるし。…こうなったもんはしゃーない。ステータスとか見れないかな。じゃないと何が出来るのかが分からん。てか死ぬことは許さんみたいなこと言ってた気するし。【ステータスオープン】


【名前】カイト・キリサキ

【種族】人間()

【年齢】18

【スキル】《コモンスキル》鑑定、アイテムボックス、超健康体、属性魔法

     《ユニークスキル》幽世人

【称号】転生者、善行の奉仕者

【善行P】-1000


な~るほどねぇ。体力とかは見えないタイプね。そんで…なんで種族人間()なんだよ。()どこから来た?で、年齢は18と。若返ってるのは少しでも多く善行を積ませるためか?…てか、善行なんて進んでやるものであって神だろうがなんだろうが強制するのはだめなんじゃねぇの?

そしてユニークスキル【幽世人】…?何て読むのこれ。かくりよびとで良いの?鑑定してみよう。

【幽世人】を詳しく【鑑定】。


《幽世人:世界から切り離された存在になるスキル。よってスキル所持者に対してあらゆるダメージを与えることが出来なくなる。善行ポイントと効果が連動しており、善行ポイントを貯めきることで解除される…かもしれない神からの祝福(呪言)。読みは【かくりよびと】。》

…俺に対する当てつけには十分なスキルだなぁ。要はダメージないから死ねないよってことだろ。


別に良くない?死にたいと思ってもさ。俺は物心ついたころからなんか知らんが漠然と死にたいと思ってた。別にいじめられたとか、家庭環境が悪い(実の両親は事故死したらしいが)とかでもなく、ただなんか生きる意欲がなかっただけだぞ。生きてる間は趣味もあったし人生楽しんでたぜ?それにさ、自殺したっつても育ての両親はちゃんと看取ったし、義理の妹は結婚して託せる男が現れるまでちゃんとお兄ちゃんしてたし。十分な善行じゃね?と思うんだけどなぁ。

もっと言えば自殺したのも今は使われてないダムに身を投げたんだぞ?俺はね、自殺するとき他人様に迷惑かけて死ぬのはナンセンスだと思うわけよ。いや自殺する人間を否定したい訳じゃなくて。大抵はめっちゃ追い詰められてんだろうから駅とかで飛び込むのも否定はしないよ?でもさぁ、やっぱ最後まで人に恨まれて死ぬよりも誰にも知られずひっそりと死んだ方が最後に気分良くならんか?っていう持論だけどこれはまぁ、心の余裕自体はあった俺だからそこまで考えられただけだと思う。おっと自語り失礼。


で?善行ポイントねぇ…やらせたいことは分かるよ、うん。けどなんだよ-1000って。絶対これあの爺の私怨だろ。そして出来るだけ長く善行積ませたいんだろうし?どーせ1回につき1ポイントとかなんだろ~?やってられんな。


一応鑑定しとくか。【鑑定】

《善行ポイント:読んで字の如く善行を積んだ具合を可視化したもの。善行をすればポイントが貯まる。善行か否かの判断基準は相手に感謝されたかどうか。ちなみにお前の-1000は神が主観で決めたものな。怒ってもいいと思う。》


う~ん、クソ。あとこいつ(鑑定くん)やっぱり明らかに意志があるじゃん。さっきの【幽世人】鑑定したときにも神からの祝福に()で呪言ってついてるし、今回はなんか同情されてら。…俺は気にしてないけどね。ホントだぞ、うん。

***

それから俺はしばしの間スキルを確かめることにした。だがしかし!魔法の使い方が分からんかった!これはテンプレ通りなら多分魔力の知覚がまだ出来てないからだろう。ので一旦保留。アイテムボックスは至って普通のもので出し入れ可、収納品のリストが表示されてドラッグ&ドロップで操作するタイプ。【鑑定】によると時間停止、生物侵入不可、容量無限っぽい。便利。

次に【超健康体】。これは…効果の実感が難しいけど状態異常無効化、呪い反射、デバフ無効、即死無効、疲労無効とだいぶ無法な詰め合わせ…らしい。多分、普通の健康体は状態異常無効または耐性とかなんかね。

最後に【幽世人】な。これは…うん。鑑定通りだった。丁度近くに角ウサギ(仮)がいたから喧嘩吹っ掛けたけど…衝撃は来るくせにダメージも痛みも微塵も感じなかった。はっはっはっ………困った。みっちり簡単には死ねない。絶対おかしいよな。剣と魔法のファンタジー世界という名の命の価値が著しく軽い世界でここまで丁重に自殺対策されるとは。だがまだ希望が失せたわけではない。なぜならばファンタジー世界だから!


俺を殺せる魔物でも魔法でも古代の遺物でも果てには超常的存在でも居るかもしれない。他にもまだまだ試していない死因もあるし。もしかしたらスキルの効果の穴を突けば死ねるかも。よし。決まりだな。俺のこの世界での目標。それは世界を巡り、死ぬ方法を探ることだ!!ついでに観光もしていこう。よし。


めでたく目標は決まったわけだが…どうやらあの爺さん親切設計なんてもんとはとことん無縁らしい。地図機能はないし、スターターセット的なものも渡されていない。いや俺の初期装備についてるナイフとかはあるけど…この世界で活動していくうえで必要な知識が致命的なまでに欠落しているのだ。つまり知識もなければ金もない。普通もっとなんか…あるだろ。もうちょい親切心が。こんなんじゃ他の転生者とか居たら苦労するぞ?………神を人の尺度に当てはめようとするのが悪いか…マジで何もないよりかはマシと捉えるべきか?


は~。あ ほ く さ 。考えても無駄なこと考えても現実は変わんないし行動開始、だな。当面の間は先立つものを手に入れる環境を整えることが必要か。死にたがりと言っても世界を巡りはするんだ。金も必要だし、飯もいる。いや、飯はいらないのか?と思ったけど、飯がない生活なんて味気ないし生きるためというよりは娯楽の一環として飯は必須だな。さて、これからの行動指針だが…地図ないけど死ぬ心配なしだってんなら運任せで適当に進むか?俺の日頃の行いが試されるな。…善行ポイントマイナスだけど。(自虐)

ふむ…あとがきには(気が向いたら)設定のメモでも書いていくか?


【海斗を転生させた神】

死神よりの生命の神。堅物。融通が利かない上に己の判断が正しいと信じてやまないやべぇ奴。死者の審判を担うも生きている間に成したことはほぼ考慮されず死に様で判断する。だから海斗がたとえどんなに聖人君子だろうが関係なしに自殺した時点でマイナス評価だった。逆を言えば自殺してなければ多分海斗は選ばれていない。当人?当神?の感覚だと海斗に試練を課した程度の感覚。なお、妻と娘が居るが別居状態。(自分が悪いとは微塵も考えていない)


【スキル】

この世界に生きる者ならば人だろうが亜人だろうが魔物だろうが何かしらは持っている。別に追放ものよろしくスキルの格差とか不遇職がありはしないし当人の人生を左右するものでもない。あると便利だね、で終わるもの。基本的には「コモンスキル」「ユニークスキル」とで区分けされているが、鍛え上げればコモンスキルであってもユニークスキルに届きうるだけの可能性はある。そこまで到達できるかは当人次第。

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