家に帰ったら彼女がうさぎになっていただけの話
深夜テンションで書いた短編です。
「ただいまー」
「ナツキさん。おかえりぴょん!」
「……」
現在、家に帰ったら同棲している彼女が扉の前で待ち構えていました。
……うさぎのパーカーに身を包んでいる状態で。
「えっと……何してるの?」
「うさぎのマネぴょん」
……うーん、かわいいいけど意味わからん。
取り敢えず格好と『ぴょん』っていう語尾からなんとなくやりたいことはわかったけどさ。
……普通に考えてこの状況は訳わからんよ。
「……なんで?」
「今日はバニーの日だからだぴょん!」
今日は……確か8月21日。
あぁ、語呂合わせで821ってことか。
考えたやつ暇人でしょ。
……感謝はするけど。
「寂しかったぴょん。沢山構って欲しいぴょん」
「……」
近づいてきてスリスリと手にほっぺたや頭を当ててくる。
うさぎさんの動画を見てるとよく飼い主にやっている行動に酷似していた。
うーん、かわいいな。
身長がちっさいから小動物系に似てるし。
私が飼い主でふゆがうさぎさんかな。
……飼い主……ねぇ。
「あー、たしかうさぎさんの鳴き声ってさ」
「ぴょん?」
返事それかよ。
もしかして、天使?
「あー、あんまり鳴かないし、『ぷぅぷぅ』じゃなかったっけ?」
「ぷーぷー?」
……うぐっ。
上目遣いは反則だって。
私によろしくない。
本当によろしくない。
「……ほら」
「わー、ホントだぁ!かわいー」
動画を適当に調べて渡す。
『ぷーぷー』言いながら撫で撫でされていたうさぎはとてもかわいらしかった。
まぁ、ふゆも負けてないけどね!
……誰に言ってるんだろ私。
ふゆの変なテンションに巻き込まれたか。
さっさと着替えよ。
「ぷーぷー」
「……」
「ぷーぷーぷー」
「……」
「ぷーぷーぷーぷー」
「えっーと、ふゆさーん?」
「ぷぷ?」
着替えを済ませてリビングに戻ってくると、すぐにふゆが近づいてきて、私の足の上に乗ってきた。
軽すぎで心配になる彼女を抱きかかえるようにしながらソファに寄りかかって撫でていると、『ぷーぷー』と鳴き始めた。
うーん、かわいい。(n回目)
……じゃなくてだよ私。
……ってか『ぷぷ』って何だよ。
かわいいかよ。(n+1回目)
「そろそろご飯とか食べたいから退いてもらっても良いですか」
「……寂しいからやだ」
「私、ご飯食べないと死んじゃうよ」
「それもやだぁ」
うーん、駄々っ子だ。
イヤイヤ期の子供かな。
ちっさいし子供か(納得)。
「じゃあどうするの」
「……あとでいっぱい甘やかして欲しいな」
「……うさぎさんを?」
「ううん」
意地悪を込めて質問するとふゆのほっぺたがふくらむ。
どうやらうさぎさんだったのはハムスターだったらしい。
お餅のようにぷくーっと膨らんでいく。
しかし、破裂することはなくお餅は萎んでいき、ふゆは私から少し離れてフードをとった。
「私を、ふゆをいっぱい可愛がって欲しいな」
「……りょーかいしました」
あーあ、こりゃ完全敗北だわ。
明日休みで良かったわ。




