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耳ギンチャク

作者: まえとら

「何しけたつらしてんのさ」

「嫌なことなんて忘れてさ。気持ちいいことしようよ」

「え?」

「しーっ。口にチャックだよ」


イヤリング?いや、リング?両耳にピアス状小さなイソギンチャクのようなものがついてる。


「最近ここらではやってんの。耳ギンチャクっていうの」

「これ。生きてるの?」

「うん」

「いきてる」


髪飾りかと思ってたものは、かすかに動いてる。甘い香りの花ギンチャクというらしい。


あっちでうずくまってる人。あれ?頭。髪の毛動いてる。

「髪ギンチャク。依存しすぎるとああなっちゃってもう戻ってこれないから気をつけな」



ピピピピ ピピピピ ピピピピ

目覚まし時計の音で目が覚めた。

夢かあ。嘘ギンチャクってとこか。


眠気眼で急ぎ目覚まし時計を止めようと手をのばした。

ピピピピ ピピピぴ?


ぴとっとした感触。

目覚まし時計の上に、小さなイソギンチャクのようなものがのっかってる。

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