*後日談* そんな事まで言いました?
(ꈍᴗꈍ) 思ってたより、たくさんの方に読んで頂けて嬉しいです!
調子に乗って後日談を書きました。
ハイディクが積極的になっているのでイメージと違う。という方は本編のみが良いかと。
逆にもう少しハイディク頑張って欲しかった!という方は是非!!
宜しくお願い致します。
「えっ!? 私が?」
「あぁ。酔ったエリスに 『おい、こらぁ、ハイディクぅ〜』と言われた」
くすくすと笑いながら尚も話を続ける。
「いやぁ、目は据わってるのに『こらぁ』とか拗ねた感じで言われると可愛くて抱きしめたくなって大変だったよ。
それに呼び捨てもいい!
これからは様はいらない。是非、君にはハイディクと呼んで貰いたい」
などと何か吹っ切れた彼の言葉が続いているが、ハイディク様に『おい』とか『こらぁ』とか、あまつさえ呼び捨てとか!!顔面蒼白ものである。
「あ、あの。他には…?」
急に顔を赤くし目を逸らす彼に嫌な予感しかない。
「あー…、俺が素敵に成長したとか、春の虫?に触らせるなとか? ってか前にも言ってたけど春の虫って何?」
常日頃から幼いハイディクは天使だったが、成長したハイディクは顔立ちも引き締まり美しくなったと思っていたのだが…、それまで言ってしまったのか。
むしろ、より年を重ね色気倍増の美丈夫ハイディクに早く出会いたい気持ちさえある。それは口走っていないようだが。
絶対格好良くなる未来のハイディクを想像してうっとりする。
「エリス?」
はっ!
「や、いや、今も十分ハイディク様は素敵です! あの、春の虫でしたっけ? そうそう。 そんな話までしてるなんて…」
視線を彷徨わせると、瞳に暗い影を落とし俯いてしまった。
「春になって新入生が入ってきましたでしょ? その、リリサという女子生徒がハイディク様にくっついていましたから……。 私、嫉妬してしまったのですわ。ハイディク様は私には触らせて下さらなかったから」
思い出したら寂しくなってしまった。
彼の気持ちを疑うことはなくとも、穏やかではいられなかった。
本当は触らないでちょうだい!と叫んでしまいたかったほどに。
ふと、ハイディクの反応が無いことに気が付く。
彼に引かれてしまったか。と思い顔をあげれば、口元を手で覆って目を見開いていた。
「何それ。 どれだけ可愛いの? エリスが嫉妬とかって…。えっ? 今もアルコール入ってんの?」
んなわけない。立派な素面だ。
腕を取って引き寄せられる。
ぽすんと胸に抱き込まれれば彼の香りに包まれる。
頭を数度撫でられると耳元に顔が近付いてきた。
「今まで嫌な気分にさせてすまなかった。
好き過ぎて触れるなんて出来なかったんだ。
それにエリスの事しか頭になくて一年生の子が纏わり付いてたのも気になってなかったんだよ。 多分名乗ってたはずだけど、あの子の名前も今知ったし」
あれだけ纏わり付かれていて、名前も知らぬなど眼中外にも程がある…。
「これからは気を付けるから、許してくれる?」
犬のようにキューンと聞こえそうな程、しょんぼりしている。これ以上はエリスの方が耐えられなかった。
ツン無しのデレ甘も心臓に悪いとは…。
「……はい」
「ありがとう。 俺の心はずっとエリスだけだから。君だけを愛してるよ」
真っ直ぐな視線を受け止める。
長く絡み合うことの無かった瞳。『あぁ、なんて綺麗なペリドットなんでしょう…』と見惚れていたら徐々に近付いてくる。
「ハイディ…んっ」
柔らかい感触が唇に降りてきた。
時折唇を離しては『はぁ、可愛い』『俺のエリス…』と言っては何度も口付けられる。
膝の力が抜けてカクンとしゃがみそうになるが強く腰を掴まれれば、より抱擁が深くなる。
いつもの様子と違い焦りからトントンとハイディクの胸板を叩く。
「はぁ…、ハイ、ディ…ク様?」
こちらを見下ろし、さっと前髪を掻き上げる仕草に艶があり見てはいけない背徳感から目を逸らす。
(年下のくせにこの色気、末恐ろしいですわ)
「照れてばかりで色んなエリスを見過してしまったからね。反省したんだ。
君に言われたように、今後は不安にさせないくらい積極的に触れたいと思ってるし、言葉で伝えるよ」
「君に言われたように?」
「あぁ。【これからはもっと私を抱きしめて愛を囁いてね】って可愛くおねだりされたからね」
彼の言葉を頭の中で繰り返せばボッと熱が上がる。そんなストレートに自分の気持ちを晒してしまったのか。恥ずかし過ぎる!!
少し迫れば顔を赤く染めるハイディクはどこへやら。形勢逆転に戸惑うエリスなのであった。
一度完結した物語の続きを書くのはイメージの問題もあるので悩みましたが、読んで下さる方がいる喜びで追加してしまいました。
今後とも宜しくお願い致します!