お気持ち理解しました!
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
エリスに上手く立ち振る舞えない。何でエリスには上手く出来ないんだ!嫌われたらどうしてくれるよ、ハイディク様よぉ!!
彼女を見るだけで逃げ出したくなる。
昔は妖精かと見間違う程の美少女だったのに、今は色っぽさも兼ね揃えた美しい女性になって…。妖精は成長すると美の女神になるなんて知らなかった!! 正直、二人でのお茶会なんて正気でいられない!!)
彼女は優しいからキツイ言葉をぶつけてしまっても笑顔で流してくれる。
毎回彼女を前にすると頭が真っ白になって話したい事も忘れてその場から逃げ出そうと冷たい言葉を吐いてしまう…。
エリスと視線が合うからいけないと思い日々遠くから彼女を見守っているが、寂しい。
だが遠くから見れば好きなだけ眺められる。姿勢の良さや品格。風になびく髪を手に取りキスを落とす…。と想像すればギュッと胸が痛くなる。
こんなに苦しい気持ちを自分だけがしてると思うとつらい。
ハイディクは自分だけがエリスにドギマギしている事が嫌だった。
いつか愛想を尽かして他の男を選んでしまうのではないかと不安になる。
エリスも冷たい態度と言葉を吐き続ける婚約者がこんなにも自分を愛しているとは気付かないだろう。
左手を額に当てよう。として腕が上がらない事に気が付いた。
「また君か…。離してくれ」
「もぉう! ハイディク様ったら。リリサがずっと話し掛けていましたのに上の空で! ヒドイですぅ〜。 でもそんなお顔も素敵でしたよ? いゃん!!」
思いっ切り腕を振り解いて無言で立ち去った。
「ハイディク様の照れ屋さん!」
************
ある日、珍しくエリスが同学年の男子と話してるのを目撃してしまった。
二人は見つめ合い穏やかに微笑み談笑していた。自分が憧れる光景だ。
その瞬間、一気に湧き上がった感情は嫉妬だ。自分は頑張っても上手く出来ないのに、ぽっと出の男に奪われたと思った。
「エリス!」
おもわず二人の間に割って出た。
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今日も今日とてハイディクはエリスをストーキング…もとい、偶然見ていた。
ちょうど役員の打合せで同学年の男子生徒と話している時だったが、先日のリリサの事もあり意地悪な気持ちがわいた。
少し首を傾げ、いつもよりフワリと優しい笑顔を作る。
すると相手の男子生徒は頬を染めて、頭を掻きながら饒舌になる。
チラリと影に隠れた(つもりの)ハイディクに目を向ければ案の定、険しい顔付きでこちらを睨んでいた。(主に目の前でヘラヘラしてる男子生徒の後頭部)
「エリス!」
(かかった!!)
「あら、ハイディク様。3年の校舎までどうしましたの?」
「用が無かったら来てはいけないのか? 君の校舎ではないだろう?」
「おい! 何だその態度は!」
険悪な空気に男子生徒が止めに入る。が、むしろ火に油。
「あなたこそ、人の婚約者にデレデレしないで欲しい!! エリス、行くよ!」
ハイディクはエリスの手首を強く握ると急ぎ足で歩き出した。
もう一度言う。
あの!
ハイディクが!
エリスの手首を掴んだ!
ってか触れた。
ずんずんとハイディクの進む足は止まらない。人気の少ない場所にたどり着くとくるりと振り返り、エリスの背を壁に押しあて両手で囲う。
ハイディクの綺麗なペリドットの瞳と視線がぶっかった。
と思ったら逸らされた。
「はぁ、君が婚約者じゃなかったら…」
ズキン。
今までだってキツイ言葉は向けられたけど、心から吐き出すように言われたらいくらエリスでも傷付いてしまう。
これは可愛いなどの萌えポイントはない。
むしろマイナスポイント。
胸が傷んだから。
……悪い子にはお仕置きが必要ね。
「はい。わかりました」
「えっ! わかったって? 何が?」
「あなたのお気持ち、十分理解しました。 では、手続きがありますので失礼します」
「えっ? 待って、手続きって!? エリスっ!?」
呼び止めようとして上げた手をそのままに固まる。
【おまけ】
エリスも冷たい態度と言葉を吐き続ける婚約者がこんなにも自分を愛しているとは気付かないだろう。
(ハイディク以外にバレバレですがなぁ〜)
って入れたいの我慢しました(笑)
【おまけ】
同学年の男性と良い雰囲気で話すエリス見てきっと怒髪天のハイディクからはビーム光線とか出て、相手を灰にしている(脳内イメージ)
※本文の印象変わってしまったらすみません〜。
最後まで読んで下さって有難うございます!
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