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春の虫




「エリス、次のお茶会だが予定が入って行かれない」



「はい。わかりました」



今日も今日とて目が合わない。

婚約してから月に数回開かれているお茶会もここ最近では断られる事が増えてきた。



互いに成長しエリス17歳、ハイディク16歳の春を迎えた。エリスは最高学年となる。



二人の結婚はハイディクが18歳で卒業したら籍を入れることになっていた。

しかし、最近気になる事がある。



成長するにつれてハイディクはエリスによそよそしくなったのだ。



天使の様な容貌は大人になるにつれて精悍な顔立ちとなり、剣技を身につけた体は年の割には引き締まっている。

出会った頃はエリスより小さかった身長も今では目線の高さに彼の肩がある。

おかっぱサラサラ天使ヘアも耳より上の短髪となって男らしさが増した。

そんなハイスペックな彼は婚約者がいようとも女性を引き付けるには十分魅力的であった。



そして気鬱にさせる要因がもう一つ…。



「ハイディクさまぁ〜」



今年入学した一年生の平民。

リリサ・サバス

金髪碧眼の可愛らしい彼女がハイディクを気に入ったらしく、いつでも彼に付き纏っている。というか、いつでも腕にぶら下がってる。



「くそ女!」



(あら? 私、口から出ちゃったかしら?)



「はぁー。平等だがなんだか知らないけど? 婚約者がいる男に付き纏うバカは馬に蹴られて、死ねばいい」



(いや、そこまで過激に私は思ってないから?私から漏れた声ではなかろう?多分)



エリスが声の出どころを探ると後ろに腕を組んだ綺麗な黒髪の女性が立っていた。

昔のハイディクみたいな髪型だ。

彼女は学園に来てからの親友、フィーネ・カロナス。

とてもサバサバした性格で一緒に居ると気が楽だった。



「フィー。過激な事を言わないでちょうだい。それに、ハイディク様はあんな態度でも…」



ビシッと顔の前にフィーネの掌がかざされる。



「あ、最後まで言わなくても大丈夫!ハイディク様でしょ? 何あれ。バカじゃないの?」



「バカ。ではないのよ? 本人は至って真面目だから。優しくしてあげて」



そう。

年齢が上がるにつれてハイディクはよそよそしくなったが、見つめる熱量は昔なんて比じゃない。学年が違うのに常にエリスの側をうろついて監視…もとい、影で見守って男が近づかないよう見張ってる。



さっきのお茶会のお断りも、本人は何でも無いように言っていたが一番悔しいのはハイディクだろう。側で目が合わないのも…



「ハイディク様は成長と共に綺麗になったエリスがまともに見れないんだろうなぁ〜。難儀なやつだよ。自分の婚約者が好き過ぎて顔も見れないなんてね…。


さっきの顔見た?お茶会断った時さ、首から上真っ赤なくせに本人はバレてないと思ってんだ。あんなに照れてさ、笑っちゃうよー」

フィーネは腹を抱えてワハハと笑う。


どうやら想いを募らせ過ぎたハイディクはエリスが好き過ぎて、見れ無い、話せ無い、触れられ無いの三無疾病(さんないしっぺい)に罹っているのだ(別名:思春期病)

しかも時々パニックになりキツイ事を言う。いわゆるツンデレも併発しているポンコツだ。



ただしエリス限定でのポンコツ。



元来ハイディクは頭も良く、運動神経も抜群で学年トップの座を明け渡したことはない。

すでに第三王子の側近としての仕事もこなしている為、日々忙しい。それが原因でお茶会など二人の予定を変更せざるを得ない場合があるのだ。



「ま、リリサがどんなに頑張ってもエリスには敵わないよ!むしろ、どうでも良いんだろうね。腕に止まる虫レベルじゃない?彼女のことなんて」



辛辣な友人に苦笑いをする。

だがその通りだろう。眼中にないのだ。



「それでも…、面白くないわね? 私には憎たらしい事言ったり、触ると逃げるのよ? はぁ〜。ツンデレも過ぎると………、お仕置きが必要かしら」








最後まで読んで下さって有難うございます!


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