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2話 転校生

「今日からお世話になります。雨宮大地と言います。よろしくお願いします」


 黒板にでかでかと自分の名前が書かれた前で緊張しながら挨拶をする。


「ってことで新しく2年B組の仲間になった雨宮君だ。皆、仲良くしてあげるんだぞ?」

「「「「はーい!!!!」」」」


 担任の桜井(さくらい)先生の言葉にクラス中の生徒たちが返事をする。良かった、全員良い人そうだ。


「雨宮君はあそこの空いている席に座ってくれ」


 そう言って桜井先生は窓側の角っこの誰も座っていない席を指す。


「わかりました」


 僕は素直に頷き、その席へと歩いていく。そして朝の連絡が終わり、桜井先生が出て行った後授業の用意を鞄の中から取り出していると横からちょんちょんと肩を叩かれる。


「よろしく、雨宮君。俺、三好誠也(みよし せいや)って言うねん。気軽に誠也って呼んでくれ」


 声をかけてきたのは隣の席に座る茶髪の少しチャラそうな男の子だった。


「あ、ありがとう。僕のことも大地って呼んでくれ」


 声をかけられたのが嬉しくてつい結構なラインまで踏み込んでしまい、自分自身に少し戸惑う。一方でそんなことは気にも留めない様子で誠也は続ける。


「オッケー。それで早速やけど大地ってさ、どっから来たんや?」

「東京だよ」

「へえ、東京なんや! 珍しいなぁ」

「そ、そうかな?」

「そりゃそうやで。わざわざそんな遠くからこんな田舎まで引っ越してけえへんからな。都会暮らしにはキツイやろ~」

「それもそうか」


ここはだいぶ田舎だから転校生自体がそもそも珍しいうえに更に東京からの転校生なんてほぼない事だろうし、誠也の言いたいことは何となくわかる。


「まあ人には人の事情があるからな。詳しくは聞かんとくわ」

「助かるよ」


何かを察したのか誠也は特に深堀をすることなくこの話題を終えてくれる。僕としても正直聞かれたらどう濁そうかとか考えてたからありがたい。


「ちょっと誠也! 昨日の課題終わったん?」


 そうして横から入ってきたのは黒髪にボブヘアの女子生徒であった。


「あっぶな。やんの忘れてたわ。ありがとう。あっと、一応、大地にも教えとくわ。こいつは俺の幼馴染の日比野芽衣(ひびの めい)っていうんや」

「よろしく~。あたしのことは芽衣で良いからな~」

「よろしく、芽衣。僕の事も大地で良いよ」


 誠也に話しかけていた口調から少し怖い人なのかなと思ったけど、普通に良い人だな。

 

「芽衣、聞いてくれよ。大地ってな、東京から越してきたんやって。珍しない?」

「へえ~、そうなんや~。あっ、そうや。ならさぁ、折角やし今日ここら辺案内してあげようや。東京から来たんやったらわからんことだらけやろ」 


 確かにここに来てから家からあんまり出てなかったし正直わからないことだらけだな。そもそも娯楽施設ってあるのかな?

 

「おっそれええなあ。大地、今日の放課後空いてる?」

「うん、空いてるよ」

「オッケー、んじゃ放課後、今日部活休みやし芽衣と二人で案内したるわ。大地に見せたいとこあんねん」



キーンコーン、カーンコーン。


 六時間目の授業の終わりを知らせる鐘が鳴る。やっと終わりか。久しぶりの学校だったから少し疲れたな。


「くぅ〜、やっと終わったか〜」

「誠也はずっと寝てただけじゃないか」


 帰りの会が終わるまでしっかりと寝ていた誠也に僕は文句を言う。だって宿題の提出を除いて一時間目からずっと寝てたんだもん。

 

「いや、寝んのにも体力は使うで」


 この1日で大体分かった。誠也は授業中ずっと寝る問題児で、芽衣は真面目な優等生だ。


「これで学年一位やもんなぁ。ほんま腹立つでこいつ」


そう考えていると既にこちらに来ていた芽衣から驚きの一言が飛んでくる。

 

「えっ、誠也が?」

「せやで。いっつも誠也が一位であたしが二位。だから授業中寝てても先生から注意されへんねん」


言われてみれば確かにあんなに気持ちよさそうに寝ていたのに先生が注意したところを見たことがない。既に諦められているのだと思っていたけどそういうことか。


 それに朝忘れてた課題を爆速で終わらせていたし。


「まあ俺は家でちゃんと勉強してるからな」

「あたしだって勉強してるっちゅうねん」


はあ、とため息を吐く芽衣を他所に誠也は比較的のんびりとしている。


 二人は幼馴染でライバル同士なんだな。なんかいいなぁこういう関係。


「まあ、そんなことは置いといてはよ行こ」

「せやな。大地、親御さんにはちゃんと言っといたか? 聞いた感じ意外と家遠いんやろ?」

「大丈夫、連絡はしといたから。いざとなったら母さんに車で来てもらうし」

「よし、じゃあ行こう!」


 そうして僕たちは教室から飛び出していく。いつぶりだろう、こんなにも晴々とした気持ちになれたのは。


 ワクワク感でいっぱいの胸で僕は新しい学校生活をスタートさせたのだった。

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