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第3話 騎士の街

  「そういえば収穫の報告をするって言ってましたが、それは何処で行うのですか?」

  「それは勿論、ギルドですよ!」


  ギルド!!!!

 …なんて寒気の走る言葉なんだ。俺はゲームをやった事がないからよく分からないが、ギルドと言う言葉は聞いたことがある。確か、子供から大人、老人までもが通う学校のような所だった筈。…うむ。最悪だな。同級生が通う学校ですら差別やイジメがあるというのに、こんな幅の広い年齢層の奴らが1箇所に集まるなんて…毎日乱闘状態じゃないのか?


  「そんなに怖い顔しなくても大丈夫ですよ!」

  「大丈夫です。生まれつきこの顔なので」

  「私も初めは不安でしたが、良い人もいますので」


  無意識にしかめっ面になっていた俺は、軽い冗談を混ぜてみたが見事にスルーされた。


  「…ってことはヤバい奴もいるんですか?」

  「まぁ…色んな方が集まってますので、一部にはそういう方も…」


  俺はとても、とても嫌な予感がした。


  ゴブリンと別れた場所から数分歩いただけで森を抜ける事ができた。太陽の日差しが眩しく感じる森の外は広大な草原が広がっている。辺りを見渡すと俺の視界にはあるものがはいった。


  「…なぁ、本当にあの街で合ってるのか?」

  「はい。正面に見える大きな扉が入口です」


  広大な草原にそびえ立つ城壁は、街全体を囲うように並んでいたが、とても年季が入っていると思う。壁の破損が所々に見受けられる。しかもそれは1箇所や2箇所だけでなく、あちこちに散見された。


  城壁に近付くごとに増す、この、なんとも言えない感覚に耐えられなくなった俺は、もう一度彼女に確認をする。


  「もう1回だけ確認したいのだが、本当にあの街で合ってるんですよね…」


  って、おいおい、大扉の左の城壁。スプレーかなんかで落書きされてないか?


  「…ちょこーーっとだけ治安が悪い所もあるかも知れないです」


  それって絶対ちょこっとってレベルじゃ無いよな…

 ん?あの大扉は…


  「ちなみにあの大扉、特徴的な柄ですね…」


  街の入口に近付くに連れて目視できる大扉。俺は遠回しに特徴的な柄という言葉を選んだが、あれはどう見ても大型の魔物の爪痕にしか見えなかった。しかも1箇所だけではなく無数に傷が付いている。


  「あ〜…」


  彼女は少し反応を躊躇(ためら)ってから答えた。


  「あれは、数年前に大型の魔物が襲ってきた時に出来た傷なんですよ」

  「修理はしなかったんですか?」

  「なんでも街の貴族が、『これはこの街に侵攻してきた魔物を追い返した勲章だ!』とか言ってそのままになっているのです」

  「でも、上から3番目ぐらいの爪痕、扉を貫通して奥まで見えちゃってませんか?それに目の前に立って気付いたんですが、ヒビも入ってますよね?」

  「この大扉、もう開かないんですよ」

  「え!?それじゃ入口は…」

  「街の入口は大扉の右端に見える小さい扉です…」

  「あ、そうなんですか…」

  「それと最後に一つだけ耳に入れておいてもらいたい事があるのですが…」


  なんだか凄く嫌な予感がする…


  「この街では、貴族の言う事は絶対という風習みたいなのがありますので、なるべく揉め事は避けて頂けると助かります」


  いつの時代の街なんだ!今どきこんな差別じみたことをやる街があるなんて…


  見事俺の予感は的中した。そして、的中した予感は更に大きな不幸となって俺たちに降り注いだ。


  「おっと、待ちな!そこの2人組。この街に入るのなら通行証を提示するか、通行料を払いな!」


  先程揉めた騎士と同じような格好をしている2人の門番が俺達を止めた。


  この世界に来て一番最初に出てきた街だというのに入る条件厳しすぎないか?手ぶらで放り出された俺が通行料を払えるはずはない。ましてや通行証を持っているなんて有り得ない。ここに着くまでに盗みでもしろって事なのか?


  対処法がない俺は、詰んだ…。と思いながらただ突っ立っていると、クレアは慣れた様子で通行証を提示した。

 門番は通行証をジロジロ見ると、素っ気ない態度で通行証を返し道を開けた。

 彼女は軽く一礼をすると門番の間を抜けていく。俺はその後ろを金魚のフンのように、よそよそしく通ろうとした瞬間


  「おい!誰が通っていいと言った!」


  その言葉は明らかに俺に向けて放たれたものだった。


  「はい?」

 

  俺はとぼけた顔で首を傾げだ。


  「通行証か通行料を出せと言ったはずだ!!」


  俺のとぼけた態度が気に入らなかったのだろうか、門番の男は言葉を荒らげる。


  「待ってください!この通行証は、3名まで同伴を認めると記されてます」

 

  クレアは再度、通行証を門番に見える形で出し俺を助けてくれた。

 

  「貴様!どこの村から来たのだ!」

  「私はレトール村からやって参りました」

  「レトール村だと?」


  門番の男達は顔を合わせると馬鹿にするように笑った。


  「そうかそうか、レトール村でしたか。実は先刻、この街の貴族の一人、ゲウィンツェル様よりレトール村の通行証は2人目から通行料の半分を徴収するようにとお達しがありましたので、このままではお通しすることは出来ませんね〜」


  この男は何を言っているのだ?そんなの誰が聞いたって分かるような作り話じゃないか。それなのに、どうして、なんでクレアは通行料を払っているのだ!!なんで周りの奴らは何も言わないんだよ!


  理不尽な要求で弱者からお金をむしり取る。俺は身に覚えのあるこの状況に無性に腹が立った。怒りを抑えきれなくなったその瞬間、クレアは力一杯、俺の手首を掴み、唇を噛み感情を押し殺した表情でこちらを睨んだ。


  一番悔しい思いをしているのはクレアなんだ。俺の身勝手な行動で今まで耐えたクレアの頑張りを無駄にする訳にはいかない。


  俺は大きく息を吸って深呼吸をした。怒りの感情をぐっと心の奥底に押し込み、門番に一礼をしてその場を去った。


  「ありがとうございます」


  街に入った彼女の第一声はこの言葉だった。無理に笑顔を作って微笑む彼女の顔を、俺は直視することが出来なかった。


  「こちらこそ、助かりました」


  その後は一言も会話することなく街の中央に立つギルドに到着した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

1日空いてしまいました…

1回の量が少なくて読み応えが無いかもしれないですが、なるべく毎日投稿出来るように頑張りたいです。


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