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最初の償いと最初の見せ所 中編

「やっと、着きました……。もう、乗りたくないです……」

「クエストを問題なく解決したら帰りは歩いて帰るよ」


 発注元である隣村まで来たのだが、セシリアはクエストを行う前から既に疲れ切っている様だった。


「セリシアさん、無理そうならこの村で休むか?」

「いえ、リカバリー」


 セシリアが魔法を唱えると疲れ切っていた顔がいつも通りの元気な物になった。


「これで、大丈夫です」

「リカバリーには体力を回復する効果ってありましたっけ?」


 リカバリー、怪我治す時によく使われる回復魔法だが、回復魔法で体力を回復させる魔法は無かったと思うんだが?


「リカバリーの熟練度が高いからですよ。昔からリカバリーをよく使っていたので」


 熟練度を上げると魔法や剣術などは、本来の効果よりも高い効果を発現できる。


 ファイアと言う火魔法も最初はただの火を発現させる魔法だが、熟練度を上げると火力が上がり、更に熟練度を上げると水の中に入れても消えない火を作り出す事もできるらしい。俺はまだ火力を上げるところまでしかできないが。


 そんな事があり、俺達隣村に入って、発注主である村長宅に向かった。村長宅では例のゴブリン達を見たと言う猟師が呼ばれて話を聞く事になった。


「最初、ゴブリンを三体見つけて、駆除したんだが、仲間の血に寄ってきたゴブリンの数が多くてまずいと思い逃げていたら、森の中になる崖の洞窟に着いたんだ。幸い俺は男だったから奴らは気づかなくて捕まる事はなかったが、その洞窟からもゴブリンが出てきたからおそらくそこが奴らの巣だ」


 ゴブリンの住処を知っている猟師を案内人にさせ、その崖の洞窟へと向かった。


 そして、少し離れたところに到着して、アンジェリカとセシリアにここで待つように言った。


「奴ら仲間の血とメスの臭いに敏感だから」

「アルベルトさんお一人で行くのですか?」

「その方が奴らに気づかれにくいからな。二人のうち隠密の魔法が使える奴がいるなら別だけどな」


 そう言い、二人とも隠密の魔法が使えそうに無いので、俺は一人で洞窟の入り口に向かった。


(そんじゃ、まずは中を調べるか。)

「フゥゥゥゥゥゥゥゥ(モード・アース)、地形探査」


 地形探査、名前の通り魔法を放つことでその土地の形を直接見なくでもわかるようになる魔法だ。


「やっぱり、大きいな」


 多くのゴブリンが生息している洞窟だから予想していた通り、ここの洞窟はかなり大きい。


「スゥゥゥゥゥゥゥゥ(モード・シャドウ)、隠密」


 隠密、発動者の存在感を薄れさせ、そこにいないかのように感じさせる魔法。


「生物探知」


 生物探知、その名前の通り生物がどこにいるのかわかるようになる魔法だ。熟練度を上げるとどんな生物かわかるようになる。


 これらの魔法を発動させたあと、俺は洞窟の中に駆け出した。


 地形探査、隠密、生物探知、なぜこれらの魔法を使ったのか?普通に考えれば、洞窟に入って洞窟内で迷わず、ゴブリンに気づかれないように、ゴブリンに不意打ちを受けないようにして、ゴブリンを殲滅する為だと思われるだろうが、それなら洞窟内に入らなくてももっと効率的にゴブリンを殲滅する方法はある。


 なら何故俺が洞窟内に入ったのか?


 それはゴブリンに捕まった女がいるかもしれないからだ。


 ゴブリンが多く増えるには当然繁殖で増える。なら当然繁殖に必要な苗床も多くいる。ゴブリンは一箇所に苗床を集める。その苗床に人間の女性が含まれている可能性は高い。


「ッ!(見つけた!)」


 そして洞窟内を回って数分。漸く集められた苗床となっているモノ達を見つけた。


「いやぁぁぁぁあああああ!!!!やめてぇぇぇぇえええ!!誰か助けてぇぇぇえええ!!」


 そこには5体のゴブリンと、これからそいつらに犯されそうになっている少女がいた。


「(早く、助けないと!)土壁!」


 その空間に入りながら魔法を発動させ、出入り口を塞ぐ。そして腰にある2本の長剣と短剣を抜き、短剣を逆手持ちにして2本とも構え、


「土棒!」


 短剣の柄に土魔法で作った棒の物をつけて槍にして一番距離があるゴブリンに放つと頭に刃が突き刺さり、身体ごと吹き飛ばされる。


 もう一本の長剣で並んでいた3体のゴブリンを振り下ろして斬り殺し、振り下ろした勢いでもう一体のゴブリンを蹴り飛ばす。


「ギャ!?ーーッ!?」


 蹴り飛ばしたゴブリンにすぐに距離を詰めて長剣を頭に突き刺して殺した。


「た、たすかっ、た?」


 まさに瞬殺と言う光景に唖然としている少女に俺は、


「安心しろ。助けに来た」


 そう声をかけた。


「うぅ、うぁぁぁぁぁあああああ!!!!」


 俺にしがみついて泣く少女に安心するように優しく回復魔法を掛けながら撫でた。




「生きているのは、君だけか……」

「……はい……」


 苗床を集められている空間で泣き止んだ少女に生存者を聞くがやはり既に彼女以外は死んでいるらしい。


 苗床には鹿や猪などの動物もいるが、彼女以外の人間の女性も三人ほどいたが、既に死んでいる。


「二人は舌を噛み切って自殺、もう一人はショック死、か」


 簡単な検視を行った結果、二人は舌が噛み切られていたから自殺したのがわかる。もう一人には特に致命傷となるところは見当たらなかったので、おそらく精神的な負荷による心臓麻痺だと考察した。


 彼女達の遺品になるようなものがないか、色々拾い、彼女達の髪を切って、混ざらないように分けて持ち帰る事にした。


「そろそろこの洞窟から出るぞ。それにゴブリン達ももうすぐこちらにやってくるだろうからな」


 ゴブリンはメスの臭いに敏感だ。それが土壁により臭いが遮られればゴブリン達は気付く。


「わかりました」


 土壁を消し、俺は少女を抱えて、あの空間から飛び出すとやはりそこには何体ものゴブリンがいたので、斬り殺して道を開く。そして洞窟の出口まで全速力で走った。


「ギャギャ!」

「ギガガギ!」


 やはりゴブリン達が俺達を追いかけてきた。だが、俺の足の方が早く、ドンドン距離を離していく。


「フゥゥゥゥゥゥゥゥ(モード・アース)、土壁!」


 洞窟の出口を出た瞬間に少女を下ろして、出口に土壁を発現させる。


「ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ(モード・フレイム)、フレイム!」


 火の魔法で、土壁に手を付けて向こう側の洞窟内にフレイムを放ち続ける。


「ツッ!強力な魔法を放ち過ぎたからな」


 全身に痛みが走り、俺は魔法を放ち続けながらその場から動けなくなった。


「アルベルトさん!」


 そこにセシリア達がやってきた。


「セリシアさん、俺は魔力痛でちょっと動けそうにない。猟師のアンタ、ちょっとこの娘を頼む」

「わ、わかった」

「二人ともちょっと来てくれ」


 俺はアンジェリカとセシリアの二人を近づかせる。


「今、火の魔法でゴブリンの殲滅をしてるが、多分まだまだ生き残りがいるだろうからそいつらの始末を頼む。俺は動けそうにないから少し休む。この魔法であるかなり弱ってるだろうから二人でもなんとかなるだろうよ」

「わかりました。あとは任せてください」

「情けないな、アルベルト。それでも男か?償うって言ったくせに、後始末はウチらやらせる気か?」

「面目ないが、そうなる」


 それから数十分経ち。


「そろそろ良いだろう。魔法を解除する。その前に、ハァァァァァ(モード・ウインド)、クーラー、風の加護」


 火の魔法はとっくに発動できなくなってる。土壁を消して中に入れるようにする。


「動けないけど、魔法は使える。ここは俺と猟師の人に任せな」


 そう言って、俺はアンジェリカとセシリアの二人を送り出した。


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[一言] 〇〇の呼吸…いらんくね?なんでこれを採用したんですか?魔法を使う際に呼吸という方法をしなくてはダメな理由が知りたい。 〇〇の呼吸ってやってるの見るとなんか鬼滅思いだしてちょっと萎える…… …
[気になる点] パクリは萎える
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