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パーティ加入

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誤字脱字を教えていただければありがたいです。

「どうやら逃げずに戻ってきたみたいだな。それで?仲間とは話をつけれたのか?」

「まぁな。まず、これ」


 そう言って、俺はアンジェリカに900Gを差し出す。


「なんだ、これ?」

「慰謝料だよ」

「少なくないか?」

「それがジークの全財産だ」

「そうか……」


 アンジェリカが微妙な顔をする。「たったのこれだけで全財産?」とでも思っているのだろう。こんなのはちょっとした外食で全て使ってしまえるからもらって嬉しいかと聞かれると確かに微妙だろう。


「アンタからは?」

「こら!アンジェ、いけませんよ何もしていない人から慰謝料をたかろうなんて!」

「冗談ですって!流石にそんなことしませんよ」

「そこに関しては俺に払う必要性を感じないから払わない。払う責任を負うのはジークだけだと認識している」


 自分でも少しどうかな?とは思うけど、やったのジークだけなのだから、間違ってはいないだろう。


「それで、慰謝料を払う以外で、俺は何をすれば良いんだ?」

「そもそもアンタって、何が出来るの?」

「……冒険者の仕事?」


 新人冒険者の仕事は『探索』、『狩猟』、『駆除』で、一人前のDランク冒険者からは『退治』、が、中堅のCランク冒険者から『護衛』が、上級者であるBランク冒険者になると指導が追加される。


 これら六つが冒険者の主な仕事になる。俺はBランク冒険者なので狩猟、駆除、退治、護衛、探索、指導全てを行う。そしてこの順で得意だ。


「冒険者の仕事なら殆ど出来るぞ。これでも一応Bランクだからな」

「お前、Bランクだったの!?」

「そのお年でBランク何ですかぁ。若いですね」

「知らなかったのか……」


 俺はたったの三年でBランクになったからこの街では結構有名だったんだけどな。それに最近はそこら中を暴れ回ってたからは尚更悪い意味でも有名になってしまった。


「じゃあ、今の私達よりもランク上のモンスターを倒しに行こう!」

「ちょっと待て。それはつまり俺が君達のパーティに入るって事か?そもそも君達はパーティメンバー同士、であってるよな?」

「私達はギルドに登録してからずっとパーティメンバーでしたよ」


 セシリアが二番目の質問に答えてくれた。よかった、ちゃんと合ってた。


「お前……そう言えばお前、名前は?」

「アルベルトだ」


 そう言えば名乗っていなかった。でもセシリアは俺の名前を言っていたな。まぁ隣で俺とジークの会話が聞こえたんだろう。


「アルヘッド、パーティ組んだ方が償わせやすいだろ?」

「アルヘッドじゃなく、アルベルトだ。……君達、ランクは?」

「まだギルドに入ったばかりなのでEランクですよ」


 なら、受けれるのはDランクまでのモンスターだな。


「なら、早速受付に行こう。パーティ加入とEランクでも受けれるクエストを紹介してもらおう」


 という事でギルドの受付に向かった。



「アルベルトさん、大変でしたね」


 そう言ったのはギルドの受付嬢のキヌラさんだ。こちらを心配そうに見ているのを察するに彼女は俺の事情を知っている様だ。


「こんにちは、キヌラさん。やっぱり聞きましたか?」

「他の方が喋っていたのを。どうやらあの噂は本当みたいです」


 やはり知っていた。まぁギルドの酒場には多くの冒険者がいたからな。あの騒ぎを見ていた者も当然多かった訳だし、話が彼女まで、やってくるのもおかしくない話だ。


「まず、彼女達のパーティに加入するので手続きをお願いします」

「承りました。こちらに記入をお願いします」


 そう言われ、パーティ加入に必要な紙とペンを渡された。


 ーーーー


 1.氏名と冒険者ランクを記入してください。

 アルベルト   B


 2.加入するパーティの名前、またはパーティメンバーの名前を記入してください。

 ・アンジェリカ   ・セシリア


 3.報酬の分配について記入してください。


 ーーーー


「どうかしましたか?」


 スラスラ書いていた俺の手が止まったのを見て、セシリアが声を掛けてきた。


「あー、そういえばまだ報酬の分配については、話し合ってませんでしたね」


 紙を覗き込んだセシリアは手を顎に当てて考える仕草をする。


「アルベルトさんは上級者のBランク冒険者で、私達は新人のEランク冒険者。普通に考えて、ランクの高いアルベルトさんが多くもらうのが当たり前ですよね」

「えぇー、アルチュウが償うって言ってるんだから、7:3でウチらが多く貰ってもいいんじゃないですかぁ?」

「……」

「冗談です!冗談ですからぁ!」

「アンジェ、名前、間違ってますよ?」

「アルベルトさん!アルベルトさんですぅ!」


「マジかコイツ?」という目を向けるセシリアに、向けられたアンジェリカは「冗談だから、そんな目向けないデェ!」と情けない声を出してセシリアに縋りついた。


 まぁ、セシリアの言っていた事は正しい。本来ならランクに開きがある冒険者同士がパーティを組む場合、ランクが高い方が報酬分配時、報酬を多くもらえる事は当たり前だ。


 たまに下のランクの者の活躍によってはその者が多くをもらえる場合もあるが殆どは前者だ。


「セシリアさん、アンジェリカが言った通り、俺は償うと言った。だが俺にも生活がある。だから報酬の分配は、通常は均等に、活躍によって分配額を変えてくれないか?」

「私達はそれでよろしいですよ。高ランクの方と均等に、というのは貰いすぎだとは思いますが。ね?アンジェ」

「アルベルト、もっと遠慮を……なんでもないです。私も了承します」

「フッ」


 セシリアとアンジェリカの会話に俺は思わず声が漏れてしまった。


「という事で、これでお願いします」

「お預かりします。……はい、確認しました。それで、これからクエストを受けますか?」

「いや、もう遅いし、明日の早朝にまた来るよ。二人もそれで良いか?」

「はい、今日は早く帰って寝ようと思ってましたから」

「私も同じく」

「わかった。じゃあ、明日の朝三刻(午前6時)に此処で」

「わかりました。では、良い夜を」

「さようなら」

「アンジェリカ、寝坊するなよ」

「私はこれでも、セシリアより早起きなのだ」


 それは意外だった。





次すぐに設定について投稿します。

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