私が考えたサンマのルール
三十七年前だった。
寿司屋の大将から、
「サンマがやりたい!」
と言われ、
「どんなルールなんですか?」
と、
私は尋ねた。
「三人で麻雀をやるから、
マンズの二万~八万を抜き、
ポンは出来るが、チーは禁止で、
役は特殊で、
一本、二本と数える」
「具体的には?」
「よく解らん。
一本を出アガったら、
振り込んだ人から一本を貰え、
ツモったら、
二人から一本ずつ貰える」
この説明で、
だいたいの予想がついた。
ギャンブルの基本思想は、
【資本主義】と同じで、
【なるべく沢山の人から、少しずつむしり取ろう】
というものである。
その典型的な特徴を示しているのが、
『振り込んでも、ツモられても、一人が支払う金額が同じ』。
つまり、
一人を大負けさせない様に。
要は、
【カモを潰す事なく、
飼い殺しにしよう】という発想である。
江戸時代の『農民は死なぬ様、生きぬ様』と一緒。
でも、
これは明治時代に作られた【偽情報】で、
実際に行ったのは、日本人の敵の薩長。
これを考えると、
第二話で書いた『振り込んだ人の【責任払い】にした』は異常だ。
【責任払い】にすると、
一人の負け額が最大で四倍になってしまう。
『当時のアメリカ人の兵士が、
日本人から比べれば、
十分に豊かだった』という条件が有っての事だが、
やはり、
アメリカ人を恨んでいたのだろう。
ちなみに、
日本人の柔道家が、
戦後、
アメリカのプロレスの試合に出場したら、
試合会場で観客に刺されたそうだ。
刺したのは、
戦争で子供を失った母親。
そりゃ、
子供を殺されれば、何でもするわな。
話はズレるが。
日本人の敵達は、
反米思想を抱かない様だ。むしろアメリカを支持している様な?
『日本人が殺したアメリカ人の数』
と、
『アメリカ人が殺した日本人の数』
を比較すれば、
その理由は明白だ。
その逆に、
日本人の敵達は、
中国や朝鮮を嫌っている様だ。
これも、
『中国人や朝鮮人が殺した日本人の数』
と、
『日本人が殺した中国人や朝鮮人の数』
を比較すれば、
その理由は一目瞭然だ。
話を戻すと。
私は、
寿司屋の大将に提案した。
「では、
役や点数計算は、
四人麻雀のものを、
そのまま使いましょう。
例えば、
子の満貫の場合、
出アガったら
振り込んだ人の八千点払いで、
ツモった場合は、
親が四千点払い・子が二千点払いの計六千点で」
この点数計算の特徴を、
御解りだろうか?
『振り込んでも、ツモられても、一人が支払う金額は同じ』に反している。
私は、
【資本主義】的な発想はしないので、
(なるべく沢山の人から、
少しずつカモろう)
などとは、
考えないのである。
要は、
これからギャンブルをするのにもかかわらず、
(金儲けをしよう)
とは思わないウルトラパーなのだ。
しかも、
ツモったら、
八千点が六千点に減少してしまうデフレシステム付き。
『ツモったら、
二人から同じ金額が貰える』一般的なサンマのルールと比べると、
デフレ効果は、
八分の三。
つまり、
動く金は、
半額以下。
これを提案した理由は、
それまで一度もサンマを打った事が無いから。
一応、保険を賭けておいた。
これを提案してみると、
私が【カモろうとしていない】のが伝わるらしく、
スンナリと受け入れられた。
それ以降、
ギャンブル好きに、
このルールを提案すると、
常に採用された。
驚いた事に、
十年くらい前に、
とあるゲームサイトでサンマをしたら、
この点数計算が使われていた。
T大関係者が伝えたのだと思う。