そのルールは、誰が有利なのか?
四十三年前だった。
今は動物写真家になっているOが、
(この間、テレビでOを見たけど、別人の様に太っていた)
「『大学へ○数学』を五百円で買わないか?」
と言って、
二十冊程持って来た。
Oの兄貴のコレクションだったそうだ。
その『大学○の数学』という雑誌に、
こんな事が載っていた。
とあるブルジョアがパスカルに手紙を送った。
その内容は。
トランプ賭博で、
『Aという事象と、Bという事象の
どちらに金を賭けたら有利なのか?』
ギャンブラーの間では、
この問いに定説が有って、
【Aが絶対有利】が常識化している。
でも、
手紙の主のブルジョアが、
場合の数を調べたところ、
AもBも同じだった。
だから、
ギャンブラーの常識は、
ただの迷信で、
気のせいではないのか?
このブルジョアの質問に対して、
パスカルが確率を計算したところ、
二百分の一程度の微差が有り、
やはり、
【Aが有利】だったそうだ。
私が、
これを読んで驚いたのは、
【人間の経験の凄さ】である。
その当時、
私は、
確率を正確には計算しなかった。
ざっくりとした予想だけだが。
二百分の一程度の微差では、
二百回試してみても、
Aが有利になるのは、
一回前後である。
『起きる確率がN分の一の事を、N回試行して、一度も起きない』確率の近似値は、
e分の一だ。
確か?
この収束速度は素晴らしくて、
N=8で、
小数点以下十桁レベルだった様な?
これからすると、
確率が二百分の一なら、二百回試してみても、
四割がたは、起きない。
こんな条件で、
よく【Aが有利】だって気付けるよな!
凄過ぎる!
人間の感覚は鋭敏だ。
ルールや制度に対して、
すぐに、
【誰が有利なのか?】気付く。
『有利になる人』がいれば、必ず、『不利になる人』も。
さて、
今回の黒○氏の定年延長騒動に関して、
「どっちにしろ内閣総理大臣が任命するのだから、
問題は無い」
と、
日本人の敵が出張していたけど、
『有利になる人』がいなければ、
つまり、
『不利になる人』がいなければ、
利害の調整の場である政治に、
登場するわけ無い。
ただ、
当の阿○総理自身、
(何で? こんな法案を出すのかな?)
と、内心では、思っていただろう。
この騒動の本当の狙いを、
阿○総理に教えても、
無意味だから、聞かされていないはずだ。
当たり前の話だが、
日本が発展しなくなってしまったのは、
ルールや制度を、
【日本人が不利】に変えたから。
もちろん、
表面上は、
『日本人が有利』な様に技巧が凝らされている。
でも、
人間の感覚は鋭敏だから、
(自分が有利なのか? 不利なのか?)
は判っている。
確率は計算出来ないけど、
【Aが有利】と確信を持てる様に。
では、
何故?
日本は発展しなかったのか?
だが、
それは、
【日本人が不利】になる政策を支持する人達が増えたから。
「リア充、爆発しろ!」
は、
冗談では無い様だ。
日本人を妬んだ人達は、
「中国が~、朝鮮が~」
と、
日本を省みる事を嫌う。