元旦と新年の神社手伝い
「新年は人手が足りないから手伝ってほしい?」
「ケンちゃんお願いっ!給料も勿論出るから!」
朝、俺の幼馴染が訪ねてきた。彼女は代々稲荷神社を経営する一族の娘で、こんなクソ寒い朝に訪ねてきたのは特に忙しいこの時期に神社のバイトをして欲しいと俺に頼む為だという。
「まあ話も聞かずに駄目とは言わないけどよ、そんな忙しいなら何で去年一昨年は頼んで来なかったんだ?」
「えーっと実はね………」
そういって彼女は事のなりゆきを説明してくれた。
彼女の説明によると、今年放映されたある日常系アニメで主人公達がよく屯ろしている神社。そこのモデルが彼女の一族が経営する稲荷神社でそれを宣伝したら聖地巡礼に結構人が来るようになったらしい。それで初詣に町外から来る人も結構出るだろうという事で人手が足りないそうだ。
「オーケー。で、いつから?」
「やった!やってくれるのね!で、アルバイトは12/30から1/7まで!30日はバイト説明と倉庫整理。それ以降はお守り販売ね!」
「結構重労働じゃねぇか…まあ寝正月よりマシか。欲しいゲームもあるしな」
「じゃ!ということでよろしく!」
そう言い残して彼女は去っていった。
〜2日後、稲荷神社境内。〜
「よう、来たぞー!」
そう境内にある彼女の家の前で呼ぶとすぐに奴が出てきた。
「来たわね!早速だけどバイトの説明をするからついて来て!」
「あいよ。」
〜説明中〜
「…というわけ。わかった?」
「理解した。」
「じゃあ次は倉庫の整理ね!神社のすす払いは12/13に済んでるけど倉庫だけやってないのよね」
〜倉庫〜
倉庫の扉を開ける。
バタン
「うわっ!埃が凄いな…」
「よ、よし!やるわよ!覚悟はいい?」
これもしかして一年どころか数年は掃除してないのではないだろうか…安請け合いし過ぎたかな…
鼠の木乃伊を見つけたり紐に通された銭を見つけたりしながら掃除をし、半ば終わりかけの時に変なものを見つけた。
「おい、床になんか収納あるぞ?」
「うわっ…母さん床下あるなんて言ってなかったんだけどな…中見てみよっか。」
「んじゃ、オープン…!」
そう言って俺は床下収納の扉を開けた。
「…桐の箱?ずいぶん大きいな。開けるか?」
「じゃ今度は私がオープン!」
そう言って今度は彼女が桐箱を開けた。中には巻物と……衣?毛皮?なんだこれ?
「ええっと…何これ?」
彼女はそういいながら中身を取り出して中身を広げる。どうやら二枚あるようだ。そうして広がったそれを見ると、腹側は白く、背中側は橙色で三角形の耳と尻尾を持つ。そんな特徴を持った獣を人間に近付けて、毛皮だけにしたらこうなるだろうというものだった。
「うーん?巻き物の字が達筆で読めん」
なにか手がかりは無いかと俺は巻き物を広げてみる。だが、達筆すぎて読めなかった。
「あ、ちょっと見せて。私読めるかも」
そう言うと彼女は巻き物を受け取り読み始めた。さすが神社の娘は違う。一般家庭の俺とは大違いだ。
「んーっと?だいたい読めたから内容を要約すると、
・人間が神使として振る舞うための祭具
・祭事での舞や新年の挨拶等の催しはこれを着て行う。
・使い方は素っ裸で背中にある切れ目か着る。
・着れば神通力を行使できる。
・二枚共にほぼ同じ姿だが、雄型と雌型がある。
永正十年三月十五日記。だいたい西暦1500年でうちの神社ができた前後だね。
しかしこれ洗ったばっかみたいに綺麗…もしかして本当に神通力使えるかもだし試してみる?」
「掃除も終わったしいいけどその前に社務所でシャワー浴びさせてくれ…埃で鼻水まで黒くなってるし…」
〜〜〜〜〜〜
そんなこんなで社務所に行き、お湯を沸かして風呂を貸してもらう。ちょうどよい温度のお湯は身体の疲れを溶かしてくれるようでとても気持ちいい…
「ふう…もうそろそろ出よう。次あいつも入るしな」
そう独りごち、ざぶぁと音を立てて出る。外に掛けてあったタオルを取り、それを使って髪と身体に着いた水分を拭き取る。そうしたら次はカゴに入れておいたパンツを履き……履き……って
え?
「おいィ!?お前俺の着替えの服どこやった!?さっきの変な毛皮しかねぇじゃねぇか!?」
なんとそこにはさっき倉庫で見た獣人間の毛皮が置いてあり、俺が家から持ってきてここに置いておいた着替えはどこにも無かった。
「だって身体洗いたてのほうがそれも汚れないしいいでしょー?」
「バカかおめぇせめて髪が乾いてからにしろよ!?あと神社の備品に俺の俺のチ○コ直付けする事になるがいいのか!?」
「別にいいよー。本当に五百年ものなら何度も男が付けてるだろうしそうでないなら別にそんな価値無いだろうし」
そう、社務所の居間にいる幼馴染と大声で掛け合う。
クソっ…いくら幼馴染の家とはいえヒトんちでフ○チンで出歩くわけにゃいかねぇし…
「ええい、後で臭くなっても知らねぇぞ!?」
そう言って俺はその獣人間の毛皮(?)を手に取った。
「クンクン…そんな臭くは無いか…」
洗いたてのネコのようなイヌのような甘いような不思議な匂いがする。だが決して不快な匂いではなくむしろ好ましい匂いだ。
毛皮をまさぐり背中の切れ目を探す。毛並みはさらさらふわふわとして気持ちがいい。そう思ってるうちに切れ目を見つける。切れ目を見つけたら切れ目を開くように持ってバサバサと振り、毛皮が広がり、中に空気が入って着やすくなった。
「んー…これちょっと小さいな。
どうやら少しは伸びる素材で出来てるようだし、
まあフ○チンで出歩かなければいいから下半身と腕だけ通して背中から頭まで出してりゃいいか。」
広げてみるとその毛皮は恐らく身長160cmくらいだった。170ほどの俺の場合、猫背状態で背中出しながら着て身体の前面を隠すのは出来そうだが、ちゃんと着るにはちょっと小さい。昔の人は小さかったと言うから男でも着れたのだろうし、後で着れてないのを見せた後、服を返してもらって着替えよう。
まあ素っ裸のままで出歩けないので、風呂場にある踏み台に腰掛け、まず毛皮の背中の割れ目から脚を通す。足の指先を毛皮の足指に入れ、かかとまで入れたら今度は立ち上がって、脚をぎゅっぎゅと長靴下を履くように入れる。そして腰まで毛皮を引き上げ、そのままへそ辺りまで毛皮を引き上げると尻、股間の上まで毛皮で覆われてしまう。
次に毛皮に腕を通し、おおまかに入れたら足と同じように指先を毛皮の手指に通す。そして腕の皺を伸ばし、そのまま肩まで入れてしまう。そして背中まで切れ目を持っていく。
……って
「着れちゃうもんだなぁ。ちょっと伸びる素材で出来てたからか?」
頭の毛皮やそれに着いた金色の頭髪が目の前でゆらゆらと揺れて鬱陶しいが頭は入れない。流石に髪の毛が濡れてる状態で入れるのはマズイだろう。
「よし、さっさとあいつに服返してもらうか。
……?しかしなんか違和感あるような」
脱衣所を出て、すぐに居間に出る。あいつは……どうやら隣の部屋にいるようだ。
「おい、着たぞ!これで満足したか?はよ服返してくれ!」
そう言うと俺の声が聞こえたのかすぐに襖が開く。…ん?なんか硬直してる
「おい、どうした?」
「えっえっ…」
とうとう壊れたのだろうか?
「おい…」
そう言いながら彼女に近付く。
…あれ?こいつでかくなった?俺より小さかったような気がするん「うわうわ身長が縮んでるー!?まさかマジで本物神通力使えちゃったりすんのというか肩幅も狭くなってるしおっぱい付いてるしチ○コらしき膨らみもないし尻尾動いてるしなんで気付いてないアホなのバカなの死ぬの!?」
…っえ?
そう言われて身体を見下ろしてみるが、毛皮の頭や毛皮に生えた髪の毛が邪魔で見えない。
「ほら、こっちに姿見あるから!」
さっき彼女が出てきた部屋に手を引かれていく。風呂を出たばかりなので彼女の手を冷たく感じ、また、いつもよりこいつの手のひらを大きく感じる。
「ほら見て!」
「……おお、」
そう言われて姿見の前に立つ。鏡には普段の自分より明らかに肩幅が狭くなり、脚はすらりと長く腕は明らかに細くて、下腹部はのっぺりとし、胸はそんなに大きくないが明らかに膨らんでいた。そして腹側には白い毛が。背中側には黄色の毛が生えそろい、胸はいっそう深い毛に覆われている。腰からはもふもふとした尻尾が生えて、ゆっくりと左右に揺れている。
女性と狐を融合させたらこんな風になるだろう。だが、そのその上にあるはずの本来の頭はそこにはなく、頭から上だけ男のものにすげ変えたようなーーつまり俺の頭だった。
「うわっ、首から下までなんか全部別人みたいだ。俺の頭だけ他よりパーツ大きいしアンバランスでちょっと気持ち悪い。」
「あ、私風呂入って着替えなきゃ!入ってくる!」
俺が鏡の前で百面相してる間にあいつはそう言うと小走りで風呂に行ってしまった。おい!着替えどこにやった!?
そう言っても彼女は風呂場から「そのまま待ってて〜」と返すばかり。仕方がないので毛皮をあれこれしたりしながら彼女が出てくるのを待つ事にした。
十五分後
「やほー!風呂出たよ!」
あいつがそう言って風呂場から出てきた。文句を言ってやろう
「おい、着替えどこ……ってお前もそれ着たのか!?たしかに二着あったけど!」
なんと彼女は俺の着てる毛皮のペアを着ていた。
その外観は俺の着てる毛皮とほとんど同じで巻き物にはメス型オス型あると書いてあったがどちらも股間も同じくのっぺりしているしおっぱいも付いているので両方メス型なのではないだろうか。彼女も同じく頭だけ毛皮に通していなかったが、俺と違い元々160くらいなのであまり不恰好ではないが。
「うんこれやっぱ凄いよ!尻尾まで感覚あるし冷たい水触ったらちゃんと解るし!」
確かにそれは俺も感じていた。
彼女が出るのを待ってる間に尻尾を動かせないか試してたら結構すぐに自分の意思で動かせるのだ。尻尾触ってみたら感触あるし、手先脚先の皮がずれる感触はあっても皮が余るような感覚はない。170cmを160cmまで縮め、決して華奢ではない男の体型をほとんど圧迫感無しに華奢な女性の身体に矯正してしまう。
本当に神様や陰陽師が昔いたのではと思えるほど高性能だ。
「あっ、そういえばこれ使って。」
そうして彼女が差し出したのはドライヤー。
「髪乾かして頭も入れたみてよ!私が入ってる間にドライヤー使ってくれてもよかったのに。」
「人様の家のドライヤーの場所なんぞ分からんわ!!」
ドライヤーで生乾きだった髪を乾かしそれを彼女に渡し、こんどは彼女が髪を乾かし始める。
「ほら、髪乾いたし頭から被ってよ。」
ええい、うるさい。
そう思いつつ首を縮め、目の前にぶら下がってた狐娘の頭に首筋から俺の頭を入れる。視界が暗くなるが、ズレを修正すると、一瞬顔面に強く何かが張り付く感触があった後、目を開けると視界が開けた。
. . . . . . . . . . .
まるで何も付けていないようだ
「これで満足か?」
彼女に向きながら言う。
「…おおぉ!すごい!ケンちゃんかわいい!というか今、口動かして喋ってたよ!?人間と違って長い口なのに動かせてるよ!?」
言われて気づく。確かに今喋った時、アゴに毛皮が触れたような感覚が無かった。もしやと思い舌で歯をなぞってみると、ぎざぎざとした歯の感触を感じる。肉食獣のような歯の形だ。
「おっし、私も頭乾いたし付けてみるね!」
そう言うと彼女は頭を被った。
「ふう。こんこんっ!どうかな?キツネっぽい?」
こうして他人が着てるのを見ると本当に物語の中の狐娘が飛び出してきたようだ。鏡を見てみると同じような姿をした狐娘がもう1匹いる。今俺はその狐娘になっていると思うと本当に不思議な気持ちだ。
「ねぇ、どうせならこの毛皮着たまま初詣の接待やらない?あの巻き物にも“新年等諸々の行事はこれを着て行うって書いてあったし!」
「えぇ…嫌だよ。それにお前の親がそんな風にふざけるの許さないだろ?」
「じゃあもしママとパパが許してくれたらいいって事だね!その時はケンちゃんも着て仕事してね!」
彼女は両親の説得に行き、なんとあっさり許可されてしまった。どうやら例の日常系アニメで狐獣人の双子が出てくるらしく宣伝になるだろうとの事。くっそ言質取らすんじゃなかった。
「しかしまさかあの時はこんな事になるとは思ってなかったなぁ…」
「ホントだよねーまさか神様が顕現して神使として一年勤めあげる事を言い渡された挙句毛皮が脱げなくなっちゃうなんて」
あの後、俺たちは新年を毛皮を着たまま迎えた。社務所でおみくじを売ったり時にカメラを持った人に「ふぉぉぉお!リアルケモ娘!」とか言われながら撮られたり。その後、ネットで拡散して大量に人が来たりして、そしたらバイト終わりがけの時に今度は
「信仰が復活して妾も復活!まさか今の稲荷神社の信仰の半分を一神社が担うとは!よし、功労者のお前たちはひとまず神使として一年勤めあげる事を命じる!褒賞として様々な加護を与えよう!」
と、宇迦之御魂神、まあここの祀神が復活して神使にされたのだ。
「昨日のケンちゃんは可愛かったねー。ほんともう淫乱メス狐って感じ!」
「うっせぇ…」
そして宇迦之御魂神ーー彼女は幼馴染に“狐は陰の生き物なので雄でも女性型になる。だが、雄なら性器は雌雄両方使えるぞ。”なんて吹き込みやがった。
おかげで幼馴染に生えたちんぽで気持ちよくされるなんて事になってしまった。
「また今日もやろうね……❤️今度は二人とも女性でね。」
彼女の声を聞いてぞくぞくとした感覚が走る。
狐は化ける生き物だ。メス狐でも少し練習すれば両方の性器を使えるという話なのに俺は一向に出来ない。もしかすると俺はこいつに屈服させられるのが好きなのかもしれない。
今の自分に瓜二つの狐娘。それにいじめられながら快楽を享受するだけのメス狐になってしまうのを考えると、俺のすっかりメスになってしまった股がじゅん…と濡れるのを感じた。