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 番外編44:『主に狩猟で成り立つ世界・親玉対決編』

 いつも私の拙い妄想しょうせつを読んで下さりありがとうございます。



 時間……足りません。

 ネタ……出てきません。

 更新……だけはしたいです。

 という私のわがままだけで作られた番外編です。


 番外編で日曜日を迎えたら好き放題やらせていただいております。


 今週も本編制作が間に合わず、引き続きの『主に狩猟で成り立つ世界』です。

 どうか読み終わった後は忘れ去って頂けましたら幸いです。

                          2018/11/18 何遊亭万年

 この話は現代日本(?)の話。

 全生徒が部活動に参加する事が義務付けられた学校の話。

 シーリン達から見たら異世界の物語。




 部活動へと必ず参加を義務付けられた学校で他の部活に馴染めない問題児達が四人。

 彼女達は部活をこっそりさぼり逢引きするカップル達の聖地『屋上』で騒がしくゲーム中。


 携帯用ゲームの名は『銀色の月の満月の夜』。

 携帯用ゲームを取り扱うショップに行けば必ず置いてある程の製造本数を誇る。

 リアル過ぎて『クソゲー』と言われ、ワゴンセールでも束で売れ残っている迷作だ。

 これから初心者の壁と言われる走り蜥蜴とかげの親玉を倒しに行くところである。



「みんな。今度こそ準備は良い?」


 屋上全体へ東海林しょうじつかさの無駄に大きな声が響く。

 彼女は天然で残念な怪獣の仇名を付けられる程の美少女だ。

 今回の使用キャラクターは上級者向けの斥候用キャラクター『シーリン』である。



「イージーモードで良かったな。リアルモードなら既に制限時間で終了だった。」


 彼の名前は栗戸くりど由宇ゆう

 司の幼馴染兼サンドバックで髪型の数だけ好みの女性がいる変態である。

 今回の使用キャラクターは破壊力だけが唯一の救いである後衛『ユークリット』である。



「イージーモードだと街中で一旦停止が出来るのですね?」

「ああ。異原いはらのフィールドでは出来ないから注意しろよ?」 

「正確には一旦停止では無いの。電源が切れていた時間は『棒立ち状態』でキャラクターはゲームの世界で生活しているわ。リアルモードだと電源を付けた瞬間に排〇して汚物が地面に撒かれていたり、最悪は餓死していたりするから注意が必要よ!」

「それは『たまゴッチ』よりも画面の中が大変な事になりそうなゲームですね?」

「そうね。でもそこがこのゲーム最大の売りよ!」


 敬語で話す彼の名前は根本ねもとあきら

 男子用の制服を着ていても可愛い女の子に見えてしまいそうな男のだ。

 今回の使用キャラクターは超上級者でしかどうにか出来ない地雷前衛キャラ『ネモ』だ。


 完全に余談だが『たまゴッチ』の正式名称は『たまにはゴチソウしてよね!』と言う白黒液晶モニターのドット絵で画面が表示される超小型携帯ゲームである。

 ゲーム内にいる恋人は食べ物の世話から下の世話まで毎日毎日面倒を見る必要がある。

 社会現象になる大ブームを引き起こした『恋人介護予習ゲーム』の別名があるほどの名作。


 誕生日プレゼントに母親から引き継いだ晶の宝物だ。

 彼の所持する『たまゴッチ』はテストセールス時の完全に初期生産版で、持っていくところに持っていくと、とんでもない値段になるが、四人は誰一人として、その真実を知らない。



「………………」


 脇目も振らずキャラクターの操作確認をしている彼女の名前は黒井くろいつる

 完全に学力違いな学校に入学して教師陣を喜ばせた後、司と由宇に関わり、急速に二人の色へ染まり現在では『学力だけはずば抜けて高い』問題児の一人となった。

 今回の使用キャラクターは最強デフォルトキャラと言われる熊族前衛『ベルガー』である。



 再び四人は城門をくぐり異原いはらのフィールドへと進出した。

 突然由宇の画面一杯に血が派手に飛び散り生命力(魔力)メーターがほとんど無くなった。


「鶴さん。鶴さん。一体あなたは何をしているのですか?」

「…動きの切れ目が無い攻撃をつなげてみた…」

「鶴さん。鶴さん。どうしてユークリットを攻撃したのですか?」

「…一番頑丈そうだったから?…」

「翻訳すると『連続攻撃でどのくらいの攻撃力があるか試したかった』で合っているかな?」

「…そう…」

「よし、良く分かった。ユークリットは一歩も動けなくなった。このままだと出血死する。教会に運んで回復魔法をユークリットへ掛けてやってくれ。」

「見なさい!あたしが選んだキャラクターが正解だったでしょう!!」


 司が由宇へ『ドヤ』と変顔をきめる。

 とりあえずベルガーが教会へユークリットを運んで回復魔法を掛けてもらった。

 この大怪我でもリハビリ要らずで戦線に復帰出来るのは確かにユークリットの強みだ。

 城門で四人が再合流を果たした。



「今度こそ出発よ!走り蜥蜴の親玉は林の中に居る事が多いわ。端から潰してまわるわよ?」

「林の中に居るのですか?林の中は木が邪魔で画面が見にくいです。」

「このゲームには、大体は林一つにつき、一つの走り蜥蜴の群れが居る。林の周りを廻りながら『獣道』と言うか『魔物道』を探すのが王道の討伐パターンだな。」

「…どうして?…」

「正解は作った奴に聞かないと分からないけど、魔物道が出来るほど多くの走り蜥蜴が通るからだと言われていて、走り蜥蜴が多いから親玉も現れるって話だな。」


 鶴が由宇へと自分の画面を見せながら聞く。


「…ここは?…」

「そう。鶴。ここだよ!司。鶴が魔物道を見つけたから、ちょっと中を見てきてくれ。」

「ちょっと!リーダーはあたしよ?」

「そいつは悪かったな!リーダー。魔物道を鶴が発見したけど、どうする?」

「勿論、中を見てくるわ。あなた達はあたしが帰って来るまでここで待っていなさい!」

「分かりました。」

「…分かった…」



 司が魔物道へと入って行き、偵察をして帰って来るまで、由宇は周りを見張った。

 晶と鶴が返事を返すと、それぞれがキャラクターの基本操作を繰り返す。

 晶の動きは進歩が無いが、鶴はどんどん上手くなる。



 ベルガーは初心者向けではあるが、体重が重く移動攻撃も連続攻撃も本来は苦手である。

 このゲームにはキャラクター毎に『コンボ』と呼ばれる連続攻撃や移動攻撃等の特殊な攻撃方法が用意されている。

 ベルガーの『コンボ』は受付時間がシビアでタイミングもそれぞれ違う。

 他のキャラクターのようにボタン連打では絶対に次の攻撃へは繋がらない。

 鶴はそれをいとも簡単に数々の『コンボ』を行っていた。



 その点で行くと晶が使うネモは『コンボ』が繋がりやすく派手な技が多い。

 ボタンを押したら押しただけ無条件で『コンボ』が繋がるくらいに簡単に繋がる。

 問題点は『コンボ』が繋がりやすく派手な割に威力が全く無い事だ。


 ネモを使った達人達の数少ない動画のほとんどが『ネモのコンボを繋げたまま○○を倒した』と言う名の多彩で分岐が多いネモの『コンボ』で魔物の攻撃を避けながら最後までコンボを繋げたまま魔物を倒す動画だ。

 圧倒的に足りない火力。

 圧倒的に貧弱な生命力。

 なんの為に存在するのか怪しい使えない『コンボ』。

 それらを全て駆使して『最初から最後までオレのターンな神動画』が作られる。


 使える人間が使えば強いと思えるネモが地雷なのは、他の人から見たら邪魔でしか無い為。

 自由自在に不規則に動き回るネモ。

 他の人から見たら時間当たりのダメージ量がネモは低すぎて邪魔だ。

 魔物とネモをまとめてぶっ飛ばした方が効率が良いのである。



 しばらくすると司が偵察先から三人に声を掛ける。


「みんな来なさい!親玉が居るわ。手下も数匹居るのが厄介ね。みんなが移動している間に作戦を立てるわよ。」

「オーソドックスに行けば親玉は正面からベルガーに抑えてもらって横からユークリットの投げ槍がメインじゃないか?」

「…頑張る…」

「そうね。シーリンは大型の魔物相手には向いていないから、今回は鶴っちと由宇に美味しいところを譲るわ。」

「僕はどうしたら良いのでしょうか?」

「晶くんはあたしと一緒に手下を倒してまわるの。あたしについていらっしゃい!」

「よろしくお願いします。」


 作戦と言う程の事は無い作戦がほぼ司と由宇によって決められる。

 残り二人が初心者なのだから仕方無い。


「やっぱりイージーモードは良いな。リアルモードだと会話をマイクが拾って魔物がこちらへと気付くからな。リアルモードだと本当にやっていられないよな?」

「あんた莫迦ばかね!そこが楽しいんじゃないの!!」

「…楽しそう…」

「さすが鶴っち!分かっているわね!!」

「僕はイージーモードで良いです。僕にとっては全然イージーじゃありませんけど。」



 司が操るシーリンがいる場所へと四人が集まった。

 魔物道から先、少し開けた土地がある。

 走り蜥蜴の親玉は林の中にある開けた土地を好む習性がある。

 今回も例に漏れなかったようだ。



「親玉が見えるな。気付くまでユークリットの投げ槍で攻撃するけど良いか?」

「あんたのキャラがそれ以外で強みがあるの?」

「俺のキャラを選んだのはお前だよな?」

「そんな昔の事は忘れたわ。とにかく投げられるだけ槍を投げなさい!」



 ユークリットと言う名のキャラクターの投げ槍は一撃の攻撃力が高い。

 だがそれだけだ。

 助走には時間が掛かり、場所も取る。

 助走の角度から槍を投げる角度がずれたらずれただけ威力は激減していく。

 ネモと同じで達人が使えば強いが、強力な攻撃も攻撃回数が限られており、場所を選び、予備動作も大きい。

 完璧な状態で槍を投げられたなら一撃のダメージは最強クラスだが、13本しか槍を投げる事が出来ない為、魔物に与える総ダメージ量は技量の差が思いっきり出る。

 因みにユークリットの神動画はほとんどが『小刀一本で○○を倒した』である。



 敵が気付いていない最初の一撃。

 ユークリットの最大にしてほぼ唯一の見せ場。

 これだけは外してはいけないと気合を入れる由宇。

 ユークリットが助走を開始したところで由宇の左肩に『ポテン』と重みが乗った。

 突然の事に投げ槍の攻撃タイミングを外す由宇。

 投げた槍は親玉の足元へと刺さった。


「鶴さん。鶴さん。俺の肩にあごを乗せて何をやっているのですか?」

「…わたしの画面だと良く見えないから由宇の画面で見てる…」

「あんた!何を外しているのよ!相手が無傷でこちらに気付いたじゃないの!!」

「いや。ここは鶴を怒ってくれよ?」


 司は『ジトッ』とした目を由宇と鶴に向けて、次の指示を出した。


「とにかく気付かれた以上は突入するわよ?みんなあたしについて来なさい!」

「僕も行くのですか?」

「当然よ。良いからあたしについて来なさい!鶴っちのベルガーは親玉に向かって。」

「…分かった…」

「由宇は好きにして。今度は上手くやりなさいよ!」

「分かったよ。味方を巻き込まないように上手く槍を投げるからな。」

「そこはあんたに任せたわ。」



 司が操るシーリンが一番に手下の群れの中心へと向かい突撃する。

 そのシーリンへと晶が操るネモが続く。

 鶴が操るベルガーはシーリンと走り蜥蜴の親玉の間を塞ぐような位置を取り、シーリンを護ると共に、親玉と手下を分断した。

 そして由宇が操るユークリットはこそこそと広場の端を回り込みながら親玉の側面へとたどり着く。



 鶴のベルガーは実に初心者らしい堅実な運用だった。

 親玉の攻撃を高い防御力と生命力(魔力)を活かして、正面から受け止める。


 司は「あたしの方が上手いわよ!!」と豪語しただけの事はありシーリンの特徴である移動攻撃を完璧に使いこなし、群れの中を泳ぐように移動しながら、手下達へと確実にダメージを与えていく。


 晶は3匹の手下を引き連れて林の中の広場を縦横無尽に逃げ回る。

 敵戦力の分散と言う点において、十分に役に立っている。


 由宇は問題を抱え込んでいた。

 ユークリット『固有スキル:ヘタレ』が発動。

 鶴の援護に親玉へ近づく事も出来ない。

 槍を投げようにも、司と晶が動き回る為に、射線の中に二人のどちらかが入って来る度に投げ槍行動の助走をキャンセルされてしまう。

 地雷キャラであるユークリットの本領を完全に発揮していた。



 そんな中、晶のネモまでもが『固有スキル:英雄願望』を発動する。

 この固有スキルはユークリットとは逆で相手から遠ざかる事が出来なくなるスキルだ。


「栗戸さん。助けて下さい!キャラクターが動きません!」

「英雄願望か?くそ!ユークリットの最大奥義を使う時が来たな!!」


 走り蜥蜴が晶の使うネモを噛みつきで攻撃してきた。

 ネモを突き飛ばしユークリットが走り蜥蜴の攻撃をその身に受ける。


「今だ!やれ晶!!ユークリットの生命力が無くなる前に、走り蜥蜴を倒せ!!」

「ごめんなさい!栗戸さん。ごめんなさい!」

「大丈夫だ。ユークリットの生命力はベルガーには負けるがかなり高い!落ち着いて倒せ。」


 晶が攻撃ボタンを滅茶苦茶に押すがネモの攻撃は止まらない。

 ネモの良い所を存分に発揮して、晶は走り蜥蜴を倒した。

 ユークリットもまだ生きている。

 安心する間も無く、次の走り蜥蜴がユークリットへと噛みついた。

 晶のネモがユークリットに噛みつく走り蜥蜴へ再び『コンボ』を決め続ける。

 そんな行動がしばらく続く……


 

 圧倒的な勢いで進化しているのは鶴のベルガー。

 相手の攻撃予備動作はすでに見切り、予備動作が起きてから、どこまで攻撃が追尾してくるかも見切り、最小の動きで相手へと反撃を繰り返していた。

 鶴に取ってこのゲームは既に作業の領域へと達していた。

 走り蜥蜴の親玉の攻撃の種類に合わせて、最小限に避け、最大限にコンボを決める。

 相手が反撃をしてくる前には自然体へと戻り、次の攻撃に合わせて最適な動きを繰り返す。



 由宇のユークリットの生命力がぎりぎりになると、今度は晶のネモが肉の壁となった。

 ユークリットに対してネモの生命力は低い。

 凄い勢いでネモの生命力が削られていく。

 そして、ネモの生命力が切れる直前に、全ての手下を倒した司のシーリンが駆け付けた。


「二人共、ナイス『肉の壁』!!」


 司のシーリンが残りの手下を全滅させる。

 それと同時に鶴のベルガーも親玉の単独討伐を果たした。

 とても初ゲームで初心者のやる事では無い。


「ナイス!鶴っち!!」

「…んっ…」


 司と鶴は二人でハイタッチを決める。

 その後、ぎりぎり生き残った由宇のユークリットと晶のネモに司が一言掛ける。


「ね?囮キャラとしてはユークリットもネモも優秀でしょ!これだけの大怪我をリハビリ要らずで戦線復帰出来るのよ?次も肉の壁として頑張りなさい!!」


 由宇と晶の二人がその言葉へと返事を返す事は無かった。




 何はともあれ四人は『銀色の月の満月の夜』を生き残ったのである。

 いつも私の拙い妄想しょうせつを読んで下さりありがとうございます。



 先週の番外編37:『主に狩猟で成り立つ世界』を読んだ後に、元となった作品を読みにきて下さった読者様へと深く感謝申し上げます。



 いつもと同じ挨拶にはなりますが、

 ブックマークをしてまでお読み下さる読者様、

 毎日更新する度にアクセスして下さる読者様、

 余暇が出来た時に一気読みして下さる読者様、

 タイトルとあらすじに釣られて試し読みされる方、

 全てのアクセスして下さる皆様に『やる気』燃料をいただいての毎日更新です。

 皆様の日頃よりのアクセスを本当に感謝しております。


 

 色々と足りない未熟者ですが、今後も末永くお付き合いを頂ければ幸いです。

                            2018/11/18 何遊亭万年

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