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新たなる異世界人

 いつも私の拙い妄想しょうせつを読んで下さりありがとうございます。


 長い長い番外編にも関わらず離れて行かなかった全ての読者様に感謝します。

 ようやく本編に戻る事が出来ました。

 もう本編を忘れた方も多いですよね?


 なので、簡単に前回までのあらすじを3行で


・ドカチーニと悪魔の6日間契約、契約書はしっかり読まないと駄目だと再認識。

・生還を果たしたアルフィアにフィーナが港の子供達とシーリンから魔力をもらい四肢再生。

・金色の満月の夜を無事(?)乗り越えて帰還、ベスとアンに「ただいま」を言おう。


 「番外編の方が面白い」と言われないように本編も頑張りたいと思います。

 一人でも多くの読者様に読んでもらえる事を願って本編の再開です。

 ドカチーニさんの執務室にある隠し地下室から16人ものヒトが出てくる。

 10人の子供達はお礼を言うと斡旋屋から去っていった。

 全員持てるだけ食料を持って去っていくのは愛嬌か?

 誰も文句を言わないようだし、問題ないのだろう。

 

 16人収容して平気な地下室。

 『一体どれくらいの広さがあるんだ?』と疑問に思ったが、金色の月の満月の夜の次の朝はドカチーニの斡旋屋は通常営業。

 営業開始時間も遅くなり、ドカチーニさんもシーリンさんもベルガーさんもいつもよりも更に忙しそうに働き始めたので、とりあえず自分の好奇心は引っ込めておいた。



 いつものように朝食を取るが、最近フィーナさんと席が一緒になる事が増えた。

 俺としては、マリーが立ったままなのが気になって仕方が無い。


 一応「席代わろうか?」と聞くが返事は無く、マリーはすまし顔のまま立っている。

 悪い気もするが俺はそのまま朝食を食べる事にした。


 ベスやアンはマリーを気にする事なく、食事を取っている。

 『異世界の文化なのか?』と思う事にするが、正直俺には馴染めない。

 今日のフィーナさんは二人きりの時と違って静かに食事を取っている。


 俺はマリーの事を気にしない為にも、地下室の様子をベスに聞く事にした。

「ベス。地下室はどんな感じだったんだ?」

「広かったですよ。柱が何本も建っていましたが、この食堂くらいの広さはありました。」

「そんなに広いのか!?他には何があった?」

「色々ですね。フィーナさんの鎧の隣に、もう二つ鎧が木製人形に飾ってありました。武器なんてヒトが持てないのじゃないかというほど巨大な剣とか鎚とか盾とか色々と置いてありましたよ。一番驚いたのは巨大戦闘人形が不完全とは言え存在した事ですね。他には井戸はありましたし、食料も保存食ですが結構置いてありました。トイレも準備されていましたし、本気で地下に籠城出来そうでした。」

 興奮しているのか一気に話すベス。


「あの鎧はシーリンちゃんの両親の物よ。」

 フィーナさんが会話に参加してきて教えてくれた。


「ドカチーニったら、修繕して大切に取って置いてくれたのね。丁寧に手入れも行き届いていたわ。とても二十五年も前の鎧とは思えなかったわよ。」

 フィーナさんは昨夜の鎧をまだ着ている。よほど嬉しかったのだろう。

 俺は重い左腕の鎧は外して、すでに床の上に置いている。


「シーリンさんの両親はどうしたのですか?」

「それはあたしが話す事じゃ無いわね。あたしも又聞きになるの。ドカチーニかシーリンちゃんに直接聞きなさい。あたしは先に行くわね。アルフィアちゃんの様子が気になるわ。」


 朝食を食べ終わったフィーナさん。

 マリーはフィーナさんが食べた食器を厨房まで片付けると病室の前へと移動する。

 マリーはいつ食事を取っているのだろう?

 聞きたくても彼女は俺と一切話をしようとしない。



「それでベス。俺が一番気になる事聞いて良いか?巨大戦闘人形ってなんだ?」


 もしかしてロボか?乗れるのか?


「赤色の月の満月の夜に戦う為の兵器です。敵の兵器を鹵獲ろかくして使っています。」

「ほう。俺も使えるのかな?」

「使えません!!」

「本当に?」

「使えません!!」

 なんか、赤い瞳の炎が激しくなってきている。

 アンに本当か確認しようとしたら、青い瞳が氷のようだ。



 この話はこれ以上聞くのは止めておくか。

 それに俺も昨夜は徹夜したから眠いしな。

「さて、俺も今日は部屋で寝て過ごすかな。」

 本当に今日はゆっくり寝て過ごそう。

 ドカチーニさんとの契約で銭も多少の余裕が出来たはずだ。

 今日くらい休んでも新月までに家賃も貯まるだろう。

 寝て起きたらしっかり計算してみよう。



 そう思い自室に向かおうとした時に、頭を凄い力で握られた。

「ユークリットォォ。俺との契約はどうした?今日も良いと言うまで訓練だ。徹夜明けとは今日は良い鍛錬になるな!冒険では徹夜での行動など日常茶飯事だぞ?」

「イエス!サー!」

「ふむ。意味は分からんが、了解したと受け取ろう。無論左腕の鎧は付けて槍を突けよ。」

「イエス!サー!」

 頭を握り潰される前に左腕の鎧を付けると槍を持って裏庭へと直行した。


 ベスとアンが可愛く手を振ってくれているのが唯一の救いだ。

 さっきまでのぷりぷりした態度がやわらいでいる。

 2人共、最近急激に可愛くなった。

 特に髪の毛が輝いて見える。

 これが、親族の愛情ってやつかな?



 うだるような暑さの中、1人で丁寧に一回一回動作を確認しながら槍を突く。

 徹夜明けという事もあって、思考にもやが掛かってきた。

 そんな中、ようやく自分がベスとアンに「ただいま」を言ってない事に気が付いた。


 2時間近くは頑張ったが、限界だ。


 左腕の鎧も目玉焼きが焼けるほど熱を持っている。

 水を掛けて鎧を冷やした後『5分休憩』と心の中で言い訳をして、左腕の鎧と貫頭衣を脱ぎ捨て洗濯場の溜池へと飛び込んだ。



 まさに水風呂。

 気持ち良さが爆発だ。

 仰向け状態で大の字。

 目を閉じて、少しの間水の中をたゆたう。



「ぐぼヴぁがくごばわ!」

 いつの間にか完全に寝ていた俺は水に沈んだ状態で目を覚ました。

 どうやらシーリンさんが槍の石突を使って、俺を溜池の底に沈めているようだ。

 石突は確実に喉の急所を突いている。


 穂先で無く石突なのがシーリンさんの優しさです……多分。


 水底で四肢はバタバタと動かせるが、石突で押さえられたところはピクリとも動かない。

 水底から見るシーリンさんはいつもの笑顔だ。

「人が洗濯に来てみれば、館長との契約を破って良い身分ですね?」

「ごヴぇんヴぁざい。」

 水の中で声にならない声をあげる。

 口だけでシーリンさんが許してくれるはずが無かった。



 最後の息を吐いて、四肢をバタバタさせる体内酸素も無くなり、水面が静かになった頃、ようやく許されて水面に顔を出せました。

 死んだ祖父じいちゃん達と祖母ばあちゃん達が手を振っていたのは幻覚ですよね?


 最近、シーリンさんの俺に対する扱いがひどくなっている気がします。


 鼻から水も飲んでしまい、とても痛いです。

 鼻の中を水で洗うヒトもいるそうですが私には信じられない行為ですね。

 洗濯場の水の中から何とか自力で這いずり出る事が出来ました。


 再び、裸一貫『隠すものは何もない』と言う気持ちを表した私流の最上級の土下座を今度はシーリンさんに披露します。


 シーリンさんはこちらを見向きもしません。

 自分の仕事を淡々とこなします。

 彼女が洗濯をしている間、土下座を続けました。


 途中からマリーも洗濯に参加したようで足りない背を伸ばして、顔を真っ赤にしながら頑張って物干しざおに洗濯物を干しています。

 そんな姿だけは可愛いですね。

 私が相手では彼女は口も利いてくれませんが。



 土下座の姿勢のまま、頭を上から踏み抜かれて目を覚ました。

 またいつの間にか寝ていた。

 頭上から冷たい声が聞こえてくる。

「あなたの反省は確かに受け取りました。後で館長にも報告しておきます。」

 そう言い渡して、シーリンさんは朝食の食器洗いの仕事を始める。


 マリーが真っ赤な顔をして花壇に水をあげている。

 彼女に「おはようございます」と挨拶をしてみても、まるで反応が無い。

 俺の事は安定してガン無視だ。 


 あれだ!ギャルゲーの初期好感度が低いキャラはとりあえず遭遇イベントをこなして好感度を上げる事からやらないといけないってやつだ……きっと……



 シーリンさんとマリーに心を折られながらも十分(?)な休息を取った俺は槍の訓練を再開する。

 昨日から着ていて洗濯場の溜池へとダイブした時に脱いだ俺の貫頭衣も綺麗に洗濯されて、物干しで風になびいている。


「これは、フリーダムなまま槍を突けって事だな?」

「全身くまなく筋肉の動きを確認しながら突けと言う、シーリンさんからのアドバイスか?」

 などと独り言を言いながら訓練を再開する。

 全裸に左腕の鎧だけを装備した格好で再び槍を突く事をひたすら繰り返す。



 これが裸族が持つ本来の力なのか?

 俺自身の生来持つ槍がフリーダムな為か先程より集中して槍を突けていたようだ。

 シーリンさんは気付くと仕事を終えていて、すでに中庭から居なかった。

 真っ赤な顔をしたマリーは最後まで俺の方を見向きもせず建物の中に戻るのを確認。


 俺は知らない内に何か彼女を怒らせる事をしただろうか?

 マリーに熱が出ているとしたらフィーナさんが気付かないはずは無いだろうし……

 考えても分からない疑問は後に回し、俺は槍を突く事に専念する。



 斡旋屋が騒がしくなってまいりました。

 昼食の時間のようです。

 誰も迎えに来てくれません。


 『まだひたすら槍を突いていろ』って事ですよね?

 心が弱ると心の中まで敬語になってしまいます。


 左腕の鎧は皮が内側に貼ってあるとは言え、太陽に熱せられて凄い温度です。

 一度水を掛けて冷やしましょう。

 こういう時に上水を使うと怒られるので、やはり使うのは洗濯場の溜池に溜まった水です。

 「ジュゥゥゥゥ」と音がなります。直接触ったら火傷するんじゃないでしょうか?

 真っ黒と言うのは夜はともかく、真夏の昼で使うのには問題があると思うのです。



 左腕の鎧を冷ます為に溜池の水を掛けていると、海に3人のヒトが浮いているのを発見しました!

 これは、急いで救出しないといけません!



 俺は怒られるのを覚悟で斡旋屋へと踏み込んだ。

 食堂へ着いた俺に待っていたのは、前日と同じ直径20センチほどのお盆を使ったシーリンさんからの股間攻撃であった。


 異世界ならそろそろ 『股間攻撃に完全耐性を得ました』 とナレーション入っても良いよな?

 この世界では全くそんなナレーションが入る素振そぶりはありませんが。


 股間に心臓が増えたような痛みをこらえて、シーリンさんの優しさ(お盆)で大事な部分を隠しながら、ドカチーニさんに報告をする。


「裏庭の海に3人、ヒトが浮いています!」


 ドカチーニさんの行動は早かった。

 食事中の水夫を何人かその場で雇い、裏庭へと直行する。

 水夫達は手慣れた作業で5分と掛からずに3人を海から引き揚げる……が……

 助け出したと思った3人。

 そのうち1人は男性で人間だったが、2人の女性と思ったものは2体の人形であった。




 そして海から助け出した男性は俺が元居た世界。

 現代日本での会社の同僚であった。

 何とか無事毎日更新50日(初日に日をまたいだので本当は49日)を迎えられました。


 それもここまで読んで下さった読者様。

 少しずつでも読み進めて下さる読者様。

 タイトルに釣られて1話だけを読んで読むのを止める方も含め(アクセス数にはなる)。

 最後に、やる気と脳に刺激をくれる作品を作り続ける仲間達。

 全ての人達のおかげで何とか毎日更新を続けてこられました。

 ありがとうございました。


 正直どこまで続けられるかは分かりませんが、自分の力が続く限り続けたいです。

 毎日更新だけしか能が無い私ですが、これからも末永くお付き合い下さると幸いです。


                             2018/10/08 何遊亭万年

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