そして、旅へ
「お待たせしました!食料とか飲み物は案外沢山ありました。みなさん案外ポックリとゾンビになったんですね、食料がこんなにあるなんて・・・あと、歩隆さんお洋服です。すごく汚れていますよ?着替えてはいかがですか?」
「ぽっくりって・・・。まぁそうだろうな。服ありがとう、後部座席で着替えるよ、あとはガソリンだな。目の前の道を右にまっすぐ行くとセルフのガソスタがあるから、そこはどうだ?」
「わかりました。では、着替えてる間に向かいましょう!」
とカリンはエンジンをかけた。
車からは、陽気で夏と言えばこのバンド!の、勝手になんちゃらって曲が流れ出した。
現実離れな出来事で混乱してる中昔流行った曲が流れると、少し現実に戻って来ってこれた気がした。
「ガソリンスタンドにつきました、満タンにしてきます。歩隆さん、パンを沢山とってきたので食べててください。」
「待って、俺ガソリンぐらい入れること出来るから、カリンはパン食べてて。運転はまた任せる事になるからさ」
と、俺は言い終わる前に車の外に出た。有り難い事にゾンビは不在今の内にガソリンタンクを開け満タンに入れる。
「申し訳ないです・・もぐもぐ・・」カリンは窓から顔を出し幸せそうにパンをかじっている。はい、天使。
「よし、満タン入ったぞ」
助手席に戻り俺も袋からパンを出し口に入れる。
空腹の中食べるパンはこれほどか!と言うほどうまい。賞味期限なんて気にしない菓子パンなら大丈夫だろう。
袋の中を見ると、水が15本菓子パンやお菓子、それに非常食が入っていた。そしてリュックには男物の服が3着ほどとバスタオルが数枚。なんともできる子だ。
「では、リノンと合流したいので東に向かいましょう。その間に生存者を探します。」
カリンはエンジンをかけ車を走らす、見慣れたはずの景色なのにまるで知らない街になっている。
ヨロヨロと歩きながらこちらを見るゾンビ達
その中には、知った顔もいる・・・。
「そういや、そのリノンってやつはどんなやつだ?双子って言うてたな、似てるのか?」
「そうですねぇ~、顔は似ていると言われますが、姉のリノンは私と違って髪が長く常に後ろで結んでいます、髪色も違って金色にしています。見分けがつくようにそうしたそうです。あと、目の色ですね私は青でリノンは赤。」
似た顔ってまたもや美少女かい、異世界は美少女しかいねぇのか・・?
「そして、姉は私より強いです。」
「お前より?すげぇな・・・で、どこに居てるのかわかるのか?」
「わかりません、ですが半径100km以内まで近づけば気配で察知できます」
「そっかぁ~、まぁ生存者探すのが先だな。東に行けばいずれカリンの姉さんとは合流できるだろう。」
「ですね、あと少ししたらこの街を出ます。捜索を始めましょう。」
「あ、聞きたかったんだが・・あの時どうやって俺を見つけれたんだ?どうやって捜索をしてたんだ?」
「言い忘れていました。私は意識を集中させると、微かな物音、気配、吐息でさえ感知する事ができます。あの時ちょうど生存者がいないかと微かな物音も逃さないように全神経を集中させ探していたからです。まぁ、集中させなくても大きなアラーム音と歩隆の声が聞こえたのですぐに駆け付ける事ができたのです。ギリギリでしたが・・・」
「す・・すごいな・・・。」
運転席でそんな話をしてくれるカリンは時々ゾンビを跳ね飛ばしても表情一つも変えず、ものすごいスピードで俺の地元の街を抜けた。