この命・・・
「さて、私達はついさきほどこの世界にやってきました。
そこで、一ヶ月もの間生き残った歩隆に聞きたい事があります。
いくら私が強いと言っても不死身ではありません。
何かゾンビの弱点とか知りませんか?」
俺たちは少し場所を移動しようと言いビルから出て歩きながら話している
周りはゾンビがウロウロしているが、カリンと居るから平気だ。
「ん~、少し話長くなると思うから
少し離れようか、この辺だと・・・あ、あそこに行こう」
俺は昔よく行ってた古い神社を思いだし提案した。あそこなら木々で身を隠せるし声が響かない。
我ながらナイスなアイデアだ。
神社に向かうなか、ゾンビには遭遇せずすんなりとたどり着けた
神社は昔と変わらず草木が手入れされてなく古びている。本堂以外には何もないさみしい神社のままだった。
辺りは暗くなり日が暮れ始めきた。
「ちょっと、日が暮れてきてるから急いで話すね。
ここ一ヶ月で得た情報だと、
1、ゾンビは目が見えていない音に反応をする。
2、昼と夜だと昼の方が活発なのかもしれない
夜に襲われた事もあるけど歩くのも遅いし反応が鈍い。やはり元人間夜は眠いのか歩き方が虚ろだ。
3、ありきたりだけど、少し噛まれただけで即感染。
俺も目の前で友人が噛まれ5分ほどで感染した。
基本的に感染時間は人それぞれで5~30分。体質によるのか遅い人は遅い。
これくらいかな・・・。」
この一ヶ月感生死を賭けた戦いだった為、ゾンビを鑑賞してる時間なんてほぼ無かった。
この情報もウイルスが感染し始めた時にアキラから教えて貰ったもの。
「よく分かりました。とりあえず、意識するのは音ですね。」
カノンは機関銃らしきものを磨きながら返事をした。
「なら、この音のなる機関銃だめですね。」
「え?それ機関銃でいいの?」
「はい?機関銃です。それ以外の何者でもありません」
「もっと異世界らしいカタカナの名前かと・・・」
「異世界って・・・・
私からしますとこちらの世界が異世界ですからね。
お互いがお互いを異世界人だと思ってることをお忘れなく。」
そして俺たちは神社本堂の中に入り順番に休息を取ることにした。
ゾンビに関わらず変な音や異変に気づいたら即起こすこと!と約束し、
俺は先に休息をとらせてもらうことにした。
「ん・・・・・」俺が目覚めた時は既に朝になっていた。
「おい!カリン!2時間で交代って言うただろ!」
俺は隣で外を見張っているカリンに大声で怒鳴った。
「あぁ、目覚めしましたか?
私は大丈夫です。一日寝てないだけで倒れたりしませんので。
歩隆、疲れは取れましたか?私も身体は休めてたので元気です。」
とカリンは髪を整えながら笑いかけてくれた。
本当に、こんな小さい体の女の子に気を遣わせるなんて・・・
ますます惨めになる。
「怒鳴ってわりぃ・・・カリンありがとうな。」
俺は顔を洗うと言い、神社のすぐ近くで流れている川に向かった。
頭も冷やさないとな、今の俺じゃただの足でまとい。ただの邪魔者だ。
少しでもカリンの力にならないと・・・と冷たい水で顔と頭を洗い
神社に戻るとカリンは刀を磨いていた。
「おかえりなさい。私も朝早くにそこの川で顔を洗いました。
綺麗な川ですね。ここに来てから血の海と死体しか見てないのですこしホッとしました」
と、ニコっと微笑んでいる。天使だ、見た目は天使だ。
だけど、天使が刀を磨いている。なんだ、このギャップ。
「カリン・・その刀は?」
「あぁ、これは双子の姉のリノンに渡されたものです。
リノンは刀使いで私は銃使い。もしもの為にって渡されてた日本刀の菊一文字則宗、ちなみにコレは歩隆に預けます。」
と、カリンは短剣を渡してきた。
「これは私が愛用している短剣です。使う事がないように守りますが、もしもの為に預けておきます。」
「ありがとう、武器なんて一つもなかったから心強いよ」
「まぁ、私が絶対歩隆を守りますけどね!」
と言いながらカリンが名刀と呼ばれる菊一文字則宗を磨いていた。
俺も身支度を整えていると
カリンが立ち上がり左腰に刀をしまい機関銃を背負った。
「生存者の救出に行きましょう!その前に食料調達と乗り物ですね。
町に出て徘徊しながら食料と乗れそうな車を見つけましょう!」
なんて頼もしい子なんだろう。
キラキラ光る太陽の光がカリンを照らしている。
もし、俺に万が一の事があったらこの子は全力で俺を守ろうろするだろう。
でも、俺は今決めた。
前にこのたいした事のない命君に預けようと言ったが前言撤回だ、この俺の命全力で君を守るためだけに使おう。