ここって・・・
「今日の寝床を探しますか~。あと、そろそろ運転変わります。」
カリンと俺は席を変わって、暗くなった街を走っていく。
「今日こそ・・・ぐっすり寝たいな・・・」
俺がふいにつぶやいってしまった。
「了解しました。なら、あそこはどうでしょう?ホテルと書いてます。
なんか立派な建物ですね。あそこで休暇をとりましょう」
カリンが向かうのは、紛れもなく童貞の俺でも分かる。
あのHOTELと書かれた立派な建物は、ラブホテルだ。
おいおいおいおい、意味わかってんのかよ。
いや、意味とかないけどさ、なんなんだよ。こんな美少女と?俺、羨ましい
こんな死世界じゃなかったら、俺羨ましい!!!!
「・・・・ここか?ここに行くのか?」
「はい、ゾンビ相手なら瞬殺できますし。ホテルだと内側から鍵をかけれるでしょ?
安心してぐっすり眠れます。」
カリンは迷うこと無く立派な建物の目の前に車を停め、タオルと服を何枚か持ち
水と食料が入った袋を俺に渡して入って行った。
「あ、発見」とカリンの声が聞こえその場に駆けつけると
刀で5体のゾンビを倒したあとだった。
「ここの部屋でいいですよね?何かあればすぐ車に駆けつけれますし。」
と入口から一番近い部屋をチョイスし鍵を開けていた。
「鍵までもう見つけたのか?」
「フロントにありました。」と悠々と答え部屋に入った。
「部屋は鍵がかかってるのでゾンビはいないですよ。」
ベッドにごろーんとして気持ちよさそうなカリン。
俺は荷物を置き、水を飲んで風呂場に向かった。まだチョロチョロとだが水が出たので先にカリンを風呂に入れあとから入った。
「スッキリしましたね~、いやぁ。地獄の中にある天国~・・・」
また、ベッドでゴロゴロしていた。
俺は持っていたバスタオルを広げソファーに寝転んだ。
「あっれ~、歩隆さんはそちらでお眠り?こんなに広いんですよ?一緒に寝ましょう!」
いやいやいや、何言うてるんだ少女よ。
何も起きないのは分かってるが、ダメだ。ダメダメ。
「いいよ、ここでも充分に気持い。もう、寝るね・・おやすみ」
無理やり目を閉じた。
「わかりました、ではここで寝かせていただきます。」
諦めたかカリンは静かになった。
寝たか?
俺も、疲れたし眠ろう。本当にこの数日色々あった。
身体は全身筋肉痛でガチゴチだった為今横になれている事が幸せだ。
「歩隆さん・・・歩隆さん・・・」
カリンの声が聞こえる・・夢か・・。眠たい。
「歩隆さん!朝ですよ!おーきてくださーい!!」
「え!?朝?」
起き上がると、カリンが昨日と違う黒のワンピースに着替えてチョコを食べていた。
「早く準備してくださいねー!行きますよー!」
「あぁ・・・待って顔洗ってくる!」
準備が終わり、カリンはそっとドアの隙間からゾンビがいないか見る。
「いません・・・行きましょう。」
カリンに続き車に乗った。
「・・・さて、歩隆さんにハッピーニュースです。
なんとここから半径10km以内に生存者の気配がしました。さっき歩隆さんを起こしてる時に察知したので間違いありません。救出に行きますか!」
「本当か!!行こう!日が昇ってるからゾンビの行動が活発だ。今すぐにでも見つけ出そう!」
「了解!」