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閉鎖の桜  作者: うみの はまぐりん
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閉鎖病棟にて

私には個室病棟が与えられ、栄養を補給する点滴につながれた。ベットと机、トイレがあるだけのがらんとした白い部屋、窓は15センチほどしか開かなかった。その白い部屋の壁に一枚の張り紙があった。「この部屋は一日2千円です」 2千円?五日で一万円じゃない、早くこの部屋をでなきゃ。様子を見に来た看護師に聞いた。どうすればここをでれますか?看護師は言った。「あなたは食べなさい。そうすれば4人部屋に移れます」


その日の晩御飯を食べに食堂にでた。とりあえず誰かに挨拶しよう。私は一人の女性に「こんばんは」と声をかけた。女性は一言も発さず私をみつめた。その目はこの女性がすでに壊れてしまっていることを示していた。私は挨拶を諦めて食卓につくと一人の若い男の子が近寄ってきた。「あなた新人さんだね。ここには泥棒がいるから、特にテレホンカードに注意して」そして彼が去ると中年女性が私に言った。「ねえ、テレホンカードちょうだい」とああこいつのことか。閉鎖病棟と外部をつなぐ唯一の連絡手段は一つある公衆電話しかない。お金は病院が管理していたので必要枚数のテレホンカードしかもらえなかった。この中年女性は10分おきに私の部屋を覗きにくるのだ。頭にきた私は看護師に頼んでなんとかしてくれるように言った。その後この女性は保護室送りになった。


何しろそれまでろくすっぽ食べてなかったから、一度食べ始めるともうつぎの食事のメニューが気になった。閉ざされた空間の中で関心ごとは食べることだった。主人に頼んで塩辛やチョコレートケーキを差し入れてもらい、それを個室の中でむしゃむしゃ食べた。他の入院患者とも話すようになり、あれが食べたいこれが食べたいなど紙にリストアップした。

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