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ガミキのヘッポコストーリー  作者: ゼロ
黒の姫君 編
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第十五話 女将の息子を巡り少年は『入念に』状況を整理する

 まずは一旦状況を整理しよう。


 お世話になったリリーフ村の宿屋の女将ミミリアさん、その息子であるエミリオさんが《アビリティ》なる犯罪集団───所謂盗賊団に身を置いている。母親としてはどうにかして手を洗わせたいが、彼は聞く耳を持たない。

 そこで俺達の出番という訳である。

 何とかしてあげたいというお節介を通り越したエゴイスティックな部分もあるが、どうにもこうにもこの件から引く事をシルメリアさんが納得しない。

 そこでまずは情報を仕入れるべく、当初の目的地でもあった貿易都市フレデナントへとやって来た俺達はちょいと寄り道を挟んで所属ギルドである《ヴェンガンサ》の支部に。

 やって来て早々にトラブルに見舞われたが、その件はとりあえず置いておこう。

 久々に友と再会したのも束の間、《アビリティ》について情報を提供してもらったのだが……。


 ヘンリーくんが諭そうとした様に状況は少しばかり良くない方向に転がるかもしれない。


 さて、《アビリティ》についてのおさらいだが、全てのハンターギルドを束ねる<リオネルハンターギルド連盟>……即ちハンター連盟に於いて奴等の位置付けはあくまでも盗賊団。正確な所属人数は定かでないが、総勢五十名を超えているとも言われる。

 大世帯となった奴等アビリティの悪業が過熱する一方でこの地方の領主ロードが所有権を持つ自治団体《銀栄騎士団シルバリアナイツ》が近々討伐に動き出そうとしている。

 そうなってしまえば全て終わりである。

 《銀栄騎士団》がどれ程の勢力を持っているのか詳細は知れないが、一盗賊団を潰すのが困難という事はないだろう。そうなれば間違いなく賊は処刑される。もしかしたら賞金首になっている幹部連中だけかもしれないのだが、それ以下も何かしらの刑には処せられる筈だ。

 幸いギルドに掲示されていた賞金首リストの中にエミリオさんは載っていなかった。だからと言って安心は出来ない。


 ただ、問題がいくつかある。


 危険を冒してエミリオさんに接触したところで彼自身が頑なに拒むという可能性がある。むしろ俺は九割方そっちだと踏んでいる。

 それに彼以外の盗賊と遭遇する可能性があまりに高い。そんな中、彼を説得或いは強引にでもリリーフに連れ帰るという手段が果たして通用するのであろうか?ネガティヴな訳ではないが、現実的に考えたら極めて難しいだろう。

 それに一番の問題は《組織》と呼ばれるその団体との関係性である。

 《アビリティ》自体が既に関わっているのだろうか?エミリオさんが個人的に……という展開が最も宜しくない。


 奴等の根城は《ヴェンガンサ》の情報網から引っ張り出せば問題ないが、肝心なのは盗賊団内でのエミリオさんの立ち位置だ。彼が普段どういった行動をしているのか突き止める必要がある。それを含めて《銀栄騎士団》による《アビリティ》討伐の正確な日時が分かっていない現在、下手な動きは禁物だ。

 焦っても仕方ないが、のんびりしている余裕もなさそうな雰囲気みたいだ。

 《ヴェンガンサ》の情報網を見くびっている訳ではないが、念には念をという意味でとある情報屋に連絡を取ってもらい、エミリオさんの個人情報を買う事にした。

 普通に考えたら一盗賊の情報など並の情報屋が持ち合わせているもんじゃない。今回情報提供をお願いしたその相手も一流と言えど、例外ではない筈。その為、どれくらいの時間を要するのか不安になったが……それは無駄な心配だったみたいだ。



 数日後、ヘンリーくんの紹介で宿泊していた《ヴェンガンサ》御用達の宿場にギルドの使いがやって来た。

 情報屋から依頼主と直接会って情報提供をしたい、その伝達の為に。

 些か早過ぎるだろう……と引き笑いを浮かべた俺だったが、その情報屋が嘘を付いた事は今までに一度だってなかった。という事は本当にそういう事なのだろう。


 身支度を整え、俺とシルメリアは情報屋と落ち合うべく、連絡時に指定したリタ武具商店へと向かうのであった…………。

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